泄熱とは体内の熱邪を小便や大便へ排泄することです。大便へ排出させる代表が大黄です。それでは医案に進みましょう。
患者:任某 13歳 男児
初診年月日:1984年6月26日
主訴:双下肢紫斑3ヶ月
病歴:
患児は3ヶ月前、双下肢に紫斑が出現、尿蛋白+、RBC40~50個/HP、中西医結合治療を受けるが効果不十分、氏の病院を受診。
初診時所見:
手心熱、尿黄赤、舌尖紅、苔白、脈滑有力。尿蛋白+、RBC40~50個/HP。
中医診断:尿血(湿熱蘊結、傷及血絡)
西医診断:紫斑病性腎炎
治法:泄熱涼血止血
大黄(活血通腑泄濁熱)7.5g 桃仁(活血潤腸通便)15g 牡丹皮(清熱活血涼血)15g 茜草(涼血化瘀止血)20g 小薊(涼血止血)30g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)50g 藕節(収斂止血)20g 阿膠(烊化)(養血止血 養陰潤肺)10g 生地黄(養陰清熱)15g 側柏葉(涼血止血)15g 甘草(調和諸薬)10g
7剤、水煎服用、毎日一剤、早晩分服。
(阿膠は煎じ薬を作成した後で溶かして混合します。烊化といいます。)
二診 1984年7月2日
上方服用7剤で、患者はやや腹瀉(下痢)日に3回、手心熱、脈滑。尿RBC2~3個/HP、蛋白+、前方の大黄を大黄炭(収斂止血)5gに改め、白花蛇舌草(清熱解毒)30gを加えた。
18剤、水煎、毎日一剤、早晩分服。
三診 1984年7月30日
上方服用18剤、やや腰酸乏力あり、舌淡紅潤、脈緩。尿RBC4~5個/HP、他は陰性。益気補腎、涼血止血法の治療にする。
方薬:
黄耆30g 党参20g(参耆で益気健脾養陰) 枸杞子15g 熟地黄20g(熟地黄、枸杞子で滋腎陰) 大黄炭5g 側柏葉20g 白茅根50g 小薊30g 白花蛇舌草30g 阿膠(烊化)10g 甘草10g
服薬12剤、諸症消失、尿検査異常なく、快癒した。
ドクター康仁の印象
当初は瀉剤、後に補剤を加味するパターンですね。清補兼施の典型です。
2014年 3月31日(月)