今回を持ちまして、漢方市民講座、糖尿病性腎症の漢方治療症例の最終講とします。それでは医案(症例報告)に進みましょう。
患者:呂某 61歳 女性
初診年月日:2006年5月22日
主訴:双下肢浮腫、腰酸一年
病歴:
糖尿病病歴18年。2002年尿蛋白発現(4+)、現地の病院で糖尿病性腎症と診断され、ずっと中薬を服用、病情は穏定していた。2005年4月、家庭の事情で停薬、浮腫加重。Cre202μmol/L(2.28mg/dL)、慢性腎不全と診断される。さらに治療を求め氏の病院を受診。
初診時所見:
気短乏力、全身酸重、口干苦、大便溏、腰酸、肢軟乏力。舌淡紅苔白、脈滑。Cre197μmol/L(2.22mg/dL)、BUN16mmol/L(96mg/dL)、ヘモグロビン7.8g/dL。
中医弁証:虚労(脾腎両虚、濁毒内蘊)
西医診断:糖尿病性腎症、慢性腎不全(失代償期)
治法:益気健脾昇陽、活血化湿、解毒
方薬:昇陽益胃湯加減:
黄耆50g 党参20g 防風20g 羌活20g 独活20g 葛根30g 柴胡15g 当帰20g 白朮20g 丹参20g 川芎20g 甘草15g 土茯苓30g 白花蛇舌草30g 山薬20g
水煎服用、毎日2回に分服
(付記:黄耆50g 党参20g 白朮20g 山薬20gで益気健脾、防風20g 羌活20g 独活20gで袪風湿、葛根30g 柴胡15gで昇発陽気して脾胃の清陽の気を鼓舞し、当帰20g 丹参20g 川芎20gは活血行瘀、土茯苓30g 白花蛇舌草