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腎炎血尿と漢方薬 1 急性発症血尿には清熱利湿を法とする(腎病漢方治療402報)

2014-06-30 00:15:00 | 漢方市民講座

 

急性糸球体腎炎あるいは慢性糸球体腎炎の患者さんが上気道感染等により血尿が悪化することは臨床的な事実です。検尿では大量の赤血球或いは肉眼的血尿となり、尿蛋白は定性+~2+程度です。症候として、咽干口燥、心煩熱、目の乾燥感、手足心熱、口舌生瘡、咽痛、扁桃腺が赤く腫れ、小便は深黄、尿量は少なめで色は赤、下腹部張満、腰酸痛、眼瞼、顔面と下肢の浮腫、舌質紅、苔白乾、脈滑数等の症候がある場合に、湿熱蘊蓄入侵足少陰腎経と弁証されます。<o:p></o:p>

 

方用 清熱利湿湯車前草(甘/寒 清熱解毒 利水滲湿薬に分類)20g 萹蓄(苦/微寒 利水通淋)20g 瞿麦(苦/寒 活血利水通淋)20g 石葦(甘苦/微寒 利水通淋、止咳 涼血止血)15g 白茅根/寒 凉血止血、清熱利尿30g 小薊(甘/涼 涼血止血)30g 大黄(苦/寒 活血通腑泄濁)7g 山梔子(苦/寒 清熱解毒燥湿)15g 金銀花(甘/寒 清熱解毒)30g 連翹(苦/微寒~寒 清熱解毒散結消腫)20g 錦草清熱解毒、活血化瘀止血)20g ?菜花(涼血止血 清熱利尿)20 甘草15g 白花蛇舌草(微苦甘/寒 清熱解毒利湿 免疫調整)30g 蒲公英(苦甘/寒 清熱解毒燥湿)30g 滑石(甘淡/寒 清熱利湿 下焦湿熱の要薬)20g 水煎服用<o:p></o:p>

 

方中の石葦 車前草 萹蓄 瞿麦 滑石は皆、清熱利水通淋の効果があり、(生地黄) 白茅根 小薊 山梔子 地錦草 ?花は清熱涼血に、金銀花 連翹 白花蛇舌草 蒲公英は清熱解毒に働きます。<o:p></o:p>

 

大黄は苦寒瀉下剤です。方法中では清熱解毒 開瘀利水通淋として作用し、量は510gが一般用量ですが少量が宜しいようで、多用すれば瀉下剤となります。少量を以って開瘀利水止血することが、小便渋痛および血尿治療に有効であり、本方では不可欠な薬剤です。<o:p></o:p>

 

やや長い講座が続きましたので、今回は短く、解説も最小限にとどめました。<o:p></o:p>

 

次回も「腎炎血尿と漢方薬 2」と題し、お話しします。<o:p></o:p>

 

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2014630日(月)<o:p></o:p>

 


蛋白尿 漢方薬 5 「湿毒内蘊には利湿解毒を先に行う」(腎病漢方治療401報)

2014-06-29 00:15:00 | 漢方市民講座

 

糸球体腎炎が慢性化し、水腫は消退或いは消失するも、尿蛋白は持続し消失せず、以下のような症候:即ち、腰酸腰痛、周身困重、尿は混濁あるいは黄赤、咽痛口苦口干、舌質紅、苔白膩、脈滑数などを患者が呈した場合、湿熱毒邪蘊結下焦精微外泄(結果としての蛋白尿を形成)と弁証するのです。<o:p></o:p>

 

方用 利湿解毒飲土茯苓(菝葜 山帰来に同じ、清熱解毒泄濁除湿利関節50g 萆薢(苦/平 利水滲湿)20白花蛇舌草(微苦甘/寒 清熱解毒利湿 免疫調整)30g 萹蓄(利水通淋)20g 竹葉清熱除煩、生津、利尿)15g 山薬(益気健脾)20g薏苡仁25g(健脾利水滲湿) 滑石(清熱利湿 下焦湿熱の要薬)20g 通草(甘淡微寒 泄熱利水通淋)10g 白茅根凉血止血、清熱利尿25g 益母草(活血利水消腫)30g 金桜子(酸渋/平 固精、縮尿、渋陽止瀉)15g 水煎服用<o:p></o:p>

 

本方は清熱利湿解毒に作用し、熱毒蘊結下焦 精微外泄蛋白尿に用いられます。慢性腎炎は湿熱を挟むことが多く、湿熱が除かれなければ蛋白尿は消除されません。清利湿熱の剤を使用するにあたっての注意点は苦寒薬による傷脾です。本方には苦寒傷脾の品は配伍されてなく、皆、淡滲利湿の品であり、清熱しても脾を傷さず、利湿しても傷陰することがないのが特徴です。<o:p></o:p>

 

金桜子は固渋の品です。清熱利湿薬の中に、一味固渋の品を加えることで、「通中寓塞」(説明は省略します)の意義が生じます。<o:p></o:p>

 

加減を申し上げれば、病情が慢性化して気虚症状が出現した場合には、黄耆30g 党参20gを加味することもあります。扶正と祛邪を同時に行うわけです。咽痛には山豆根(清熱解熱毒利湿利咽)20g 重楼(清熱解熱毒利湿利咽)30g 玄参(清熱解毒兼養陰)15g 麦門冬(養陰)15g等を加味します。<o:p></o:p>

 

腎炎患者で蛋白尿が長期に消えず持続するいくつかの症例の臨床では、健脾補腎法がなかなか効を奏さない場合にこの方薬で頑固な蛋白尿が往々にして消失することがあります。<o:p></o:p>

 

この方薬は、湿熱を弁証して、湿>熱の病情に適宜し、若し湿<熱の場合には加味八正散治療が宜しいでしょう。<o:p></o:p>

 

総合して言えば、(中医学では)慢性腎炎は脾肺腎の機能失調、水液代謝障害、湿毒内停、鬱滞化熱を原因とします、故に(中医が)慢性腎炎に湿熱の病機が一貫して存在すると認識することには、一定の道理があるのです。<o:p></o:p>

 

論より証拠(治療効果)の実例を二例のみ付記しますのでご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140207<o:p></o:p>

 

急性腎炎:加味八正散治療<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140419<o:p></o:p>

 

本稿を以って、蛋白尿 漢方薬の(一時的)最終稿とします。次回から「腎炎血尿と漢方薬」と題し、お話しします。<o:p></o:p>

 

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2014629日(日)<o:p></o:p>

 


蛋白尿 漢方薬 4 腎気不固 参耆地黄湯の摂精(腎病漢方治療 400報)

2014-06-28 00:15:00 | 漢方市民講座

 

先ず、腎気不固という中医概念は、主として腎陽虚の症候分析に使用される用語です。症候は顔面蒼白、畏寒肢冷、下痢清穀、五更泄瀉、腰背酸痛、遺精、陽萎、多尿或いは尿失禁、舌質が淡胖、歯痕、苔は白、脈は沈遅ですが、それらの「症候分析」の中で、腎陽不足、命門火衰弱、火不生土のため、下痢清穀、五更泄瀉が出現する。腎陽不足、温煦失常のため、畏寒肢冷をみる。腰は腎の府であり、督脈は脊髄を貫いて腎に絡い、腎陽不足のため、腰背酸痛をみる。腎陽衰弱、精関不固のため、遺精、陽萎が出現する。腎気不固のため、多尿或いは尿失禁が生じる。(という具合に)腎陽不足の際の多尿や尿失禁の原因として腎気不固という概念があります。<o:p></o:p>

 

一口に、腎陽虚と言っても大きく分類すれば以下のようになります。<o:p></o:p>

 

(1)腎気不固<o:p></o:p>

 

病機概要:過度の疲労、慢性疾患、腎気虧耗、固摂作用の働きの減退による。<o:p></o:p>

 

主要症状:顔色が白く、腰や背中のだるさ、聴力低下、小便が近く、色が淡い。甚だしければ尿失禁、滑精、早漏、排尿等の余癧、舌質は淡で、舌苔は薄白、脈は細弱である。<o:p></o:p>

 

治療法則:固摂腎気<o:p></o:p>

 

方剤挙例:大補元煎(景岳全書)、秘精丸等<o:p></o:p>

 

大補元煎(景岳全書):人参 炒山薬 熟地黄 杜仲 枸杞子 当帰 山茱萸 炙甘草<o:p></o:p>

 

(2)腎不納気<o:p></o:p>

 

病機概要:疲労による腎気が傷つけられ、或いは慢性病により気虚、気不帰元、腎失摂納が起こる。<o:p></o:p>

 

主要症状:喘息性の呼吸困難で、動けば増悪する。咳にともなう発汗、小便は咳が酷くなるにつれて失禁になり、顔色が白く、舌質は淡、舌苔は薄、脈は虚弱である。<o:p></o:p>

 

治療法則:納気帰腎<o:p></o:p>

 

方剤挙例:人参胡桃湯(済生方)、或いは参蚧散(人参蛤蚧散:衛生宝鑑)等<o:p></o:p>

 

人参胡桃湯(済生方):人参 胡桃肉 生姜と水煎服用<o:p></o:p>

 

主治:肺腎両虚 咳嗽気喘 効能:補肺腎 定喘逆<o:p></o:p>

 

虚喘の軽症で寒証に偏したものに用いる。人参は補肺益気 胡桃肉は潤肺納気に働く。<o:p></o:p>

 

参蚧散(人参蛤蚧散:衛生宝鑑):蛤蚧1対 杏仁150 炙甘草150 人参 茯苓 貝母 桑白皮 知母各60 散剤にして12回6gずつ服用する。<o:p></o:p>

 

主治:肺気虚兼痰熱 効能:益気清肺 止咳定喘 久咳肺虚で熱に偏したものに使用する。<o:p></o:p>

 

(3)腎陽不振<o:p></o:p>

 

病機概要:先天的な虚弱、長期の慢性病、性生活不摂生により腎が傷められ、下元虧損、命門火衰による。<o:p></o:p>

 

主要症状:顔色が白い、足腰がだるい、インポテンツ、頭のふらつき、耳鳴り、頻尿、舌質が淡白、脈が沈弱。<o:p></o:p>

 

治療法則:温補腎陽 <o:p></o:p>

 

方剤挙例:右帰丸(景岳全書)、或いは金匱腎気丸(八味地黄丸)等<o:p></o:p>

 

右帰丸(景岳全書):熟地240山茱萸90山薬120枸杞子 鹿角膠 莵絲子120当帰90肉桂60120杜仲120炮附子60180蜜丸作成 朝晩15gずつ服用<o:p></o:p>

 

(4)腎虚水泛<o:p></o:p>

 

病機概要:先天的な虚弱、慢性病、腎陽の消耗のため、水液を温められないので、水邪が犯濫し上逆する。或いは外の皮膚に溢れだす(浮腫)。<o:p></o:p>

 

主要症状:水腫、全身の浮腫、下半身が特に顕著。押えるとまるで泥の様に凹み、腰腹脹満、尿量減少、咳にともなう痰、サラサラした痰、動けば喘息が出る。舌苔は淡白、脈は沈滑。<o:p></o:p>

 

治療法則:温陽化水<o:p></o:p>

 

方剤挙例:真武湯(傷寒論)、或いは済生腎気丸(済生方)等<o:p></o:p>

 

はて、何を以って腎気不固とするのかは難しいところです。よく、「近頃は小便をするとよく泡が立つようになった」と訴える患者さんがいます。腎気不固の証の一つです。「腎気不固」という概念は、気の固摂作用の腎での低下失調を意味します。1、血液を固摂する2、尿液を固摂する3、精液を固摂する4、帯下を固摂するの、おおよそ4つですが、蛋白尿も糖尿も腎気の固摂作用の低下(腎気不固)の拡大として考えます。泡が立つのは、生体に本来必要な精微物質が尿に洩れて出てくるためと考えます。<o:p></o:p>

 

解ったような、解らないようなですね。それでは、もう少し腎について考えましょうか?<o:p></o:p>

 

腎は左右に各一つずつあり、ここに命門をつけたす。元陰と元陽を内蔵し、その経脈は膀胱に絡し、膀胱と互いに表裏の関係をなす。腎は主に精を蔵し、人間の成長と発育、生殖の源となっている。生命活動の根源であり、故に先天の本と称される。腎は五液(汗、涕、涙、涎、唾液)を主り、体内での水分の平衡を維持している。腎は骨を主り、髄を生ずることにより、骨や歯を堅固にし、脳の発達を促し、精力を充実させる。腎とその他の臓腑との関係は深く、腎は納気を主り、故に肺の吸気と粛降の働きを助けている。腎水は上の心を助け、心火は下の腎と交わる。水火既済であれば、陰陽平衡になる。腎は先天の本で、脾は後天の本である。脾の健運は、腎陽の温煦作用に頼り、精気の充足は、逆に脾胃の補養を受けている。肝と腎はともに下焦にあたり、肝木は腎水の濡養に頼り、腎精充足であれば、肝も滋養されている。膀胱は主に津液を貯め、気化すれば水は流れる。しかし膀胱の気化には腎気の蒸騰(気化)が必要である。例えば、先天性の虚弱、過度の疲労、性生活の不摂生、過剰の生育、長期の慢性病により、“五臓が傷つけられ、尽きれば腎に影響が及ぶ”とあり、精気が損傷され、そして多くの病気が生じる。もし腎陽虚衰、大小便不利、気化せず水が流れない水湿内聚、或いは皮膚にうるおいがないので、飲と腫になり、下元虧損、命門火衰であれば、陽萎(インポテンツ)、五更泄瀉になる。腎気が消耗し、蔵が封じられなくなり、固摂作用が働かないと滑精、早漏、小便の失禁が起こる。気不帰元、腎不納気であれば、喘息上逆、呼吸促拍が見られ、長期の疲労、真陰虧虚、水不涵木、肝腎不足のため、めまい、耳鳴り及び下消等の症状が現れる。腎陰耗傷、陰不済陽、心火上越、心腎不交であれば、イライラしたり、不眠、心悸、健忘、潮熱、盗汗、甚だしければ歯が抜けたり、夢精したりする。臨床上では、腎の病証である消渇(下消)、浮腫、癃(尿閉)、遺精、インポテンツ、腰痛、耳鳴り、難聴、めまい、下痢(腎泄)等がよく見られる。<o:p></o:p>

 

読者に飽きられるとこまりますからこの辺で「序章」を終わりにして本稿へ進みます。<o:p></o:p>

 

上下つき合わせて読み返してください。糸球体腎炎の蛋白尿、血尿が慢性化して消失せず、患者が次のような症候、即ち、腰痛腰酸、倦怠乏力、眩暈耳鳴、夜尿頻多、尿清長、遺精或いは滑精、舌質淡紅、舌体胖、脈沈或いは無力等を呈する時に、腎気不足、固摂失司、精微外泄と弁証するのです。<o:p></o:p>

 

方用:参耆地黄湯加味熟地黄20g 山茱萸15g 山薬20g 茯苓20g 澤瀉15 牡丹皮15g 肉桂7g 附子7g 黄耆30g 党参20g 菟絲子20g 金桜子20<o:p></o:p>

 

方中の熟地黄 山茱萸は補益腎陰 摂精気に、黄耆 党参は補気健脾に、澤瀉は健脾滲湿に、牡丹皮は清虚熱に、肉桂 附子は命門真火を補し、引火帰源に働き、金桜子は固摂精気、莵絲子は補腎填精に作用します。<o:p></o:p>

 

何のことやらさっぱりと嘆息する読者も多いかと思います。やはり、実例をご参照いただくのがいいでしょう。沢山の医案をご紹介しましたが、本稿での参耆地黄湯加味と同じ加味方を用いた例が宜しいかと思いますので一例のみにします。ご参照ください。<o:p></o:p>

 

慢性腎炎(腎機能低下例):<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140305<o:p></o:p>

 

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次回は蛋白尿 漢方薬 5 「湿毒内蘊には利湿解毒を先に行う」をお話しします。<o:p></o:p>

 

2014628日(土)<o:p></o:p>

 


蛋白尿 漢方薬 3 升陽益胃湯の活用(腎病漢方治療 399報)

2014-06-27 00:15:00 | 漢方市民講座

 

糸球体腎炎やネフローゼ症候群の水腫が消退したのち、脾胃虚弱清陽不升湿邪留恋の証、即ち体が重く倦怠感があり、面色萎黄、食べ物に旨みや味を感じられず、口が苦く渇き、腹が鳴り便溏であり、尿量が少なく、尿蛋白が比較的多く、血清蛋白の低下、舌質淡、苔薄黄、脈弱などの症候がある証です。(症候の中医学的分析は省略します。)<o:p></o:p>

 

方用:升陽益胃湯加減黄耆30g 党参20g 白朮15g 黄連10g 半夏15g 陳皮15g 茯苓15g 澤瀉15g 防風10g 羌活10g 独活10g 白芍15g 生姜15g 紅棗3個 甘草10 水煎服用<o:p></o:p>

 

升陽益胃湯は李東垣の「内外弁証惑論」が出典です。方中の黄耆人参党参を基本にして西洋参も可)、白朮甘草は補気益胃に、柴胡防風羌活独活は升陽袪湿に、半夏陳皮茯苓澤瀉黄連は除湿清熱に、白芍は養血和営に働きます。<o:p></o:p>

 

党参 黄耆 白朮 茯苓と防風 羌活 独活 柴胡の合用は「補中有散」「発中有収」という難解な中医学用語がありますが(説明は省略します)、(ともかく)補気健脾胃、升陽除湿の効能となります。<o:p></o:p>

 

まだ、集大成された訳ではありませんが、中国内の報告では祛風湿薬が腎炎の蛋白尿に有効であるとするものがあります。祛風湿薬単独より補脾胃薬を合用する方が、効果が良く勝湿升陽の効果に優れ、脾の運化を改善し、湿邪を除き、精微下泄を防止し、尿蛋白の減少、遂には尿蛋白の消除に寄与すると考えられます。<o:p></o:p>

 

升陽益胃湯の臨床例については下記の記事をご参照ください。本稿の目的にも適いますので、蛋白尿の軽減度をお確かめください。<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140218<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140220<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140219<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140201<o:p></o:p>

 

糖尿病性腎症(腎機能低下例)興味のある方はご参照ください。<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140326<o:p></o:p>

 

次回は蛋白尿 漢方薬 4 腎気不固 参耆地黄湯の摂精をお話しします。<o:p></o:p>

 

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2014627日(金)<o:p></o:p>

 


蛋白尿 漢方薬 2 気陰両虚(腎病漢方治療 398報)

2014-06-26 00:15:00 | 漢方市民講座

 

先ず申し上げたいのは、気血津液弁証と八綱弁証のうち、陰陽弁証、及び寒熱弁証を最低限知らなければ気陰両虚という弁証は出来ないということです。弁証学の基本に立ち戻って基礎的な説明を申し上げるのは、情報量が余りにも多いために省略することをお許しください。<o:p></o:p>

 

さて、糸球体腎炎につきものの蛋白尿(高血圧や腎機能の低下を伴わなく)が主な症状、或いはネフローゼ症候群を示していた腎炎が、浮腫が軽度、或いは無くなりつつあり、蛋白尿が主となり、低蛋白血症を伴うような時期に次のような症候があれば、気陰両虚兼挟湿熱の証であると弁証するのです。<o:p></o:p>

 

周身乏力、腰酸腰痛、顔面皓白、眩暈心悸、水腫は無いか、或いは軽度、手足心熱、口干咽干、舌質紅或いは舌尖紅苔白、脈象滑或いは数等の症候です。<o:p></o:p>

 

方用 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)加味:黄耆50g 党参30g 地骨皮20g 麦門冬20g 茯苓20g 柴胡15g 黄芩15g 車前子20g 石蓮子15g 甘草15g 白花蛇舌草30g 益母草30g 水煎服用<o:p></o:p>

 

糸球体腎炎の初期は多くは気虚陽虚に属し、慢性遷延すると傷陰に転じます。「陽損及陰」が気陰両虚を起こします。<o:p></o:p>

 

治療は「気虚」と「陰虚」の両面に対して必要になります。方中、黄耆 党参は皆、気虚を治する薬剤であり、地骨皮 麦門冬 石蓮子 黄芩 柴胡は皆、滋陰清熱の薬剤です。正確には柴胡は(疏肝理気 清熱 升陽)に働き滋陰の効能はありません。<o:p></o:p>

 

さて、「太平恵民和剤局方」には、「本方は小便白濁、夢が多く夢精し、小便の終末時に残尿感を伴う渋痛があり、小便は血のように赤く、男子、五淋にて気は収斂されず、陽は外に浮上し、五心煩熱となるを治す」さらに、「常服すれば清心養神、秘精補虚に働く」等の記載があります。糸球体腎炎の蛋白尿の治療に清心蓮子飲を使用する理由は、益気滋陰、清熱秘精の効果です。精は水穀精微物質の精微の精と考えてもいいでしょう。<o:p></o:p>

 

但し、気陰両虚の方薬とは言え、方中の薬剤量から判断すれば、気虚に重きを置く方薬とも言えます。(というのは)黄耆 党参の量が比較的多く(3050g)、弁証するに、気虚を主たる病態に適宜するのです。糸球体腎炎を治療するに、本方服用一段落して、咽干口干、食納減少、舌尖赤等の陰傷の現象が露呈してきた際には滋陰清熱の品を加味、或いは増量し、黄耆 人参の補気剤の用量を減じ、原方を堅持不変することなく対応しなければなりません。陰虚の症状が加重し、尿蛋白が再度増加することが臨床上少なくありませんので、患者の観察(診察)は怠ってはならないのです。<o:p></o:p>

 

血尿を伴う場合、大薊、小薊の二薊藕節蒲黄等を加味します。<o:p></o:p>

 

本方にて有効な効果をあげる患者の場合、尿蛋白は消失或いは顕著に減少、血清アルブミンの上昇、血清コレステロール、トリグリセリドの下降、顔色は紅潤となり、体重も増加し、脈象は有力に転じ、食欲も増加し、緩解を得られます。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の主薬は黄耆です。現代薬理学の研究で実証されていることは、尿中の蛋白を顕著に減少させること、病理組織変化の改善効果等です。(詳細は省略しますが)黄耆には蛋白尿を消除する作用や、BUN Creの降下作用等、腎炎の進展を抑制する効果があります。全身の栄養状態を改善させる効果も検証中です。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の他に、黄耆を含む升陽益胃湯、保元湯等でも腎炎蛋白尿に一定の効果があります。<o:p></o:p>

 

黄耆の常用量は40gから最大100gであることを付記します。<o:p></o:p>

 

黄耆は免疫増強効果があり、近年では腫瘍中医学にも多用されています。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の腎炎臨床応用の実際につては過去の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140120<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140121<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140122<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140213<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140210<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140217<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140214<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140209<o:p></o:p>

 

過ぎたるは及ばざるの(が)如し、消化不良を怖れて以上の症例報告にしました。<o:p></o:p>

 

黄耆、白花蛇舌草、益母草に関しては、興味がおありでしたら、それぞれ「ドクター康仁 ○○」で検索してご参照ください。<o:p></o:p>

 

次回は「蛋白尿 漢方薬 3 升陽益胃湯の活用」についてお話しします。<o:p></o:p>

 

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2014626日(木)<o:p></o:p>