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慢性腎不全 張琪氏漢方治療6.(腎病漢方治療206報)

2013-11-30 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

本日も張琪氏の腎不全医案を紹介します。

患者?某 58歳 女性

主訴:乏力6年間

病歴

1999年に乏力出現。感冒後に肉眼的血尿が生じ、尿蛋白(4+)、尿潜血(3+)、急性糸球体腎炎と診断され、抗生物質を投与されたが、尿蛋白は2+~3+、2002年乏力加重、ハルピン医科大学付属病院で検査を受ける。腎機能:Cre120150μmol/L1.361.70mg/dl);20056月患者は感冒後に全身乏力、Cre235μmol/L2.66mg/dl)、氏の外来を受診することになった。

初診時所見

乏力、腰酸痛、口苦時に悪心、納差、便干、舌質淡紫、苔白膩。尿検査:蛋白(2+)RBC20~25/HPWBC0~1/HPCre2219μmol/L2.5mg/dl)、BUN7.5mmol/L45mg/dl)。

中医弁証:湿濁化熱、胃熱陰虚

西医診断:慢性腎炎、慢性腎不全(失代償期)

治法:清胃熱 養胃陰 化湿濁

方薬甘露飲加減

生地黄20g 茵陳蒿20g 黄芩15g 枳殻20g 枇杷葉20g 石斛20g 麦門冬20g 大黄10g 草果仁15g 紫蘇20g 砂仁15g 芦根30g 何首烏20g 胡芦巴20g 桃仁20g 赤芍20g 川芎20g 土茯苓50g

14剤 水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

二診

服薬後まだ乏力あり、腰酸痛、口苦、悪心、納差、舌淡紫、舌苔白膩、脈滑。弁証はまだ濁毒内蘊、治法は祛邪を主とする。

方薬:甘露飲加減

生地黄20g 茵陳蒿20g 黄芩15g 枳殻20g 石斛20g 麦門冬15g 枸杞子15g 甘草15g 大黄10g 連翹20g 草果仁15g 砂仁15g 陳皮15g 麦芽15g 神曲15g 山楂15g 桃仁20g 丹参15g 葛根20g

14剤 水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

三診

患者の乏力、腰酸痛、口苦、悪心は好転、なお納差あり。舌淡紫、苔白やや膩、脈滑、尿検査、尿蛋白2+、RBC15~20/HP、ヘモグロビン9.8g/dl、弁証同然。

方薬:甘露飲加減

生地黄20g 茵陳蒿15g 黄芩15g 枳殻15g 枇杷葉15g石斛20g 麦門冬20g 甘草15g 草果仁15g 紫蘇15g 葛根20g 大黄10g 麦芽30g 神曲15g 山楂15g 砂仁15g 半夏20g 甘松(行気開胃醒脾)15g 公丁香10g 当帰20g 黄耆30g 太子参15

14剤 水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

経過

服薬後、Cre176.5μmol/L1.99mg/dl)、尿蛋白2+、ヘモグロビン10.1/dl、病情は好転し、中薬治療を継続した。

ドクター康仁の印象

嘔吐は無いのですが、口苦、時に悪心、納差、苔白膩から胃中湿熱の証と判断し、甘露飲加減をしたものと思います。大黄は通腑泄濁で一貫して用いられています。桃仁 赤芍 川芎 丹参 葛根などの活血化瘀剤は二診まで使用されていますが、瘀血の証が明確でないために、三診では除かれています。(葛根のみ三診に残されています)張琪氏は慢性腎不全の弁病から活血化瘀薬を使用していますが、使用量、種類、投与期間はそれぞれの症例に合わせて処方しているのでしょう。目を引くのは何首烏胡芦巴です。何首烏は補腎養血かつ不滋膩ですので、以前にも申し上げたように熟地黄より使い易いと思います。胡芦巴は温腎陽、逐寒湿寒湿を伴う腎陽不足に適している薬剤ですが、一方では湿熱陰虚と弁証しながらも、腎不全の弁病論として祛寒湿という考えをお持ちなのかもしれません。湿熱と寒湿は寒熱から言えば、性質が反対です。しかし、補陰清熱(治標)と補腎陽祛寒湿(治本)という一見矛盾する方法は張琪氏の真骨頂なのでしょう。初診時の舌質の淡と腎不全のデータから、腎気陽虚が本に存在し、(寒)湿が化熱した状態で受診したと氏は瞬時に判断して、標本兼治の治本目的で胡芦巴を使用したのかもしれません。これはあくまで私の推測です。清熱解毒剤の土茯苓(菝葜、山帰来)の大量50gの投与も、その薬性が平であることから脾胃を障害しないという氏の経験があるのでしょう。氏が愛用する温薬である砂仁(化湿行気和中)草果仁(温中燥湿)15g 白豆蔲(行気温中化湿消痞)15g 甘松(行気開胃醒脾)15gの組み合わせは嘔気に対応するもので、湿(濁)を嫌う脾の性質から化湿濁作用のある生薬群となっています。覚えておくと役に立ちますね。麦芽30g 神曲15g 山楂15gは消化剤群です。最終的に益気健脾として黄耆、太子参が配伍されていますが、前案のような心不全は有りませんので、紅参を使用せず太子参となっています。

20131129日(金) 記


慢性腎不全 張琪氏漢方治療5.(腎病漢方治療205報)

2013-11-28 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

昨夜は忘年会、河豚を鱈河豚食べました。

阪神御影(みかげ)塚町の割烹「一心(いっしん)」です。昨年も同会場、河豚でした。美味かったですよ。

本日も引き続き張琪氏の医案を紹介します。

( )内に私の印象を付記します。

患者:姜某 49歳 女性

初診年月日2005620

主訴:浮腫軽重5年、乏力軽重ここ2年。

病歴

5年前浮腫出現、時に軽く時に重い;ここ2年乏力出現。2週前胸悶気短、平臥不能、現地病院診断;慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、心不全Ⅲ度、中薬の薬湯を与え、貧血を補正し、心肌供血、利尿消腫により改善。1週間前、氏を受診、外来では“虚労”“慢性糸球体腎炎”慢性腎不全“と診断、入院治療となった。萎縮性胃炎病歴9年、乙方病毒性肝炎(B型肝炎)病歴9年、陳旧性前壁心筋梗塞あり。

初診時所見

症見乏力、胸悶、気短、咳嗽、咳白痰、悪心、嘔吐、納差、舌質紅、苔白膩干、脈沈。腎機能:Cre377μmol/L4.26mg/dl)。

(肝炎、心不全のデータが有りませんが、本案は腎病医案ですので省略は可とします。)

中医弁証:湿熱化濁 胃熱陰虚

(舌質紅、苔白膩干 悪心 嘔吐から湿濁化熱、湿熱内蘊傷陰、胃中湿熱と診断したわけです。)

西医診断:慢性腎盂腎炎 慢性腎不全(失代償期)

治法:甘露飲加減

方薬

生地黄20g 茵陳蒿15g 黄芩15g 枳殻15g 枇杷15g 石斛20g 麦門冬15g 甘草15g 竹茹15g 黄連10g 砂仁15g 陳皮15g 大黄10g 厚朴15g 半夏15g

21剤、水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

(甘露飲加陳皮、厚朴、白豆蔲、砂仁により行気化湿濁、半夏、竹茹、黄連、大黄で清熱解毒降気止嘔 通腑泄濁を図りました。)

二診

服用前方21剤後、気短、胸悶、乏力残存、咳嗽なし、白痰、悪心、嘔吐、身熱、不欲飲、舌質紅、苔白膩干、脈沈。腎機能:Cre313.6μmol/L(3.54mg/dl)BUN13.71mmol/L82.26mg/dl)、ヘモグロビン8.5/dl、尿検査:WBC0~1/HPRBC1~2/HP、尿蛋白(2+)。養陰清熱 益気活血、寛胸を治法とする。

(身熱、舌乾燥から熱盛陰傷、不欲飲水などから血瘀の証があり、胸悶、気短を血瘀阻絡により胸の陽気が阻閉されていると捉えました。紅参(三診で出現)、黄耆、桃仁、丹参、川芎、赤芍で益気活血を、半夏瓜蔞薤白湯にて寛胸散結を目的としたわけです。以下。)

方薬

石斛20g 麦門冬15g 黄芩15g 枳実15g 川黄連15g 大黄10g 柴胡15 半夏15g

瓜蔞20g 薤白15g 黄耆30g 桃仁15g 丹参20g 川芎15 


慢性腎不全 張琪氏漢方治療4.(腎病漢方治療204報)

2013-11-23 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

患者某 31歳 女性

初診年月日:2005117

病歴

一年前、腰酸乏力を自覚したが検査治療は受けなかった。10日前。悪心嘔吐が出現、黒い便を伴い、黒龍江省緩化市第一病院受診、胃の透視検査で胃十二指腸球部潰瘍が発見され、西薬の咪替丁片(シメチジン)を1クール服用して黒便は好転したが、まだ悪心、嘔吐があり:腎機能:BUN34.8mmol/L208.8mg/dlCre863μmol/L9.75mg/dl)、故に氏を受診した。貧血歴6年。

私の印象:消化管出血がある場合にBUNは上昇しやすいのです。このデータでは、腎不全が治ることはありません。早晩、血液透析や腎移植となるはずです。H2ブロッカーの初代のシメチジンの名前を久しぶりに耳にしました。2005年の中国ではすでに広く流通していたのでしょう。)

初診時所見

腰痛乏力、悪心、嘔吐、便干、面色萎黄、形体消痩、眼瞼に浮腫無く、舌淡苔白、脈沈細。尿蛋白(+)尿潜血(+)ヘモグロビン9.8g/dl、腎機能:BUN34.15mmol/L204.9mg/dl)、Cre1018.9μmol/L11.51mg/dl)。

中医弁証:湿濁化熱、胃熱陰虚

西医診断:慢性腎盂腎炎、慢性腎不全(尿毒症期)

治法:清胃熱 養胃陰 化湿濁

方薬:甘露飲加減:

生地黄20g 茵陳蒿20g 黄芩15g 枳殻20g 枇杷葉20g 石斛20g 麦門冬20g 大黄10g 草果仁15g 砂仁15g 竹茹20g 半夏20g黄連15g 乾姜10g 芦根30g 当帰20g

14剤、水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

私の印象:芦根は甘寒 生津、清熱止渇に作用します。太平恵民和剤局方が出典の甘露飲は枇杷葉 熟地黄 天門冬 枳殻 茵陳蒿 生地黄 麦門冬 石斛 甘草 黄芩の十味の組成ですが、陰虚挟有湿熱の疾患に用いられます。

再診

14剤服用後腰痛乏力軽減、悪心嘔吐の回数減少、睡眠は不良。腎機能:Cre919μmol/L10.38mg/dl)、効果が出ているので処方を変えないで、上方に夜交藤30g 酸棗仁20gの安神剤を加味した。服用14剤で諸症減軽、Cre799μmol/L9.03mg/dl)、前方加減を継続、活血化瘀薬を併用し、病情は好転。

ドクター康仁の印象

慢性腎不全で陰虚湿熱が慢性化すれば、胃内湿熱は必ず胃陰を損傷するので甘露飲が良いのです。胃の降濁受納が失調し、胃気上逆による悪心 嘔吐 納差になります。そこで、清胃熱、養胃陰、化湿濁が治療法となるのです。黄連を加え、黄芩を増し、茵陳蒿など苦寒清熱祛湿を行う一方で、竹茹、半夏、芦根で降逆止嘔(竹茹には泄濁の効果もあります)、草果仁、砂仁で化湿濁、大黄は通腑泄濁導滞に作用します。石斛 麦門冬 芦根は養胃陰清熱と考えれば理解しやすいでしょう。

但し、「脾胃受湿、瘀熱在裏」の状態に温裏薬の乾姜が一味加味されているところが、私には「はて?」と感じました。このような一味の「はて?」が張氏の匙加減なのでしょう。辛開苦降の半夏瀉心湯の乾姜の意味だろうと思います。

氏の活血化瘀薬群は大黄15g 桃仁20g 赤芍20g 紅花15g 丹参20g 時に葛根を組み合わせます。

本案の眼目は、西洋医ならあわてて血液透析の準備をする腎不全でも、一定の中薬治療で「落ち着かせる」「一時的寛解が得られる」いうところに有ります。

20131122日(金) 記

明日から2連休ですので「目をお休みさせるためにも、安息日には漢方医案を作成しない予定です。皆さん良い2連休をお楽しみください。


慢性腎不全 張琪氏漢方治療3.(腎病漢方治療203報)

2013-11-20 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

患者:解某、57歳女性

初診年月日200243

主訴:乏力十余年、近日悪心が加重した。

病歴

乏力十余年、系統的な検査治療を受けず、近日症状が加重、反復性の尿路感染の病歴がある。

初診時所見

乏力、脘悶嘔悪、咽干痛、舌淡、苔白膩、脈沈、血圧125/75mmHg、尿蛋白(2+)、腎機能:Cre508μmol/L5.74mg/dlBUN20.08mmol/L120.48mg/dl)、ヘモグロビン7.4/dl

中医弁証:胃陰虚、湿濁瘀血鬱滞

西医診断:慢性腎盂腎炎、慢性腎不全(腎不全期)

治則治法:養胃陰、化湿濁、活血解毒

方薬甘露飲合解毒活血湯加減

生地黄20g 石斛20g 麦門冬15g 黄芩15g 玄参20g 枸杞子20g 山茱萸20g 何首烏20g 竹茹15g 川黄連15g 大黄10g 金銀花30g 重楼30g 桃仁15g 赤芍20g 葛根20g 丹参20g 連翹30g 甘草15

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

(金銀花30g 連翹30g 重楼30gが目立ちますね)

二診 2002年4月17

嘔気は減少、なおも脘悶、咽干痛あり、舌淡、苔白膩、脈沈。Cre435μmol/L4.92mg/dl)、BUN15.69mmol/L93.8mg/dl)。養胃陰、化湿濁、活血解毒を続ける。

方薬:

石斛20g 麦門冬20g 黄芩15g 枇杷葉15g 玄参20g 知母15g 天花粉15g 

山豆根20g竹茹15g 川黄連15g 大黄10g 金銀花30g 重楼30g 


慢性腎不全 張琪氏漢方治療2.(腎病漢方治療202報)

2013-11-17 00:15:00 | 慢性腎不全 漢方

患者:周某 68歳 男性

初診年月日:20021218

主訴:倦怠乏力半年

病歴:

20026月明らかな誘引なく倦怠乏力が出現、検査にて腎機能異常が発見され、多医の治療を受けたが、明らかな改善は得られず、氏の外来を受診した。脂肪肝20年余、嘗て龍胆瀉肝丸を2年余服用したことがある。

初診時所見:

倦怠乏力、納差、心煩口干、口が粘る、大便2/日、舌質紅、中央に裂紋、辺に歯痕あり、苔白厚黏膩、脈大。尿検査:蛋白(+)、腎機能、Cre492.5μmol/L5.57mg/dl)、BUN10.23mmol/L61.38mg/dl)、ヘモグロビン6.1/dl、超音波検査で双腎体積縮小。

中医弁証:湿濁化熱 胃熱陰虚 瘀血内

西医診断:慢性間質性腎炎 慢性腎不全(高窒素血症期)

治法:清胃熱 養胃陰 化湿濁 活血化瘀

方薬:甘露飲加活血化瘀薬

熟地黄20g 生地黄15g 黄芩15g 枳殻15g 茵陳蒿15g 枇杷葉15g 石斛20g 麦門冬15g 川黄連10g 草果仁15g 砂仁15g 藿香15g 白朮15g 山茱萸20g 大黄10g 桃仁15g 丹参20g 赤芍15g 当帰20g 甘草15g

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

二診 2003122

近日胃脘張満、大便日に23回、便は薄く、舌質淡紅、苔白厚裂、脈大。腎機能:Cre496.9μmol/L5.61mg/dl)、BUN14.12mmol/L84.7mg/dl)、二酸化炭素結合力18.0mmol/L(正常域2030mmol/L或いは5070 Vol%) ヘモグロビン7.49/dl、尿検査:蛋白±白血球510/毎視野、赤血球1015/毎視野。弁証治療同前。

方薬

熟地黄20g 生地黄15g 黄芩15g 枳殻15g 茵陳蒿15g 半夏15g 砂仁15g 草果仁15g 白朮20g 神曲15g 葛根15g 赤芍20g 桃仁15g 当帰20g 丹参20g 甘草15g

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

三診 2003319

服薬30余剤、食後に胃張はあるが、口中異味感はない。舌質淡でやや水っぽく、苔白厚、脈大。腎機能:Cre447.7μmol/L5.06mg/dl)、BUN16.82mmol/L100.92mg/dl)、ヘモグロビン7.4g/dl、尿検査:蛋白(+)弁証治療同前、方薬前方加味

方薬                                                

生地黄15g 茵陳蒿15g 黄芩15g 黄連10g 半夏10g 陳皮15g 紫蘇15g 草果仁15g 太子参15g 白朮15g 茯苓15g 砂仁15g 白豆蔲15g 神曲15g 麦芽30g 山楂15g 大黄10g 桃仁15g 葛根20g 赤芍15g 丹参15g 山茱萸20g 何首烏20g 女貞子20g 瞿麦15g 甘草15g

水煎服用 1日1剤 二回に分けて服用

その後フォローアップしたところ、症状は著明に改善、Creは400μmol/L4.52mg/dl)前後、病情は穏定。

ドクター康仁の解釈

前案では甘露飲中の枇杷葉は配伍されていませんでしたが、本案では初診時に配合されています。枇杷葉は化痰止咳、和胃降逆に作用します。清胃熱の効果が甘露飲では見逃せないところです。

本案では消化剤の神曲15g 麦芽30g 山楂15gの組み合わせが施されています。

最終的な薬用中の何首烏には補益精血、抗マラリア作用、解毒、潤腸通便の作用がありますが、大黄 桃仁と共に通便泄濁に働くことも要点になるでしょう。女貞子は養陰薬ですが、山茱萸、何首烏と共に補(肝)腎に作用すると考えられます。大黄10g 桃仁15g 葛根20g 赤芍15g 丹参15g 当帰20gの大黄の通腑泄濁 活血祛瘀 葛根 赤芍 丹参の活血祛瘀、全当帰の養血活血は前案とほぼ同じです。最初の頃の熟地黄 当帰の組み合わせは貧血のための養血目的でしょう。貧血がやや改善してからは滋膩の熟地黄は除かれていますね。前案と比較してみますとよく分かります。砂仁(化湿行気和中)15g 草果仁(温中燥湿)15g 白豆蔲(行気温中化湿消痞)15gなどの組み合わせも前案と同様です。

前案の前記で日本の医療制度について間違いが有りました。最短でも医師になるのに24歳です。中国では張琪氏に見られる様に20歳から医療活動を開始したとあります。弟子派と学院派の違いでしょうか。本案にも誇張も無く、淡々と中医治療の結果を述べています。前案でも藿香発表解暑、化湿止嘔、行気止痛)が三診まで、本案では初診時に配伍されています。化湿と止嘔が主な目的だったのでしょう。

以上は中薬治療として素晴らしいものです。誇張がありません。データの捏造もありません。

20131116日(土) 記