主婦湿疹とは、手に起こる湿疹の総称で,とくに慢性刺激性接触皮膚炎,アレルギー性接触皮膚炎をいいます。主婦は水仕事をする機会が多く,また,皮脂を損なう洗剤などの刺激で手に湿疹が生じやすいのが原因とされます。刺激性薬品を素手で扱う美容師さんにも多い病態です。
症例は25歳の主婦で、特殊な刺激性の溶剤などに触れる仕事はしていませんが、3か月ほど前から「手荒れ」が酷くなり受診されました。 初診時の所見をご覧ください。
指先の発赤を伴う湿疹と皮膚の角化、手掌部分にも手掌と指の連結部分にも痒みを伴う「手荒れ」が認められます。左拇指の付け根部分は乾燥した皮膚がひび割れ、痛みを訴えていました。
肘部を観察すると、アトピー性皮膚炎を思わせる痒み、赤み、色素沈着が存在します。他に、体の観察できる部分にはこのようなアトピー類似病変は有りませんでした。
単なる手だけの主婦湿疹とは異なるようです。そこで、限局的なアトピー類似病変を考慮に入れました。
外用薬:オイラックス系痒み止め+保湿剤+少量のステロイド+生薬濃厚エキス(清熱涼血活血剤)全部を混ぜて外用剤としました。
内服漢方エキス剤:当帰飲子5g+消風散5g(1日2回に分けて服用)
抗アレルギー剤は処方しませんでした。
その後の経過をご覧ください。
乾燥と赤みと痒みは収まってきました。
肘部の皮膚病変も軽快しつつありますが、色素沈着が軽度存在します。 初診から約1年になる直近の所見をご覧ください。
手の湿疹はほぼ寛解しています。
肘部病変の再発は無く、色素沈着もほぼ消失しました。
主婦湿疹は頑固で難治性の症例が多いのが実情ですが、漢方治療で十分にコントロールが可能です。
ドクター康仁
2014年10月24日(金)
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