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慢性腎炎 乳糜尿 理血湯(りけつとう)加減治療 張琪氏漢方治療3(腎病漢方治療281報)

2014-03-01 00:15:00 | 慢性腎炎 漢方治療

相変わらず、引き続き「理血湯」の症例をご紹介します。( )内に適時、私の印象やコメントを挿入します。「理血湯」は尿血に対する方剤です。

それでは医案に進みましょう。

患者:呉某 36歳 女性

初診年月日1999121

病歴

乳糜尿3年、小便は混濁し米のとぎ汁様、粘りがある糸状の出血がある時に(それを引っ張り出すと)尿道に痛みがあり、長く治療を受けたが治らず、反復発作がある。ここ半年症状が加重、尿蛋白3+、尿潜血3+。

初診時所見

倦怠煩熱、眩暈腰酸、舌質紅苔白膩、脈細数。何度も尿検査を受けたが尿蛋白2~3+、尿RBC満視野/HP

中医弁証:腎陰欠損、陰虚内熱、精血不能固摂の証

西医診断:慢性糸球体腎炎兼乳糜尿

治法:滋陰補腎固摂、清熱分泌湿濁

方薬:理血湯加減:

生地黄20g 熟地黄20g 生山薬20g 阿膠15g 白芍15g 龍骨20g 牡蠣20g 海螵蛸20g 茜草20g 白頭翁15g 金桜子15g 亀板20g 大薊20g 小薊20

水煎、毎日2回に分服

経過

服用15剤、尿色転清、尿蛋白2+、RBC1015/HP、上方に仙鶴草30gを加味、服薬25剤。尿蛋白+、尿RBC12/HP、継続服用して治癒に至った。

ドクター康仁の印象

慢性糸球体腎炎があろうと無かろうと、血尿を伴う乳糜尿に有効な方剤ですから、メモしておくことにしました。男性でしたら慢性前立腺炎にも有効でしょう。

白頭翁は苦寒で清熱解毒涼血止痢に働き、大腸湿熱に対する要薬ですが、下焦湿熱による血尿に対しても有効であると226279280281報で学んだ訳です。それで顕微鏡学的血尿の続く慢性糸球体腎炎の患者さんに生地黄と共に使用しています。

陰虚内熱 湿熱内蘊の乳糜尿、血尿には理血湯、対照的な下焦虚寒証の乳糜尿に対しては萆薢分清飲(萆薢益智仁烏薬石菖蒲、食塩少量)が有効です。寒熱弁証の重要性を私がいつも強調している所以です。寒証、熱証の弁証論治は基本中の基本ですね。

もう3月になってしまいました。光陰矢の如く、白頭留まるを知らず。

2014 3日(