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糖尿病と うつ

2012-10-25 00:15:00 | うつ病

Marilyn Monroe depression blue Dr.Kojin Suzuki original JPN

糖尿病と「うつ」

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糖尿病が進行してくると網膜症のために視力が落ちてくる。神経症も進むので、外に出かける回数も減ってくる、やや引きこもりの状態になってくると、「意思の疎通」がうまくいかない。なにかのようなものが患者の周りに

出来上がる、その「違和感」も家人も感じる。

病院の分科別診療が進んでいるので、糖尿病の主治医が、

併診として精神科心療内科を受診させる。

その結果、「うつ病」、或いは「うつ状態」と診断されることも多い。

先日こんな記事があった。

糖尿病の患者はうつ病を併発して病気を悪化させやすいことから、

研修会が東京で開かれた。

国立国際医療研究センターで研修会に、医師や看護師mおよそ50人が参加。
糖尿病が専門の野田光彦医師が、糖尿病患者がうつ病になる割合は10%と、一般の2倍以上に上ると調査結果を紹介し、
 うつ病で意欲が低下すると、食生活が乱れ糖尿病が悪化し、

これが「負い目」となり、うつ病も悪くなる

「悪循環に陥りやすい」。
野田医師は、必要に応じて精神科医に相談すべきだと指摘。


看護師は、「うつ病を併せ持つ患者は増えていると感じるが、

接し方が分からなかった、研修を参考にしたい」と。

主催した国立精神・神経医療研究センターの伊藤弘人医師は、

「糖尿病で、うつ病はこれまで意識に上がってこなかった。研修を広げ、適切な治療を受けられる態勢を作っていきたい」と話した。

 糖尿病患者といっても各段階がある、元気にもりもり食べて快活な患者もいるが、末期の網膜症、神経症、腎症にまで進行すると、どんな快活な患者であっても、見えなくなる、感覚が鈍る、しびれる、白内障も手術した、じっと我慢していたが、ある日透析しなくてはいけないと医者から言われる。そして、入院 シャントの手術、透析導入、そして維持透析になり、今年で数年である。

という具合に、「病(やまい)」と付き合う時間が長すぎるのだ。

糖尿病に限らず、長く病気を患い続ければ「うつ傾向」がでてくる。

病院での待ち時間の総計は、診察、検査、手術(動静脈シャント術も含め)膨大となる。

仮に透析までの、10年間を患うと丸々125日分、睡眠時間を除いて考えれば、延べ375日、通院する時間を考慮し、仮にそれが往復2時間として、院外処方箋の処方までの待ち時間を考慮に入れなくても、約400日間を要する。

10年のうち、丸々1年を通院治療に要するのだ。

併診 併診でくたびれているのに、精神科併診となれば、

ますます必要な時間を要する。

見えない目で、複雑なスコア表に記入し」

医者は「見える目で前のパソコンだけを見」る。

「頭のMRI」「次は脳波検査」「さらに結果は次回」

となる傾向が出てくるだろう。

患者の時間(つまり人生)を浪費させない

という医療サイドの

基本的な視点が決定的に欠けている

腹膜灌流(腹膜透析)も含めて、現在日本では

23万人近辺の透析患者がいる。透析導入として最多の疾患は

糖尿病性腎症であり、2011年度の日本透析療法学界のデータでは

糖尿病性腎症による血液透析患者数は

18%弱である。

透析患者全体死亡原因のトップは25(四人に一人)が心不全

透析患者の自殺透析拒否の割合は0.7%であり、

総数21名圧倒的に低位である。

うつ病、うつ状態、ましてや糖尿病があったのかどうかの分析はされていない。私自身、糖尿病が進展すると「うつ傾向」が出現するものの、

末期になっても決して自殺するような透析患者を長い腎臓病治療の経験の中で見たことがない

現代日本では、平成21年の自殺者数は32,845人、

自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は25.8であり、

自殺は国内の死因別の順位で第7位、主要7か国の中でも、

男女とも日本が最も高い数字となっている。

うつ病が原因の自殺は年々増えて、

最近は40%(13000人強)をこえるというデータもある。

例えばの、話だ、糖尿病患者が「うつ」で自殺したとする。

死因は自殺による~であるが、その原因は「うつ」

その原因が「糖尿病」になるのか?よく考えて欲しい

国立国際医療研究センター「糖尿病が専門の野田光彦医師」

主催した「国立精神・神経医療研究センターの伊藤弘人医師」

両者に関しては全くの他人であるから、私の両氏へコメントはない。

ただ「負い目」は意味不明である。

いわゆる「国の方針」だからという「お墨付き」を貰うと、

一部の、儲け主義の「精神科」「心療内科」が顔を出してくる。

「病院内併診も多数に増加」する。

「糖尿病のうつ病はこれで治る 知らなかった真実」などという

「週刊誌レベル」の医師による「当たれば即逃げる」という

一発屋」が出てくる。

大衆は週刊誌、雑誌、書籍を買い込み浪費する。

製薬会社が新製品の「売り込み」の為に、国立系の医師、厚生労働省、

そして政治家に働きかけるから、根が深くなる。

「頓珍漢的本日のコメンテーター」がテレビで

「うちのオバアチャンが糖尿病だったんですが、

精神科にかかったら、治ったんですよぉ。もうビックリ」

などという特番が企画されないことを切に願う。

乱診も 皆んなですれば 国策なり

ドクター康仁 記


自律神経失調症 動悸 頻脈性不整脈 漢方治療

2009-03-10 08:58:40 | うつ病

うつ病の初期症状のこともあるので要注意

43歳の女性です。結婚して10年になりますが不妊症で婦人科の不妊症外来を受診中でした。体外受精も試みましたが3度とも妊娠にいたりませんでした。同郷のご主人とお見合いしてから結婚し、すぐに、ご主人と他県に移住してからはご近所付き合いもなく、ややさびしい専業主婦を続けていました。2年ほどまえから夜間の動悸発作が生じ、たびたび夜間外来や救急外来を受診するようになり、発作性頻拍症の診断を受け、プロカインアミド、リドカインなどの点滴を数回受けました。ある病院の循環器内科を受診し、甲状腺ホルモン検査、心エコー検査、24時間心電図などの検査を受け、発作性上室性頻拍症の診断を受け、リスモダン、インデラールなどの投薬を受けるようになりました。半年ほど前に知人であるご主人から相談を受けました。

「最近女房がおかしいんです。なにもしたくないと言い始め、家事もほとんどできない状態になり、不眠も強いので、診療内科を受診させたら うつ病 ということで、現在この薬を飲んでいるのですが、調子は芳しくなくて、引きこもりの状態になっているんです。薬も次第に増え、医師から自殺の恐れもあるから目を離さないようにと言われ、現在は女房の母親に来てもらって面倒を見ています。なにか呪われているような気もして来て、こっちも調子が悪くなってきました。女房の母親は、健康サプルメントなどを集めては女房に飲ませていますが、体調は悪くなるばかりで。喉が渇くと訴えて、いつも冷水をがぶ飲みしていて、下痢と便秘を繰り返してるんですよ。」

ご主人の話は以上のようでした。

服用中の西洋薬

服用中の薬剤は、抗うつ薬のパキシル、トレドミン、抗不安薬のソラナックス、睡眠導入薬、睡眠剤のデパス(日に3回計3mg服用)、ロヒプノール、メイラックス、ベゲタミン、抗不整脈剤のメキシチール、インデラール、抗潰瘍薬のガスター、ガスモチン(セロトニン受容体作動薬:重大な副作用は劇症肝炎、その他の副作用として、下痢、軟便、口渇など)、吐き気止めのナウゼリンでした。胃腸の調子が悪く、消化器内科で胃カメラをしたところ、軽い逆流性食道炎と糜爛(びらん)性慢性胃炎があったということで、抗潰瘍薬と吐き気止めが処方された経緯でした。さらにその消化器内科では胃潰瘍の薬でもありますが、抗不安作用のあるドグマチール、慢性胃炎、過敏性大腸症候群の治療薬であるセレキノンも処方されていました。またお腹が張るということで大腸のガスを除く、ガスコン錠も服用していました。驚くべきことには、不妊症外来を中断し、新たな婦人科を生理不順で受診し、早期の更年期障害の疑いがあるということで、エストロゲン(女性ホルモン)のホルモンパッチもしていました。つまり、彼女は43歳の若さで、循環器内科、消化器内科、診療内科、婦人科を次々と受診していたのです。それでいて、一向に症状が改善しないというわけです。

ひとつ歯車が狂うと、余波が全身に及ぶ典型です。振り返れば、動悸がうつ病の前駆症状でした。心筋の興奮性や電気伝導性を抑制する薬剤を循環器内科ではじめに処方されたのは、細分化された専門分野の現代の医療体制の中では、それはそれで仕方の無い、ある意味避けられない成り行きであったでしょう。しかし、不眠傾向や、胃腸機能の不具合も同時進行していたわけですから、もっとヒトを総合的に診る態度が必要とされていたといえます。

西洋薬の減量と中止

まず、不必要と思われるセレキノンを中止するように言いました。口渇の副作用が疑われたからです。その結果、幾分口渇は軽くなりました。ついで、ガスモチンも中止するように指示しました。この薬剤も口渇の副作用があります。その結果、以前ほどの口渇は感じられなくなり、冷水をがぶ飲みすることも無くなり、同時に胃腸の調子もよくなってきたのです。馬鹿馬鹿しいような話ですが、胃腸の薬を止めたら、調子がよくなったわけです。処方する側の医師も自分で飲んでみないから口渇の副作用を実感していないのです。もちろんガスコンも中止させました。中止したところで症状の悪化など何もありませんでした。もともと不必要な薬剤だったからです。ガスターは連日朝晩の服用を、隔日、寝る前の服用に減量するように指示しました。ナウゼリンは中止を指示しました。漫然と服用する薬剤ではないからです。私が胃腸用に処方した漢方薬は、安中散、半夏瀉心湯、参苓白朮散合方加減です。むかむかとした感じ、お腹の張り、下痢と便秘の繰りかえし、気が狂いそうな口渇感は収まりました。ガスターは隔日服用からやがては休薬となりました。特に症状の悪化はありませんでした。

睡眠薬との付き合い方

次に手をつけなければいけないのが睡眠薬です。

睡眠薬はどのような種類でも、副作用として、精神不安定を起こすものです。ささいなことでも、腹が立ったり、気分がめいることは経験則として否定できません。精神的にも肉体的にも依存性が出来上がり、睡眠薬が無ければ「無いことによる不安」そのもので眠れないことになります。ヒトはその精神的特性から「ある症状が起こるのではないかという恐れ、恐怖という精神的悪循環」から、もともとの症状の上に精神的な要素が何重にも絡んで来ます。こうなると西洋医学の細分化した顕微鏡学的ともいえる専門分野の薬剤がどんどんと増加して、しまいには手がつけられなくなるほど重病化しやすいのです。生体を本来のあるべき調和の取れた状態に戻してやることをしなければ、ほぼ永遠に症状は改善されることは無いのです。

デパスをがぶ飲みしないといられなくなるというのは、ある意味、医原性のもので、一時的な多幸感や開放感が得られるので、精神的、肉体的な依存性が出来上がってしまうのです。抗不安薬のソラナックスを服用していて、なぜ、日中もデパスを服用しなければ(処方する側からは服用させなければ)ならないのか?慢性的に服用していると、日中の倦怠感が非常に強くなります。就寝前に0.5mgを1錠だけにするようにと言い、日中の服用を中止させました。当初は不安感(というよりも飲まないと不安になるのではないかという恐れの感情)に襲われましたが、服用しないでもいられるようになりました。ついで、長時間作用型の睡眠薬であるロヒプノールを止めるように指示しました。日中の全身倦怠感が残存するからです。ベゲタミンも中止するように指示しました。デパス、メイラックス半量で十分です。私が処方した、酸棗仁湯、桂枝加龍骨牡蛎湯合方加減で十分睡眠が取れるようになりました。

次に手をつけたのは、発作性頻拍症です。まずβ―ブロッカーを中止させ、復脈湯と安神定志丸合方加減を服用させ、次に、リスモダンも中止させましたが、発作は出現しませんでした。彼女は調子がいいので、ワイパックスのみを服用するようになりました。

うつ病の薬剤であるトレドミンの服用を中止させ、パキシルを増量前の量で維持できるようになるまでには時間がかかりましたが、買い物や、家事が可能になり、表情を覆っていた曇りは嘘のように取れたのです。

エストロゲンパッチ療法を中止しても生理は規則正しくくるようになりました。

薬漬けになっていませんか?

さて、私が患者さんに強調したいのは、薬漬になるのを避けなさいということです。

西洋医学の細分化した顕微鏡学的ともいえる専門分野の薬剤がどんどんと増加していきます。しまいには手がつけられなくなるほど重病化しやすいのです。

生体を本来のあるべき調和の取れた状態に戻してやることをしなければ、ほぼ永遠に症状は改善されることは無いのです。西洋薬の薬漬けでは絶対に、自律神経失調症もうつ病も改善しません。

私は西洋薬を否定しているのではありません。現に、彼女は少量のパキシル、ワイパックス、就寝前のデパス、メイラックスを服用しているのですから。

私が問題とすることは、各専門分野の西洋医が多量に薬剤を処方することです。全部が全部とは言いませんが、心療内科の処方には目を疑いたくなる薬漬けのケースもあることは事実です。患者が眩暈(めまい)耳鳴りなどで耳鼻科を受診することも多く、そうなると、非常に薬剤が多量になってきます。必要最小限の処方ができる医師が良医なのです。

「自律神経失調症、うつ病のお問い合わせ」は下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 岡本康仁堂クリニック


自律神経失調症の諸症状 漢方的アプローチ

2009-02-26 08:17:07 | うつ病

西洋医は何もわかっていない?

「交感神経と副交感神経の二つの自律神経から成り立つ自律神経系のバランスが崩れた場合に起こる病態です。」と診療内科の医師は言います。

ある患者さんと医師との会話を聞いて見ましょう。

医師:「交感神経はアドレンリン、ノルアドレナリンの働きで、エネルギーの急速な補給が必要な戦闘状態にする働きを持つんです。瞳孔を散大させ、気管支を拡張させ、心拍数、心収縮力を増加させ、末梢血管を収縮させ血圧を上昇させるんです。筋肉への血液供給を増加させ、発汗を起こさせ、胃腸や膀胱の平滑筋を弛緩させ、緊張戦闘状態で便意や尿意を感じさせないようになっているんですよ。

副交感神経はアセチルコリン、ムスカリンの働きで、緊張を弛緩させ、戦闘状態から平常へ戻す働きを持ちます。散大した瞳孔を収縮させ、心拍数を下げ、末梢血管を拡張させ血圧を低下させるんです。戦闘状態で広がった気管支を収縮させ、無緊張だった胃腸や膀胱の平滑筋を収縮させ、尿意や便意を復活させます。」

患者「それでは私の場合はどうなんでしょうか?異常に汗っかきで動けばだらだら汗をかくし、寝汗もひどいです。倦怠感も強いし、、」

医師「交感神経優位なんですね。慢性的な交感神経緊張状態でしょう。」

患者「交感神経が緊張していれば体のかったるさは感じないんじゃないですか?」

医師「そういう理屈になりますが、人それぞれですし、、」

患者「それに、私は緊張すると交感神経の興奮でドキドキと心拍数は上昇するんですが、便意や尿意を催してトイレに行きたくなるんです。これは副交感神経の働きじゃないんですか?」

医師「そういう理屈になりますが、どうなんでしょうか、、、」

医師「慢性的なストレス状態では、生体は休息し、体力を回復させ、エネルギーを蓄える必要があります。これは副交感神経の働きです。心拍数や血圧を下げて、皮膚や胃腸への血流を増加させ、唾液腺の分泌を促進させ、胃腸の蠕動運動を促進させることになっています。あなたの場合は本来、交感神経興奮が起きても不思議じゃない時に、逆に副交感神経が興奮するんじゃないでしょうか?」

患者「その原因って何なのでしょうか?」

医師「さあ、ひとそれぞれですから、、」

患者「先の阪神淡路大震災の起こった時に、異常に喉がからからに乾燥した経験があるのですが、それは交感神経が正常にはたらいたということになるんでしょうか?」

医師「そのときは正常だったんでしょうねぇ」

医師「自律神経の中枢は脳の視床下部にあって、この場所は情緒、不安や怒りなどの情緒の中枢とされる大脳辺縁系と相互連絡しているんです。だから、情志(情緒)の問題も関わって来るんですよ。

情志(情緒)の問題も関わる場合には、自律神経失調症の病態は実際にはうつ病、パニック症候群や身体表現性障害などが正式な病名として認められる場合もあるんですよ。悪性腫瘍でも似たような症状が表れます。」

患者「最近は下痢気味なんですが、むしょうに腹が立つことがあると、急にお腹が痛くなって、水みたいな便が出るんですけど、これって、交感神経の働きとしたら何か変ですね?まさか悪性腫瘍なんてことはないですよね?」

医師「さあ、人それぞれですから。とりあえず、抗不安薬を増やして、安定剤と睡眠薬の量も増やしておきますから様子を見ましょう。」

患者「安定剤を増やすんですか?安定剤って先生のおっしゃる自律神経の交感神経、副交感神経のどちらを安定させるのですか?」

医師「、、、沈黙、、、、」

極論ですが、西洋医の大半は何もわかっていないのです。忙しい診療の合間に以上のような会話が成立すること自体不可能に近いのですが、

医師とすれば「やれやれ、あとカルテが何枚残っているのだろうか?」

などと思いつつ

「とりあえずは安定剤を出しておけば、治るものは自己回復力で治るだろうし、治らなければ再診でくるのだから、このへんで終わりにしよう。」

と内心考えています。

診察室を出る時には、おきまりに「お大事に~」と看護婦さんがおっしゃいます。

患者「やれやれ、何にもわからない。何を、どのようにお大事にするんだろうか?」と、またもや納得しない気分で、重い体を引きずって、病院の会計に向かうわけです。

実は西洋医だったころ、医学部卒業して約30年間は私も上のような「いい加減な医者」でした。ところが、漢方医学を勉強するようになってから、ある日、突然に目の前の霧が晴れたように感じたのです。

自律神経失調症の症状と漢方の考え方の概説

自律神経失調症とは「検査をしても異常がみられないのに、さまざまな症状が現れる病気」と現時点では考えてください。検査をして何らかの異常がある場合や、慢性肝炎、糖尿病などの基礎疾患がある場合は除外します。また、躯幹部の悪性腫瘍、脳腫瘍などの気質的な疾患がある場合も同様に除外します。

この際、交感神経、副交感神経などの知識は一切忘れてください。

    症状をあげてみましょう。それに漢方医学の考え方を簡記します。

全身症状:易疲労感、だるさ、眩暈(めまい)、立ちくらみ、不眠、食欲不振、フラフラする、手足の火照りなど 

    主として気虚(ききょ)と血虚(けっきょ)、陰陽のバランスの欠如として考えます。

情緒症状:怒りっぽい、イライラする、落ち込む(気がめいる)などは肝気の流れが阻害された肝気郁結として考えます。やる気の無さ、集中力の欠如などは髄海不足として腎虚、気虚の両者から考えます。不安感も肝気と関係します。強迫性障害(ささいなことが気になって仕方が無い)は、患者さんのおのおのの体質に合わせ、陰陽のバランスを整え、必要であれば安神剤(安定剤)を処方します。うつ病、パニック症候群もそれぞれ漢方的な弁証治療が可能です。

頭部症状:頭痛、頭重は「内傷頭痛」として、肝 脾 腎の臓の機能から弁証(診断)します。

   :眼精疲労、乾燥感、結膜の充血、涙目に対しては、肝血不足、肝腎陰虚、肝腎不足などから弁証を進めます。

   :耳鳴が最も多く、腎気不足、脾胃虚弱、肝火、痰火、瘀血などが関与します。

口腔  :口味異常、舌痛、口干(口が渇く)などは、脾気虚、痰湿、陰虚などから弁証します。

咽喉部 :異物感が最も多く、主として痰湿の弁証を中心とします。

呼吸器 :息切れは気虚、胸苦しさは痰湿、痰火などから弁証を進めます。肝気と肺気の相互の関係や、腎の関与も考慮に入れます。

心臓  :心悸(動悸)、心痛、血圧の不安定などが多く、心血、心陽、陰虚を中心に、水飲、淤血へと弁証を進めます。

消化器 :嘔気、下痢、便秘、おならが出やすい、ガスが溜まりやすいなどは、脾を中心に肝気、陰陽のバランスを平行して弁証を進めます。

皮膚  :痒み、乾燥肌、脂性肌、異常発汗(多汗証)などは、風(ふう)、血熱、陰血虚、湿熱、衛営不和などが原因となります。

筋肉 筋(すじ):肩こり、背部痛、無力感などです。主として脾胃の弁証を中心にして、肝、腎の弁証を進めます。痿症(いしょう)の漢方的なアプローチを行う場合があります。

四肢  :痛み、痺れ、冷え、火照りなどに対しては、痹症(ひしょう)の漢方的なアプローチの他に、「冷え」の漢方独自な解析と、陰陽のバランスを重視します。

泌尿生殖器:婦人病としての月経に関係する諸症状や陰部掻痒、帯下病は殆どの場合漢方にて対応が可能です。その他神経性頻尿、無菌性膀胱炎、男性の心因性インポテンツ、陰部掻痒なども漢方で弁証治療が可能です。女性の更年期障害の諸症も漢方の得意とする分野です。

患者さんにとってもっとも切実なのは「症状の改善」なのです。漢方医学は十分にその切実な要望に応えることができると思うのです。

自律神経のバランスが崩れる原因(七情内傷)

現代医学ではホルモン異常、生活習慣の問題などの他に、最大の原因としてストレスをあげています。精神的に緊張した状態が続くと、交感神経優位の状態が続き働き、バランスが崩れて、やがて自律神経失調症になってしまうと考えるのがほぼ常識化しています。

中国漢方医学では「七情内傷」といい、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種の情志が人体の生理活動範囲を超えた時、疾病の発生原因となると考えます。

七情発病の特徴は

① 発病当初に続いて七情内傷(直接に相応する内臓に影響を与えること)がおこる。

② 臓腑の気機逆乱、気血失調を起こす。

③ 心(しん)から始まることが多い。

④ 心、肝、脾の三臓の気機逆乱と気血失調が多く見られる。

⑤ 怒即気上、喜即気緩、思即気結、悲即気消、憂即気郁、恐即気下、驚即気乱の性質を持つ。

⑥ 持病を重くさせ、悪化の速度を早くさせる。

⑦ 精神疾患と関係する。

の以上です。たとえば精神的疲労によって最も損傷されやすい臓は心と脾です。怒りによって損傷されやすい臓は肝です。

 また中国医学では労逸(ろういつ)(過労と過逸)は、精神状態も含めた人体の正気(免疫力と言い換えてもいいでしょう)に悪影響を与えるといいます。過労とは過大な精神的、肉体的、性的、出産による疲労を指します。過逸(かいつ)は不労(ふろう)ともいい、安逸をむさぼることです。過逸により気血のめぐりが悪くなる。痰湿が出やすくなり、「久臥傷気」といい気を損傷するとも言われます。怠けすぎてもよろしくなく、ヒトは適度な労働が必要であると中国医学(漢方医学)は教えています。

「情緒の変化により、情緒の病を治す」という中国古典の考え

いまから2200年ほど前の「素問」陰陽応証大論に以下のような記載があります。

過度の喜びによる病気は恐れさせると治る

過度の悲しみによる病気は喜ばせると治る

過度の思慮による病気は怒らせると治る

過度の怒りによる病気は悲しませると治る

過度の恐れによる病気は思慮させると治る

これらの治療法での具体的な成功例は、その後の古典に多く記載されています。

サイコセラピー(精神療法)は古代からあったのです。

しかし初学者は絶対にしてはなりませんよ。患者さんの心理状態に入り込んで、情緒を変化させる手法は経験のつんだ熟練漢方医でも難しいことなのですから。

私はまだその域に達していません。長寿を授かり、80歳を越したころにようやくその門扉を開くことができると期待しています。

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自律神経失調症、うつ病の倦怠感 疲労感の漢方治療

2009-02-24 12:59:09 | うつ病

自律神経失調症の全身症状として最も多くの人が訴えるのが、倦怠感 疲労感です。

倦怠感、疲労感に加え、全身に力が入らないなどの不調がみられます。はたして独立疾患であるかどうか疑われている「慢性疲労症候群」や「うつ病」の初期症状としても注目されます。病院を受診しても「疲れが溜まっているんでしょうから、栄養剤の点滴をしておきましょう。」と言われ、500ccから1000ccの点滴を受けることが多いのですが、実際は点滴が必要な細胞外液の不足があるほどの脱水症はほとんど無いのです。ではなぜ点滴をするかといえば、他に即効性がある有効な治療法がないからです。ある意味、その場で「お茶を濁す」的な対症療法です。加えて、疲労感が無くなったとか、体が軽くなったとかという患者さんの喜びの声もほとんどありません。点滴依存の現状は「病院に行けば点滴をしてもらえる」という患者さんの思い込みと、「他に方法がないから点滴ですます」という「なんとなくのコンセンサス」ででき出来上がった結果でありますが、効果は不十分ですし、治療目的もあいまいなものです。

私はあまり点滴もしないし、ビタミン剤や抗うつ剤も処方しません。まず、最初に漢方薬を処方します。私の漢方の考え方を述べたいと思います。

まず、疲労 倦怠感の著しい「慢性疲労症候群」をモデルに論を進めます。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、これまで健康に生活していた人が原因不明の強い全身倦怠感(体に鉛をつめられたような倦怠感とたとえられています)、微熱脱力感や、頭痛思考力の低下抑うつ等の精神神経症状などが起こり、長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという状態をいいます。現在、日本には20万人の患者がいると推定されています。原因は不明で、ウイルス感染やストレスの蓄積が引き金となって、免疫、神経、ホルモン調節の異常が起きると推定されています。以上の症状を自律神経失調症やうつ病の諸症状と照らし合わせると、一致しないところを見出すのが困難であるほど共通しています

私の治療方針

中国医学では慢性疲労は気血が不足するためおきると考えます。「脾は後天の元であり、気血を生化し、四肢を主る(つかさどる)」といいます。慢性疲労は脾気虚と関係がもっとも深く、脾気虚は「清陽不升 濁陰不降」という病態を起こします。病気が進行すると(これを久病といいます)、腎に影響が及んで治りにくくなります(久病及腎といいます)。さらに「久病挟瘀」「痰成怪病」といい、瘀血や痰飲などの病理産物が体にたまると病状が悪化します。治療としては脾気を補い清気を上昇させます。病態に応じて腎精を補い、瘀血や痰飲を除きます。一般的に、

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)加減を行います。

脾気を補う人参、黄耆、白朮、炙甘草などと清気を上昇させる柴胡、升麻などを基本にします。

補中益気湯(脾胃論):黄耆が君薬です。

組成:黄耆1530人参白朮炙甘草6 柴胡3升麻3 当帰陳皮

水煎服用するか或いは一日23915gの丸剤を服用します。

効能:補中益気 昇陽挙陥 甘温除大熱

疲れすぎて発熱するような場合にもまずは試していい方剤です。

ただ漫然と出来合いのエキス剤を処方するのではなく、患者の状態に合わせて細かく微調整します。

瘀血があるときは丹参、当帰、桃仁、紅花などを、痰飲があるときは半夏、茯苓、陳皮などを、腎精不足が見られるときは地黄、山薬、枸杞子、巴戟天、仙霊脾、海馬、鹿茸、紫荷車などを併用します。微熱が続くときは、生地、地骨皮、銀柴胡、亀板、鼈甲などを、冷えが強いときは炮附子、肉桂などを、関節痛がひどいときは杜仲、桑寄生、骨碎補などを併用します。うつ病あるいは自律神経失調症の患者さんには原因不明の筋肉、関節痛を訴える方がいらっしゃいます。これに対しては寒湿が原因なのか瘀血が原因なのか腎虚が原因なのかを弁証して処方を加減します。

一般内科では十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)を処方されることもあります。

十全大補湯(太平恵民和剤局方)党参 茯苓 白朮 炙甘草 当帰 熟地 白芍 黄耆肉桂

十全大補湯は気血双補の方剤ですが、私は人参養栄湯(にんじんようえいとう)をよく用います。

人参養湯(太平恵民和剤局方)十全大補湯(八珍湯+黄耆肉桂)から川芎を除き遠志五味子陳皮を加

党参茯苓白朮炙甘草当帰熟地白芍黄耆肉桂 遠志五味子陳皮

 精神安定作用のある遠志が配合されています。

精力低下し、腎精不足が考えられる場合には海馬補腎丸(かいばほじんがん)などを併用します。

眠りが浅く、胸苦しさが慢性的に伴う場合には温胆湯(うんたんとう)加減を併用すると効果的です。

温胆湯(備急千金用方)半夏 陳皮 茯苓 炙甘草 竹茹 枳実 生姜 

注意すべきことは、自己判断で「慢性疲労症候群」と即断して、薬店などで薬を買い求めないことです。証に合わなければ、かえって症状を悪化させることになります。あくまでも、漢方専門医に相談のうえ、ご自分の証に合った処方をしてもらうようにしてください。

私論ではありますが、頭から漢方治療を否定されるような診療内科、精神科、或いは一般内科の医師を受診されることはお止めになった方がいいのです。

患者さんに出された処方箋を見ると「これを全部服用しているんですか?」と驚くような大量の睡眠剤、抗不安薬、抗うつ薬の処方が目立ちます。

倦怠感 疲労感などが改善した例はごくごく少数です。

漢方治療の有効性と安全性について再認識される時代になってきていると思います。

「自律神経失調症、うつ病のお問い合わせ」は下記URLより

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