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皮膚のトラブルは女性につきもの(続報4)アトピー類似性皮膚炎(アレルギー性鼻炎、の合併例) 中西医結

2014-09-26 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 問診票の既往歴に、アトピー性皮膚炎、慢性鼻炎、気管支喘息を列記される患者さんは実際多いものの、臨床現場での印象では、アトピー性皮膚炎と気管支喘息が同程度に活動性が有る場合は少なく、殆どの場合には、小児期に喘息、(成人例では)成人になってからの皮膚炎、アレルギー性鼻炎の残存例が多いようです。患者さんが、以前にアトピー性皮膚炎で治療を受けたとおっしゃる場合に、既に、典型的なアトピー性皮膚病変は消退していて、アトピーとは別種の皮膚アレルギーが新たに出現してくると思われる場合もあります。私がアトピー類似性皮膚炎とタイトルに記載した理由は、そのような別種の皮膚アレルギーを疑ったからです。

 

症例30代女性です。

初診:平成248月上旬 

主訴:現在治療中の全身の皮膚の痒みを治してほしい(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎と言われている)。痒みのために睡眠不良。眠っている間にも無意識で掻いてしまう。

 

初診時所見:呼吸音は正常。ここ数年は、喘息発作は有りません。患者さんが持参した血液検査では、末梢血液検査で好酸球の軽度の増加(13%)が認められる他に、生化学検査は異常なし。

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3か月ほど前から痒みが酷い顔面(特に眼瞼周囲)の発赤疹。色素沈着無し。炎症性の浮腫が認められます。ステロイド剤多用によるムーンフェイス(満月様顔貌)の可能性も存在します。全身的にステロイドを多剤外用すれば、それだけでもムーンフェイスが出現することがあります。眼球結膜の発赤無く、鼻症状(鼻汁)軽度有り。

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前胸部特に乳房上部に痒疹が顕著。

 

 

 

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アトピー性皮膚炎とは異なり、前腕、下腿の伸側に痒疹(一部丘疹化)が存在。

 

某皮膚科の処方内容:抗アレルギー剤としてオロパタジン5mg(副作用については前報に記載しました)、ネリゾナユニバーサルクリームステロイド)、デキサンVG軟膏ステロイド)、アンテベート軟膏ステロイド)、パスタロンソフト軟膏(尿素軟膏 保湿剤)、エンペラシン錠剤(抗ヒスタミン剤とステロイドベタメサゾンの合材)と、同時に3種類のステロイド外用、合剤とは言え、ステロイド内服と非常に偏った処方でした。しかも薬の効能、注意事項にはステロイドであるという情報は一切記載がありませんでした。「湿疹や皮膚の炎症や痒みを抑える塗り薬です」という薬剤説明は、故意にステロイドという情報を除いたものでしょうか。

 

特異的IgE検査結果:ヤケヒョウダニ、ハウスダスト、スギに強陽性、ミルク、小麦、カニ、エビ、アサリに弱~中等度陽性

 

初診時に私が考え指導したこと

 

アトピー性皮膚炎ではなく、アレルギー性湿疹と診断。現に皮膚局面の改善が無い以上、皮膚科の服用薬、塗り薬の残薬は減量すべきである。ステロイド減量による反跳(リバウンド)が危惧されるので、ステロイドは漸減して、一部継続する一方で、即座に食事療法を開始する。皮膚の痒みを悪化させる辛い食品の禁食(代表はカレーとキムチ、ニンニク、ニラ、生の玉ねぎの類、うどんを食べてもいいが唐辛子を入れない、ラーメンの際の胡椒も避ける。餃子の具に豚の挽肉、生姜やニラ、ニンニクを入れないように特に注意する、餃子のタレにラー油は禁物)と、チョコレート類はなるべく食べない。入浴温度を低めにするのが良い。飲み物は麦茶か緑茶にする。紅茶は避ける。生姜(しょうが)紅茶は禁止(シナモン紅茶も禁止)。外食もなるべく避ける。焼肉食べ放題などのイベントには参加しない。牛肉、豚肉、羊肉は避ける。特に羊肉は禁止とする。鶏肉は食べてもいいが、タレは塩味にする。カニ、エビ、アサリは食べなくても十分に栄養は摂れる。太刀魚やウナギは経験上食べない方がよい。アナゴも同様に避ける。外食、特に寿司屋などでうっかりして禁食が崩れないようにする。うっかり食べてしまった場合は、残りは(注文してもったいないと思うかもしれないが)食べないようにする。野菜ジュースでも成分的に香辛料の配合があるものが存在するので中身を吟味して買う。サプルメント服用には特に注意が必要であり、私と相談の上で購入する。高麗ニンジンは飲んではならない。外出時やエアコンの掃除などの際には花粉症マスクを着用し、可能であれば空気清浄器を購入する。徹底的にダニ退治を行う。趣味でダンスをしているとことで、運動後の発汗には、すぐにシャワーがベストであるが、シャワーが不可能ならウェットティシューで汗自体をふき取るのが良い。睡眠中に無意識に皮膚を掻いてしまうのを防止するためには、抗アレルギー剤のロラタジン10mg1錠を眠前に服用するのが良いであろう。それでも痒みが強ければ、一時期抗ヒスタミン剤とステロイドの合剤(セレスタミン等、それこそジェネリックのエンペラシン錠剤でもよいのですが)を1錠、眠前に短期服用しても支障はないであろう。等、等です。

 

 

処方内容連翹(清熱解毒、清癰散結) 生地黄(養陰清熱) 黄柏(清熱解毒燥湿 退虚熱 堅陰) 知母(清熱潤燥) 麦門冬(養陰潤肺 益胃生津 清心除煩) 北沙参(清肺養陰、益胃生津) 当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便) 白芍(養血斂陰) 蝉脱(疏風熱 抗アレルギー) 烏梅(抗アレルギーの意味で使用) 茯苓(健脾利水) 荊芥(祛風止痒) 防風(祛風止痒) 白蒺藜(平肝潜陽、疏肝解鬱、疏散風熱、明目止痒) 白鮮皮(清熱解毒祛湿止痒)等

 

経過

 

外用薬は途中から康仁堂慢性アレルギー性皮膚炎方に変更。多剤ステロイドは漸減。オロパタジンは他剤に変更しました。

 

 

 

第5診察(平成249月末日)皮膚所見

 

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顔面の痒疹、全身の痒疹は消失。下肢の痒丘疹も消失。ムーンフェィスの改善なのか、炎症性浮腫の改善なのかは判別できませんが、顔面のスッキリ感が生じてきました。

 

 

 

直近 平成267月某日の前胸部乳房上部所見。写真下。

 

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乳房上部から前胸部にかけての痒疹は再発無く、すでに消失。色素沈着も有りません。四肢の痒疹再発も無く、鼻炎症状も無く、病情穏定と判断しました。

 

 

 

後記

 

ダニや埃(ほこり)の無い世界に移住することは不可能です。ましてや杉花粉は日本のいたるところで飛散します。カニ、エビ、アサリは食べなくても生命維持には問題ありませんが、ミルクや小麦はあらゆる加工食品に配合されています。逃れられないアレルゲンの環境の中で生活していくしか無いのが実情です。適時、西洋医学と漢方医学を併用して症状の改善を目指していくしか有りません。しかしながら、苦し紛れのステロイド多剤外用と内服は大いに疑問のある治療法ではないでしょうか。素晴らしい効能を持つステロイド外用剤でも、乱用に近い処方は「開業医処方」であると「ステロイド外用剤の専門家」から揶揄されても仕方ないと感じます。

 

私の治療指針は、中西医結合(漢方&西洋医学結合)治療を以て、人体の自然治癒力のお手伝いをするのを基本としています。

 

いつも申しあげているように、皮膚科領域では効果が一目瞭然ですから、「論より証拠」なのです。

 

 

 

ドクター康仁

 

2014926日(金)

 

 


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