婦人科系悪性腫瘍 特に乳がんに対する抗がん生薬としての山慈菇
山慈菇(さんじこ)は中国では山慈姑(シャンツィーグ)と草冠を除いて姑と表記されることが多い。
現代の中医学病院では山慈姑を一般の疾患にはほとんど用いない。主に、婦人科系の悪性腫瘍、特に乳がんの治療に用いられている。私共の康仁堂では乳がん、子宮筋腫、卵巣のう腫などに用いて効果を得ている。古くは皮膚の化膿症や結核性リンパ節炎、俗に言う瘰癧(るいれき)に外用あるいは煎じ薬として用いられた。有効成分は各種のアルカロイドとされるが研究は進んでいない。中国では急性の痛風発作に使用されることがあるので、コルヒチン様の効能があると推定されている。また、狂犬にかまれた際に山慈姑末の塗布や服用が有効だという言い伝えがあり、ある種の抗ウイルス作用があるのではないかと推定されている。
山慈姑(サンジコ) 甘 微辛 寒 小毒 帰経は肝肺脾であるとされる。《滇南本草》には「入脾、肺二経」、《本草再新》には「入肝、肺二経」とある。断面は黄白色で、質の硬いものが良品とされる。 清熱解毒消癰(しょうよう)散結に働く。癰(よう)はできものの意味である。現代中国の簡体文字では消?と書く。四川 貴州 チベットが主産地として有名である。四川省大地震やチベット騒乱の影響を受けて、山慈姑の価格は急上昇しており、来年は入手が困難となるかもしれない。 本草綱目彩色薬図 貴州科技出版 2003年版によれば、 山慈姑の基源hサイハランCremastra appenndiculata Makinoである。かの李時珍はこのサイハランの地下鱗茎を以って山慈姑としたと伝えられている。 しかし、アマナ(Tulipa edulis Baker)、独蒜蘭(Pleione bulbocodioides Rolfe),雲南独蒜蘭(Pleione yunnanensis Rolfe)の鱗茎も市場には山慈姑として出回っている。効能の差は不明である。中国では5~6月に地下茎を掘り起こし、洗浄し陰干しにする。 山慈姑の抗がん作用 山慈姑抽出液をマウスの正常培養細胞に添加すると有糸分裂中期で細胞分裂が阻害されることが判明しています。また、ヒト白血病細胞に対しても同様の効果があるらしいことがわかってきました。
中国腫瘤科(がんセンター)での山慈姑の乳がん処方例をご紹介します。 山慈姑、蒲公英、白英、竜葵、夏枯草、紫草根、穿山甲各15g,全瓜萎、王不留行各10~12g,橘皮,橘葉、浙貝母各6~9gを煎じて服用。別に全蝎粉1.5gは水で服用。 同じく絨毛細胞癌の処方例として、 山慈姑、黄耆、敗醤草、白及各10~15克,赤小豆、魚腥草、冬瓜仁各30g,茜草、阿膠、人参(党参)、当帰各9g 煎じて服用。 また、ある治療院では白血病に対して 山慈姑、山豆根各15g,白花蛇舌草、黄薬子、竜葵各30gを一日量として煎じて服用した結果、完全あるいは部分寛解を得たという報告もあります。中国ならではの報告です。 山慈姑の抗がん作用の解明には今後の研究を待たなければなりませんが、現実的に私どもの治療院で山慈姑を乳がんや肝臓癌などに用いて病状の安定を得ていると付記いたします。
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