本日は糖尿病性腎症の参耆地黄湯加減治療の2案目です。
( )内に随時私のコメントや印象を入れます。
それでは医案に進みましょう。
患者:万某 75歳 男性
初診年月日:2005年7月4日
病歴:
糖尿病歴10年。1年前双下肢に浮腫出現、北京武警病院にて検査、尿蛋白3+、糖尿病性腎症と診断され、対症治療を受けた。2005年4月、全身浮腫と乏力にて氏の病院で治療を受け病情は好転した。ここ1週間、双下肢浮腫、乏力にて再度氏の病院を受診した。
初診時所見:
双下肢浮腫と冷え、乏力、面色萎黄、舌質紅、苔薄白、脈沈。BUN13.45mmol/L(80.7mg/dL)、Cre171.2μmol/L(1.93mg/dL)、ヘモグロビン9.8g/dL。
中医弁証:腎虚水湿内停之水腫
西医診断:糖尿病性腎症、慢性腎不全
この患者は多年病を患い、腎虚に至り、腎失開合、気化失司、水湿内停、故に浮腫を見る;腎虚元気不足の故に乏力を見る;“久病入絡”となり、水湿内停と血瘀がある;舌質紅、苔白、脈沈は全て腎虚、水湿と血瘀のなすところである。
治法:益気補腎滋陰 活血化瘀
方薬:参耆地黄湯加味
熟地黄25g 山茱萸20g 山薬25g 茯苓20g 牡丹皮15g 澤瀉20g 黄耆50g 太子参20g 丹参20g 赤芍15g 川芎20g 当帰(活血養血)20g 牛膝(活血兼補肝腎強筋骨、引血下降の作用は降圧に作用)15g 石斛(甘、微寒 帰経胃、腎、功能 養胃生津)20g 鶏血藤(苦/温 活血養血 舒筋活絡)30g 桂枝(通陽)15g
水煎服用、毎日2回に分服
(前案と同じ参耆六味地黄湯加味方ですが、桂枝で通陽し、温薬の川芎、当帰、鶏血藤で活血化瘀するところが前案とやや趣きを異にしています。冷えが感じられたためです。丹参、赤芍は前案と同じですね。石斛は胃陰不足に効果があります。全体として、益気養陰、活血化瘀、通陽の配伍です。)
二診:
7剤服用後、まだ乏力、双下肢浮腫、冷えが残存、舌質淡、苔白潤、脈沈。病情緩解不明瞭、浮腫はまだ重い。陽虚水気不行を考慮して、水湿の邪を袪除するを主として、温陽活血利水を法として治療する。
方薬:
鶏血藤30g 当帰20g 桂枝15g 附子(補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)10g 赤芍15g 石斛20g 王不留行(活血化瘀)20g 薏苡仁(利水滲湿)30g 防己(祛風湿、止痛、利水)10g 土茯苓30g 五加皮(辛、苦/温 祛風湿、強筋骨 利水)15g