gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

アンチエイジングの為の薬酒

2008-07-29 14:40:30 | アンチエイジング

肉豆?酒(にくずく酒 ロウドウコウジュウ)

暑さをしのぎ、胃腸機能を高め、夫婦愛を高める肉荳蔲 酒(ナツメグ酒)

材料

肉荳蔲 100g(ハンマーなどで砕く) 氷砂糖200g 焼酎あるいはブランデー1リットル

作り方

材料を混ぜて約1月で服用できる。

ナツメグ(和名 肉荳蔲 (にくずく) 中国名 肉荳蔲(ロウドウコウ)

熱帯性のニクズクの常緑樹の直径4cmほどの杏のような実の中の種がスパイスで古来より珍重されてきたニクズクの種子で、種の殻を割った中身の仁がナツメグ(肉荳蔲)である。

漢方薬肉豆? は英文でMatured seeds of Myristica fragrans HOUTTと表現される。中国の別名は肉果(ロウグア)である。

性味は辛 温で脾 胃 大腸に帰経を持つ。肉荳蔲 は収斂薬に分類され、?腸止 温中行気に働く。漢方薬の肉荳蔲 の最大の特徴は止瀉(下痢止め)作用であり、慢性の下痢(久瀉)に効果がある。老人が早朝、ちょうど鶏が時を告げるころに下痢がおこる五更泄潟(腎泄)は腎陽によるものだが、腎泄に対する有名な方剤「四神丸(ししんがん)」に配合されている。

四神丸(ししんがん)

補骨脂 肉荳蔲 五味子 茱萸の4薬からなる。原因不明の老人性の明け方の下痢は腎陽虚とそれに付随する脾陽虚による脾腎両虚によるものが多い。四神丸が奏効する。

香辛料としてのナツメグ(肉荳蔲 )

熱帯地方ではナツメグ(肉荳蔲)の果肉の砂糖漬けを食べる。暑さ負けを防ぐ目的である。肉荳蔲 酒も暑さ負けを防ぐ酒といわれている。温脾作用により胃腸での消化を助け、頭痛にも効果があるという。事実インドでは紀元前10世紀ごろから頭痛薬として利用されていた。温薬なので体を涼しくさせる効果は無いが、暑さで疲れた体を奮い立たせるという。肉荳蔲 の表面の赤い皮をmace(メース)というが、肉荳蔲 酒より、そのmace(メース)を漬けた酒のほうが実は風味、薬効ともに優れているという。Mace(メース)は中国語では肉荳蔲 花(ロウドウコウフア)と呼ばれる。

玄宗皇帝と楊貴妃の話

肉荳蔲 は6世紀にアラビヤ商人がヨーロッパに紹介した時には、回春薬として人気が出た。中国唐の玄宗皇帝と楊貴妃も肉荳蔲 酒を愛飲したという。玄宗が56歳で、楊貴妃が22歳ぐらいであった。玄宗はすでに当時では老人である。私がアンチエイジングのための薬酒にナツメグ酒を入れたのは玄宗の年齢にある。ナツメグは夫婦の愛をつなぎ止める力があるといわれている。また、スパイスであるナツメグを数グラム摂取するとある種の幻覚を引き起こす作用があるという、玄宗皇帝と楊貴妃もその幻覚を楽しんでいたのかも知れない。「安史の乱」の最中、玄宗が楊貴妃と共に蜀へ逃げる途中、近衛軍の抵抗に会い、楊貴妃の縊死を命じ、楊貴妃が仏堂前の梨の木の下で縊死させられたのは38歳の時である。十数年にわたる二人の夢物語は終焉を迎えた。

ナツメヅの原産地はインドネシアのモルッカ諸島といわれ、そもそも熱帯原産であるから、当時の唐の交易圏の広さがうかがい知れる。唐代の676年に現在のベトナムに都護府を置きその他の南海諸国を支配したといわれるので、玄宗以前に、ナツメグの流通も完成していた。

ナツメグには、甘い芳香があり、肉料理や魚料理の臭みを消すために用いられることが多い。また焼き菓子やケーキに香りつけとして用いられる。

肉1kgに対する標準的な使用量は0.2g程度であるとされる。

       いかがであろうか?

玄宗と楊貴妃に想像力を膨らませ、肉荳蔲 酒をたしなむのも大人の楽しみである。

アンチエイジング、ストレス外来 ガン外来

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック


灯芯草(とうしんそう ?鬚草)の臨床

2008-07-28 00:32:42 | ブログ

尿道炎 膀胱炎 不眠症 神経衰弱にお勧め

日本ではイグサ科の「ホソイ」と呼ばれている。中国の安徽省では燈芯草と呼んでいるのを上海在住時に聞いたことがある。昔、茎の皮を剥いで、油に浸し、燈芯として灯り(あかり)を得たそうだ。中国では江蘇省、浙江省、安徽省、湖南省、四川省の湖沼の湿地帯に生息し、地上部分の全草が薬用とされている。中国では9~10月に採取し、陰干しにする。

灯心草の薬効

性味は甘 淡 微寒で、心 肺 小腸に帰経を持つ

中国医学では排尿痛を伴う尿路系疾患の総称を「淋(りん)」と呼ぶ。淋の中でも熱証を伴うものを熱淋という。灯芯草は熱淋に効くとされる。同時に配合されるのは、山梔子 滑石 生甘草 甘草鞘などである。

清熱除煩作用もある。

心火を下降させ小便として排出し、心火による焦燥、小児の夜泣きなどに、同じく清熱除煩作用をもつ淡竹葉などと煎じて服用する。

現代中国での一般的な使用方法は、不眠症と神経の高ぶりなどに対して、何首?の蔓茎である夜交藤、丹参などと一緒に煎じて服用させている。民間療法の一つである。

中国伝統医学の臓腑学説では心と小腸は表裏関係にある

臓腑の表裏関係肝-胆、心-小腸、脾-胃、肺-大腸、腎-膀胱とされる。さらに、次の経路が中国医学独自の考え方である。

  心――――――小腸―――――膀胱――――尿

この臓腑の表裏関係、腎-膀胱―尿は西洋医学そのものだが、心―小腸―膀胱―尿の関係は、西洋医学オンリーで頭が固くなると、まったく受けいれられないものである。灯心草と同じ効能をもつ淡竹葉について語れば、舌にアフターができ、不眠傾向が出現し、尿道炎、膀胱炎症状が出現した場合などに、心熱が原因と考え、清心熱、除煩の目的で灯心草などと煎じて服用すると良い効果が得られる。心火を下降させ熱を尿として排泄させ、同時に熱淋も改善させると中国伝統医学は考えたのである。淡竹葉は心 胃 小腸に帰経を持つ。

現代医学であれば、舌のアフターはステロイド軟こう、不眠症には睡眠導入剤と睡眠維持剤、膀胱炎症状には抗菌剤と頻尿改善剤ということになる。なにか、ばらばらの感が否めない。

中国で?草(ロンスツァオ りゅうしゅそう)とも呼ばれるわけ

現存する中国最古の医学書と呼ばれている黄帝内経で有名な黄帝の最後にまつわる話である。紀元前2510年から紀元前2448年に中国を統治した三皇の最後、または五帝の始めに必ず名前のあがる人物で、中華民族の祖とされている皇帝である。司馬遷の史記には風后 力牧 常先 大鴻の四人を登用して人民を治めさせ、「日月 星辰 水波 土石 金玉をも徳をもって覆う」という世の中を作り出した中華民族の祖ともいえる名君であった。黄帝は首山の銅を採掘し、荊山の麓で高さ一丈三尺の巨大な鼎を鋳造した。その鼎が完成すると、一匹の龍が髯を垂らして迎えに下り、黄帝はそれに乗って昇天した。臣下たちは竜の髯をつかまえ、帝の弓にぶら下がって、帝について行こうとしたところ、さしもの重さに耐え切れず龍の髯が抜け、弓も落ちてしまったので、臣下たちは地上に落下し、帝に随行しゆくことができず、大衆や臣下は天に召され他界した黄帝をしのんで泣き叫んだという。これが黄帝の最後である。人々は黄帝をしのび、龍の髯を一寸ほどに切り分けて持ち帰ったところ、やがて、その一寸の髯は植物と化し、灯心草が生えてきたという伝説である。

いかがであろうか?伝説も伝説なり、臓腑学説もまたそれなりに、中国人の想像力の豊かさを示してはいないだろうか?漢方を勉強するにつれて、そのファンタジーにはまっていく自分を感じている昨今である。

アンチエイジング、ストレス外来 ガン外来

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック


アンチエイジングの為の薬酒

2008-07-27 00:20:05 | ED

杜仲酒(とちゅう酒 トウチュンジュウ)

高血圧初期に、精力を使い果たして疲れきった肉体に杜仲酒がお勧め

材料

杜仲100g 氷砂糖200g 焼酎1リットル

作成方法

杜仲は料理用ハサミで細かく切った方が良い。よい杜仲の選び方は、杜仲樹皮を折り左右に引っ張ると内側にびっしりと銀糸が貼りついているものが上等である。パキンと簡単に折れてしまうものは下等品である。仕込んでから1月で服用できる。水か果汁で割って服用する。私個人の好みではラ フランスやル レクチェなどの洋梨や豊水などの和梨を食べる際に一緒に飲むのもいい。少し渋みがあるからである。

以前ブームになった杜仲茶は杜仲の葉を材料としているが、漢方薬として使用するのはあくまで樹皮である。杜仲エキスも市販されているが材料が純粋な樹皮であるかどうか疑わしい。従って、エキスの焼酎割りもチューハイ感覚では楽しいが、効果は疑わしい。

杜仲酒の効能

血液循環を改善し、衰弱した肝、腎の機能を高め、高血圧症の初期に特に効果がある。腰痛や膝の関節痛に効果があり、元気を増す。精根尽き果てた状態に服用すると、疲労の回復が早い。昔は精力の衰えた男性の強精剤として珍重された。男性機能の回復維持機能があるためである。

杜仲の薬効

性味は甘 温で帰経は肝、腎 効能は補肝腎 強筋骨 安胎である。

現代の整形外科学的応用として、続断(ぞくだん)独活(どっかつ)などと一緒に肝腎両虚による足腰の無力感に使用される。杜仲は中国では腰痛の要薬といわれている。調薬の方法により性質が変化する。塩水で加熱処理したものを炙杜仲あるいは炒杜仲といい補腎効果が増強される。他には蜂蜜で加熱し焦がし気味にする焦杜仲があるが、杜仲酒には調薬処理しないものを用いる。

中国の臨床現場、特に腎内科では腎虚の夜間頻尿や腰痛に対して牛膝10g+杜仲10g(以上1日量)の組み合わせが効果的とされ処方されている。牛膝、杜仲の補肝腎、強筋骨作用が協調されていると考えられる。また、腰痛には紅花(ベニバナ)を加味する場合も多い。

安胎(あんたい)とは、文字どおり胎児を安んずるという意味で、妊娠を正常に維持し、流早産を防止することである。補肝腎作用により安胎効果のある薬剤は杜仲の他に桑寄生、続断、菟絲子が有名である。

日本人は熱しやすく醒めやすい。杜仲茶ブームもあっさり消えてしまった。中国人は熱しにくく、懐疑的であるが、良いものは捨てずに継続する。杜仲酒もそのひとつだ。

アンチエイジング、ストレス外来 ガン外来

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック


アンチエイジングの為の薬酒

2008-07-25 23:11:26 | アンチエイジング

山茱萸酒(サンシュユ酒)

老化現象が見えはじめたら服用開始。昔は愛妾を多くかかえた富豪の愛用酒。

少し酸味のある薬用酒である。仕込んでから約1月で賞味することができる。杜仲酒や桂皮酒との相性もいい。相性で思い出すのが愛妾である。同じ読みである。中国では多くの愛妾を持つことが男の甲斐性のひとつであり、そうした富豪も多かった。しかし、金銭がいくらあっても、老化、老衰は人の世の常である。古今の書物や医者の知恵を借り、作り出したのが山茱萸(サンシュユ)酒である。

山茱萸は秋珊瑚と呼ばれるくらい美しい赤い実である。

材料

山茱萸50g 人参 当帰 枸杞子 黄耆 白朮 各20~30g 干地黄を入れても入れなくてもいい。氷砂糖200g 焼酎1リットル

作成方法

材料を絹の袋に入れ、焼酎1リットルに氷砂糖と一緒に仕込む。

1月で十分に薬効が酒に移行する。

山茱萸とは?

山茱萸は固精縮尿止帯薬に分類され、収斂薬に属する。収斂薬の中ではもっとも高価である。別名を中国では棗皮(ザオピー)という。種を除いた成熟果肉の部分であるから、英語ではFlesh of matured fruit of Cornus officinalis SIEB.et ZUCCと表現されている。古くは「神農本草経」に「中品」として記載されている。

固精縮尿の作用とは、精液の漏れる遺精、頻尿、尿失禁などを改善する作用のことである。一般的には菟絲子と配合して用いられる。止帯とはご婦人のオリモノを止める作用のことである。山茱萸には斂汗作用もあり異常な発汗を抑える効果もある。老化を腎虚と考えると、山茱萸は補腎陽、補腎陰の両方の作用があるので貴重な薬剤である。

六味地黄丸

山茱萸が配合されている中成薬でもっとも有名なものが補陰の基礎方剤の六味地黄丸である。温薬を赤、寒涼薬をブルー、平薬をグリーンで表記すると、六味地黄丸の組成と効能は、

熟地黄君薬滋陰補腎、山茱萸(萸肉)補肝腎、山薬 補脾 以上が補薬である。

澤瀉泄腎濁、防滋?、牡丹皮:涼血、防温燥、茯苓:利水滲湿助健脾 以上が瀉薬となる。したがって、中国の方剤学では「三補三瀉」の方剤といわれている。

難しい漢方用語で恐縮だが、適当な日本語が見つからない。問題の山茱萸は温性であるので、直接の補陰には向かないが、牡丹皮の涼性が対薬となっている。熟地黄の長期連用にありがちな胃腸のもたれや食欲低下を澤瀉が防いでくれる。これが防滋?(ジニ)作用である。六味地黄丸はバランスのとれた補陰方剤である。より補陰効果を強くしたものが左気丸である。左帰丸は胃に対して障害作用(滋?ジニ)があるので、胃モタレや食欲低下などの副作用が出現したら六味地黄丸に変えるとよい。ちなみに、中国では陰陽を左右で言えば、右が陰で左が陽であるが、左帰丸とは補陽の方剤ではなく補陰の方剤であり、「左」の逆の意味で用いられているので注意すべきだ。中国に旅行に言った際には、右と左には注意して薬を買うべきである。左は補陰、右は補陽である。冷えが強い場合には右帰丸、肌の乾燥や、皮膚の痒みなどには左帰丸と覚えるのがいい。

      さて

左帰丸の特徴は鹿角の強い補陽(左)効果をアクセントとして補陰剤に配合し、善補陰者 必干陽中求陰、即陰得陽昇 而源泉不竭「善く補陰する者 必ず陰を求める中に陽を用い、即ち陰、陽の昇るを得れば源泉尽きず」の中医学理論に基づき、補陰効果を強めていることにある。禅問答のようだが、感覚で捉えられるかの問題である。中医学を勉強する欧米人にとっては「quite difficult to perceive」「感覚で理解しがたい」のであるが、日本人には比較的「easy to understand」「理解しやすい」のである。要は「隠し味」のごときものであり、左帰丸の「左」は鹿角の補陽の「左」の意味なのである。

参考までに六味地黄丸の加減方剤をあげておく。

知柏地黄丸:

六味地黄丸+知母黄柏:陰虚火旺に対する滋陰降火 更年期障害などに。

杞菊地黄丸:六味地黄丸+枸杞子 菊花

清肝明目:私の愛用の薬である。パソコンで目が疲れてたまらないのだ。

麦味地黄丸:六味地黄丸+麦門冬五味子(補肺陰)

腎虚喘咳に対して用いる。

石斛夜光丸:目の老化に良い

耳聾左慈丸:耳に老化に良い

山茱萸の現代医学的研究

男子不妊症の精子運動率を増加させるという報告がある。動物実験であるが、インスリンの分泌を促し、糖尿病に効果があるらしい。ヒトでの臨床データの蓄積はまだ無い。活性酸素を抑制、あるいは中和する作用が動物実験で報告されている。ヒトでの実験の報告はまだ無いようだ。肝細胞が破壊されと血中に増加するGOT,GPTの降下作用があるらしいが、ヒトでの系統的な治療効果の成績はまだ無い。抗アレルギー作用が報告されているが、その作用メカニズムに関しての精密な報告は無い。

老化、衰弱死は必ず訪れるものである。健やかに老いて、天寿を全うするために「山茱萸酒」を仕込んではいかがであろうか?

アンチエイジング、ストレス外来 ガン外来

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック


アンチエイジングの為の薬酒

2008-07-20 19:19:31 | COPD

周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ) 中国最古の薬酒

3000年ほど前の最古の薬酒だ。市販はされていない。しかし古文書にしたがって家庭で作ることは可能だ。中国の薬酒の必要条件である味 香り 効能の3つがそろっている最古のものである。2千数百年前の東周時代の名君主、周公旦が愛用したので周公百歳酒といわれているが、それ以前に原型があったと思われる。

老化防止と周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)の関係

老化とは漢方用語で言うならば、気血両虚 気陰両虚 陰陽両虚と何もかもが不足してくる状態である。代わって、痰濁、水湿などの病理産物が体内に蓄積してくる状態である。 したがって総合薬酒としての役割は気陰双補 陰陽双補 痰化濁 健脾湿などの作用がバランスよく配慮されていなくてはならない。これらの観点から周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)を見てみると、そのバランスの良さに驚く。補陽にやや欠けるものの十分な補陰血作用と痰化濁 健脾湿作用はアンチエイジングに最適である。また現代医学的な観点からも免疫力増強や防癌効果も予測される。

材料となる漢方薬

茯神(茯苓の中心部)黄耆 各40g 

当帰 生地黄 干地黄 各30g

(地黄には熟地黄もあるが熟地黄を入れると、薬酒が黒くなる。十全大補酒と異なり熟地黄を使わない。)

党参 枸杞子 山薬(乾燥させた漢方薬用を用いる) 陳皮 川芎 防風 白朮 麦門冬 茯苓 亀板 各25g

肉桂 五味子 干姜(あるいは生姜) 各20g

中国元方では高梁酒 5リットル

作成方法

以上の漢方薬を細かく砕き、絹の袋に入れ、高梁酒 5リットルに漬け込む。酒が少なければ、量に応じて薬材の量も少なくする。高梁酒 1リットルならば各薬剤を5分の1の量にすればいい。漬け込んでから2ヶ月ほどで十分に薬効成分が酒に移るが、口当たりが良くなるには1年以上が必要だ。絹袋は漬け込んでから2ヶ月ほどで引き出してもいい。日本で高梁酒が手に入らなければマオタイでもいい。焼酎なら度の高いものがいい。35度あれば十分である。 私見だが、沖縄には土南(どなん)という70度の蒸留酒がある。試されてもいいかもしれない。

薬酒は強い酒ほど薬剤の有効成分が滲みだすのが速く、さらに成熟も早まるといわれている。薬剤の部分によって有効成分の滲みだすのに要する期間が異なる。地上部分にある花、葉、茎の部分は約10日、樹皮、根になると1~2ヶ月を要する。種子になれば2ヶ月は必要だ。周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)の薬剤には種子類は比較的柔らかい五味子だけであるの2ヶ月で絹袋を取り出していいことになる。

党参とは?

補気薬人参の仲間であるが、安価である。人参と同じく脾、肺に帰経を持つ。特徴は健脾作用に優れ、補中益気の効能があるということだ。薬性が平性なので長期連用に適する。胃腸の機能をアップさせ、渇きを癒し、血を養う。補中益気(健脾)、生津養血という。生津(しょうしん)作用とは、体液を維持し増やす作用である。

免疫力のアップ 黄耆(おうぎ)の効用

黄耆(おうぎ)は人参、霊芝、冬虫夏草とともに補気薬の代表的な生薬である。がん患者の多くは気陰両虚の状態である。党参は補気に益陰も兼ねるのでがん患者には適するが、黄耆は補気作用のほかに、助火作用があるために、陰虚が基本的に存在するがん患者の場合、陰虚火旺の状態を誘発したり助長したりするので、使用されるべきでないといわれてきた。

しかし、適切な滋陰薬を併用することで、黄耆の免疫賦活作用や抗腫瘍作用を利用することが可能だ。周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)に使われている麦門冬、枸杞子、亀板などは養陰滋陰薬である。老人にありがちな陰虚火旺にも安心して使用できるわけである。

黄耆の免疫賦活作用は、抗がん剤使用によるリンパ球やマクロファージ機能の回復が報告されている。黄耆の抗腫瘍作用は癌をもつ動物実験で生存期間の延長が認められ、LAKlymphokine activated killer cell)活性を増強することが報告されている。その他に、黄耆には抗アレルギー作用、各種の出血防止と止血作用、浮腫みや、尿量の減少を改善する作用などがある。

茯苓(ブクリョウ)はサルノコシカケ科

キノコは体にいいと言われて久しい。免疫力のアップといえば、サルノコシカケ科の霊芝が有名である。ただし霊芝は独自の苦味があり薬酒に向かない。

茯苓(ブクリョウ)は利水滲湿薬に分類されている。

現代医学風に言えば、「利尿薬」といってもいい。

茯苓の作用として、中医学では①健脾利水②寧心安神と説いている。健脾利水とは、中医学の理論に従えば、胃腸を丈夫にして体の余分な水分“湿”を除くという意味である。つまり湿に働く。白朮(ビャクジュツ)と併用すればよりいっそうの健脾作用が期待できる。寧心安神とは精神安定作用と考えていいだろう。特に茯苓の中心部の茯神(ブクシン)にその作用が強い。茯苓は心、脾、腎に働く。

茯苓はサルノコシカケ科のマツホドであり、キノコ由来の多糖類が免疫力に関与していると考えられている。茯苓から抽出される多糖類は抗腫瘍効果がある。

実験的にマウス肉腫、骨髄性白血病細胞に対して増殖抑制効果が報告されている。

茯苓抽出の直鎖状多糖類の一種は細胞性免疫力をアップさせる。

当帰(とうき)は養血活血の要薬

甘 辛 温、肝 心 脾の3経に入る。補血 養血の要薬である。養血剤である四物湯は熟地黄 川芎 白芍 当帰の4薬からなる。周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)には川芎も地黄も使用されている。 当帰には活血作用があり、淤血による痛みを除く作用がある。打撲による痛み、淤血による生理痛などに有効だ。婦人科領域でもっとも多く使用される薬剤のひとつで、補血活血調経の作用は血虚、淤血による生理不順に効く。当帰は補薬の一般的な性質とされる滋?でなく不滋?である。当帰の副作用ともいえるものは便通が良くなることだ。腸を潤す潤腸作用は老人性の便秘にも有効である。

中国漢方病院では腎陽虚の便秘には補腎剤で潤腸作用のある肉従蓉を、血虚に便秘を合併した場合には当帰を配合することが当たり前のように行われている。当帰の根塊の尾のほうを当帰尾と呼び、活血作用に優れているといわれています。中央部分は当帰身といい、養血作用に優れる。周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)に使用される当帰は全当帰といい、当帰身と当帰尾を含む。

山芋は食料であり薬でもある

中国では山芋を「山薬」と呼ぶ。河南地方が名産地である。性味は甘 平で脾 肺 腎に働き益気養陰 滋補脾肺作用があり、脾胃虚弱、食欲不振、肺虚久咳、大便溏滑、小便頻数、遺精、脾虚型帯下、倦怠感などの様々な症状に用いられている。

癌治療との関係は、山薬に含まれるアミラーゼ、ポリフェノール酸化酵素が消化を促進し、食欲を増進させることから、放射線、化学療法を受けている患者さんに比較的大量に食べさせている。胸部の放射線療法の際に常に発生する痰が少ない「から咳」が特徴の「熱毒傷陰」の症状に対して滋養肺陰作用を持つ山薬が有効だ。山薬抽出多糖類成分がマウスのT細胞の免疫機能を賦活することや、マクロファージの貪食能を亢進させることが確認されている。さらに、山薬に含まれるムコ多糖類は軟骨組織や関節液の生成と関係しているとの報告がある。結合組織の萎縮を防止する作用があると言われている。 ムコ多糖類とともに山薬に含まれる多糖蛋白は、血管の弾力性の維持、血管壁への脂肪沈着の防止などの効果があると報告がある。周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)に使用される山薬は乾燥品で薄片にしたものだ。生の山薬を使用してはならないことは言うまでも無い。

生地黄 干地黄は養陰清熱作用がある
地黄は加工過程により新鮮地黄 生地黄 干地黄 熟地黄になる。新鮮地黄は清熱涼血作用が強い。生地黄の清熱瀉火 滋陰潤燥の作用は知母の作用と類似するが、知母より清熱作用は弱い。熱邪に対しては必ず生地黄を入れたほうがいいとする中国漢方の伝統がある。地黄の根を乾燥させ、酒につけて蒸してつくるのが熟地黄である。熟地黄は手で触れると特有の粘りがあり、指が黒くなる。熟地黄に加工すると、生地黄にある、養陰清熱(消炎解熱)作用が消失し、補血作用が強くなる。

煎じ薬にしても薬酒にしても、熟地黄を配合すると、液が黒くなり、どろどろと粘りが生じるのが難点である。いわゆる「もたれ」である胃障害をひき起こすこともある。

枸杞子は長寿の元

甘 平 で肝 腎 肺の3経に入り、滋補肝腎、明目、潤肺に作用する。

枸杞子は古来より長寿をもたらす食品として尊ばれてきた。寧夏の枸杞子が有名で薬酒の「寧夏紅」も人気商品である。肝腎虧損、遺精不孕、肝気不足による視力減退などに使用される補陰食品である。成分中のベタインは脂肪の肝臓沈着を抑制し、肝硬化を予防するとされ、肝細胞を保護する。アルコール性肝炎が国民病になりつつある日本や中国ではますます重用されてくるだろう。動物実験では四塩化炭素によるマウスの肝臓脂肪変性作用を防止し肝機能を保護する作用が認められるほか、血中脂質や血糖を一定の効果で低下させる効能が確認されている。

枸杞子抽出物がインターロイキン2を介してリンパ球の腫瘍細胞壊死因子の生成を増加させることが報告されている。また、枸杞子から抽出された多糖類には、放射線によるマウスの骨髄抑制を防止し、白血球を増加させる働きがあることが最近の研究で示された。

枸杞子の薬性は滋?であることから胃腸障害のある場合に量を多くしないことが肝要だが、周公百歳酒(ジョウゴンバイソイジュウ)に使われている陳皮は滋?(ジニ=胃腸のもたれ)を改善する効果がある。枸杞を枸杞子と「子」をつけて呼ぶのにはわけがある。枸杞の「根」からは地骨皮という漢方薬が採取され、虚熱を除くのに利用されているからである。

亀板(きばん、グイバン)は漢方薬専門店で購入する。

亀板とは水亀(シュイグイ)の甲羅で、乾燥させ、破砕し、砕片の状態で使用する。亀の甲羅は現在では簡単に入手できない。細かく砕くのも容易ではない。したがって、中国の友人などから送ってもらうのがいいだろう。

甘、咸、寒で心 肝、腎の帰経であり、滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心に働く。鼈甲(べっこう)との共通点は、共に補陰薬であり、平肝作用があり、肝風を抑え、潜陽作用があるために高血圧症などに有効とされる。

亀板は心、肝、腎、の3経に入るために、先天不足に対する補陰填精、

骨が弱い場合の益腎健骨に作用すると共に、不眠症にも有効な養血補心作用がある。

五味子(ゴミシ)は老人性のCOPDなど呼吸器疾患に効果がある

五味子が呼吸器疾患に使用される理由は、その斂肺益腎(補腎作用により腎の納気作用を強め、肺の気逆を押さえる作用)の効果にある。

五味子は独自の酸っぱい匂いがある。噛みしめると順に酸味、次第に独自の苦味、渋みを感じ、次に甘み、と少しの塩辛さを感じます。これらが五味子の名前の由来である。

古来より五味子と?梅には下痢を止める止瀉作用と、体の陰液を増やす生津作用のほかに、肺気逆を抑える斂肺作用があることが知られていた。また精液の漏れる遺精に効果があることも経験的に知られており、五味子の補腎作用の根拠になった。五味子の帰経は肺 心 腎の3経です。心経から由来する効能の特徴としては不眠症に有効な養心安神作用である。また、自汗や盗汗(寝汗)をとめる斂汗作用も有名だ。

いかがであろうか?3000年前の薬酒の漢方薬の配合の妙は驚嘆させられる。

材料さえ入手できれば誰にでも作れる薬酒である。

アンチエイジング、ストレス外来 ガン外来

漢方治療のお問い合わせは下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 

漢方専門医院 岡本康仁堂クリニック