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耳鳴りの漢方治療

2007-03-16 18:51:03 | うんちく・小ネタ

ネット広告では簡単に治るように宣伝しているが、そんなに簡単じゃ「医者は要らない」といいたくなる

ネット広告の大半は誇大広告?

薬局で手軽に買える薬で本当に耳鳴りが消えるのか?

中国医学の考え方

中国医学では、「腎は耳に開く」といいます。また耳は肝胆の経絡ともつながっています。急性の耳鳴りの場合は肝の異状が多く慢性の耳鳴りは腎の異常が多いと中医学は考えます。

急性の耳鳴り、難聴は前庭神経炎などで、西洋医学的に治療をすることが現代日本の現状です。

しかし、慢性の耳鳴や難聴に対しては効果的な西洋医学の治療が無いのも事実。漢方はこの分野でとくに力を発揮します。治療は補腎を原則にします。補腎作用の熟地黄、山薬、山茱萸、拘杞子、菟絲子、何首烏などに磁石などをあわせて使います。

イライラが強いときには柴胡、郁金、芍薬、黄、川楝子などを併用します。

陽虚タイプの冷え性の人には炮附子、桂皮、仙霊脾、巴戟天、肉従蓉などを併用します。

淤血(おけつ)が関与する場合には丹参、川、地竜などを併用します。

痰濁が合併した場合には、半夏、陳皮、茯苓、枳、竹茹などを併用します。

中国の市販薬としては耳聾左慈丸(じろうさじがん)、耳鳴丸(じめいがん)があります。

イライラが強く、不眠傾向があれば、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、抑肝散(よくがんさん)などを併用します。

陽虚ぎみで冷え症タイプには八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、海馬補腎丸(かいばほじんがん)を使います。

これら大半は、中国で市販されている中成薬ですが、中国人自身も確実な効果を望む場合には、中医(漢方専門医)を受診ます。自分の証に合わせて生薬を調合してもらうことが大切だと知っているからです。

古来より耳鳴りの治療ほど難しいものは無いといわれています。売店で買える薬剤で耳鳴りが消失したら、それこそ西洋医も中医も要らないのです。薬剤師さんの多くは漢方薬に対して殆ど正確な知識がありません。加えて中国市販薬などにももちろん疎いのが現状。中医学に対してはまったくの無知に近いのが現代日本の状況です。

巷では漢方薬が溢れています。薬局に行けば、薬剤師さんが漢方薬を進めてくれる場合も多いのですが、きちんと 一通り 漢方を勉強した薬剤師さんに相談するのがいいでしょう。 病院でも漢方薬は溢れています。しかし、残念ながら きちんと 一通り 漢方を勉強した医師が非常に少ないのが実情です。初心者マークすら付けられない無免許運転に近い処方がされています。

 私自身の経験では耳鳴りは大変難しい。治療がうまくいった時の喜びはひとしおです。比較的治療が奏効した症例を述べます。

73歳 耳鳴り、冷え症、夜間頻尿など老人症状が改善した佐○さんの場合

佐○さんは体の動揺感、白内障、耳鳴りなどで耳鼻咽喉科と眼科に通院中でした。腰痛で整形外科に、頻尿膀胱炎などで内科にと、1週間のうち4日は医院通いをしていました。薬局で耳鳴丸を手に入れて服用しても耳鳴りは止まず、頭がぼんやりするようで、ボーっとした頭痛もあるために、初診となりました。

腰痛 冷え症 夜間頻尿などは、腎虚とくに腎陽虚の典型的な証です。ボーっとするような頭痛を中医は空痛といいます。脳は髄海と称し、腎は髄をつかさどるといい、腎精不足になると空痛が出現します。体の動揺感は腎陽が不足するために寒湿水飲が内停するために起こります。すべては腎精不足(老化)特に、腎陽の虚衰で説明できる症状です。老年期は、腎陰も不足しています。不足した陰と不足した陽のバランスの中で、陽気が更に不足した状態です。

このような場合は、陰陽の少しのアンバランスで陰盛陽虚に傾いたり、

逆に陰虚陽盛になりやすいのです。腎陽を補うだけでなく、腎陰も補い、両者の底力を増すことが大切です。熟地 山薬 山茱萸 菟絲子など補腎薬に、温腎補陽の鹿茸、肉従蓉、冬虫夏草(とうちゅうかそう)を加味、炮附子 枸杞子 当帰 などの温裏、補陰血の作用をもつ薬剤を加え、強筋骨の目的で杜仲 桑寄生を、さらに多尿に対しては固精縮尿を目的に桑蛸を加味しました。一時期、体の動揺感があったので、茯苓 白?などの健脾利湿剤を併用しました。高価な鹿茸(ろくじょう)は茶碗蒸しにいれて食べるようして、同じく高価な冬虫夏草は粉末にして山薬と一緒にカプセル服用していただきました。

治療開始後3ヶ月で、耳鳴りは3分の1程度に改善、冷え症、夜間頻尿、腰痛、体の動揺感、頭痛はことごとく消失しました。白内障の進行もとまっています。半年後には耳鳴りも消失しました。

56歳 会社社長 交互に出現する激しい耳鳴りの症例

Kさんは48歳から49歳にかけての1年間、両耳に飛行機の爆音のような耳鳴りがあって、ステロイド内服、血流改善剤内服、神経機能回復剤などの注射を受けたそうですが、一向に改善せず、とうとう50歳を期に一時期休職し、海外に転地療養しました。

その後、自然と耳鳴りが消失し、53歳時に復職し、順調な経過でしたが、2006年度の決算期に再び左の耳鳴りが始まり、耳鼻科受診、注射と投薬を受け、いったんは消失。しかし今度は右に耳鳴りが出現。やはり飛行機の爆音のような耳鳴りで、1週間ほど続いた後は両耳に出現し、耳鳴りの音にキーンとする金属音が混じるようになりました。

薬局で「男の更年期障害」だといわれて八味地黄丸と○○蛇精を薦められて服用したところ、口渇が酷くなり、耳鳴りも一向に改善しないので初診となりました。

脈診で弦数やや滑、舌診で舌自体がやや赤く、苔が厚く、淤斑が陽性。不眠傾向もありデパスを服用中とのことでした。肝郁気滞 肝郁化火傾向 心神不寧 痰湿内阻の診断で、柴胡 茯苓 半夏 陳皮 大黄 桂枝 珍珠 磁石 竜骨 牡蠣 大棗で治療開始。2日後半分程度に耳鳴りが減弱。天南星 天麻 丹参 遠志 白朮を加味し、更に2日後左耳鳴り消失、翌日右耳鳴り消失。治療開始後計5日間で耳鳴りが消失しました。

一般に耳鳴りの治療には難儀することが多いのだが、たまには以上のような劇的な奏効例も存在することを強調したい。

   続く、、 


子宮がん 前がん状態の漢方治療

2007-03-02 11:45:29 | うんちく・小ネタ

免疫力の増強と抗癌作用を持つ生薬で治療する

近年、子宮がんとくに子宮頸がんの発症年齢が低下してきているように感じます。従来より、子宮体がんは閉経移行の老年期、子宮頸がんは閉経以前の40代といわれてきましたが、30代の子宮頸がんが増えてきているようです。年齢層の若いご婦人が婦人科検診を受けて細胞診でクラス3だと言われ、「将来がんになる可能性がありますよ」と医師に告げられる場合も多くなってきています。閉経後の老年期ならいわゆる「前がん状態」であると告げられれば、迷わず手術をすることになるでしょう。しかし30代前半でまだ子供がいない場合などや、未婚の20台後半で「前がん状態」であると告げられたら、大方の女性は、どうしていいのかわからずに深刻な悩みに陥ってしまいます。

 「定期的に細胞診を行い細胞の異型性(悪性度)が増加してくるようでしたら手術を行いましょう」と医師に言われても、ただ無治療で様子を見るのは不安でたまりません。抗生物質ももちろん無効だし、前がん状態では、西洋抗がん剤などの「いわば毒物に近い劇薬」を投与はしません。

子宮内膜前癌病変の漢方治療の紹介

「今のところは心配ないが、将来癌になる恐れがある」といわれる病態です。このような時に、あわてて子宮を取り除くなどの手術は必要ないとする中国漢方医学誌の報告があります。

当帰 三 桃仁 夏枯草 香附子 王不留行 生牡蠣 莪朮 天葵子 続断 田七粉を中心にする漢方治療です。気虚体質には党参 黄耆 五味子を加味し、腎陰虚証があれば女貞子 旱蓮草 杜仲 桑寄生を加味し、帯下(おりもの)の量が多い場合は、? 苡仁を加味し、帯下の色が黄色で臭気がある場合は黄柏を加味します。過多月経があれば、炮姜 棕?炭 蒲黄などを加味する方法があります。45例の治療結果は有効率89%と報告されています。もちろん定期的な細胞診は必要です。

(新中医2002244中西医結合阻断子宮内膜前癌病変45例分析より)

子宮頸部前がん状態と子宮頸がん初期の漢方治療の紹介

 清熱解毒薬である半枝蓮 山豆根 半辺蓮 穿心蓮 七葉一枝花 白花蛇舌草などが抗癌活性を持つ生薬(利湿抗癌薬)として使用されます。煎じ薬の他に、直接的な効果を狙った漢方抗癌生薬抽出液を座薬にしたものもあります。前がん状態や子宮頸癌の早期に対してはほぼ完治できるほどの効能があると報告があります。手術を好まない場合などに多用されています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が子宮がんの原因としても

 近年、クラミジア感染症にも増して、若年層のHPV感染が増えてきています。HPVは子宮内膜の基底膜層の細胞の癌抑制遺伝子を障害するらしいことがわかってきました。最終的にはウイルスワクチンが子宮がん予防の有効な手段となるでしょう。

ウイルスの感染を予防するのは、体の免疫力です。その意味で漢方の補気剤は有効な生薬となりえます。また悪性の(癌化しやすいタイプ)HPVに感染したからといって、ただちに癌になるわけではありません。癌に至るまでには何年も要しますし、各個人の免疫力の強さによって癌化しないで済む場合もあれば、癌へ発展していくこともあります。やはり免疫力の強化は最大のがん予防の方策です。

 簡単なサプルメントだけでは免疫力は増強しません。数千種類の生薬から発見された、免疫力を増強させる特に「補気薬」が重要視されてくると思います。

  

  続く、、