張琪氏の地黄湯と名のつくものには、参蓍地黄湯、知柏地黄湯が代表でした。今回は加味地黄湯です。どのような組成でしょうか。
( )内に私のコメントを随時いれます。
医案に進みましょう。
患者:蒋某53歳 女性 工場労働者
初診年月日:1999年6月17日
病歴:
慢性糸球体腎炎歴一年余、尿蛋白2~3+、RBC満視野/HP、尿潜血3+、かつて雷公藤?苷片、及び清熱止血薬の治療を受けたが、効果は不十分、紹介されて氏を受診した。
初診時所見:
全身乏力、気短、腰酸痛、下肢無力、臀部後部の酸痛、脈沈細やや数、舌質紅。
中医弁証:腎陰虚、気虚固摂無力の証
西医診断:慢性糸球体腎炎
治法:益気補腎陰固摂
方薬:加味地黄湯加減:
熟地黄20g 山茱萸15g 山薬20g 牡丹皮15g 澤瀉15g 知母15g 黄柏15g 黄蓍30g 党参30g 亀板(滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)20g 血余炭(止血散瘀、補陰利尿)15g 地骨皮15g 女貞子20g 旱蓮草20g 側柏炭20g
水煎服用 毎日2回に分服
経過:
6月17日から7月20まで計28剤服用し、全身有力、腰酸膝軟ともに大減、RBC2~3個/HP、潜血(-)、尿蛋白±、脈沈滑、舌転潤、かくして緩解した。
ドクター康仁の印象:
参耆で益気固摂、茯苓を配伍しなかった理由は不明ですが、知柏地黄湯と二至丸(女貞子、旱蓮草)と亀板で養陰、地骨皮で退虚熱、血余炭と側柏葉炭で止血という1999年代ですので単純な方薬配伍になっていますね。それも二診で中止とは、2000年代とは随分様相が異なります。やはり、参耆地黄湯加減です。
次回は同じく「加味地黄湯」のタイトルの2003年の医案を紹介します。比べてみるのも面白いでしょう。
今回は分かりやすい処方ですね。
2014年 3月11日(火)