小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

私とは何か

2016-03-03 23:43:00 | 考察文
「私とは何か」

この答えは、私にとっては、簡単で。

(私にとっては)、小説を書くことが、私が私であることである。


「あなたは御自分の詩がいいかどうかをお尋ねになる。ほかの詩と比べてごらんになる、そしてどこかの編集部があなたの御詩作を返してきたからといって、自信をぐらつかせる。それは(私に忠言をお許し下さったわけですから)私がお願いしましょう、そんなことは一切おやめなさい。あなたは外へ眼を向けていらっしゃる、だが何よりも今、あなたのなさってはいけないことがそれなのです。誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません、誰も。
ただ一つの手段があるかぎりです。
自らの内へおはいりなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深く探ってください。それがあなたの心のもっとも深いところに根を張っているかどうかを調べてごらんなさい。
もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください。
何よりもまず、あなたの夜のもっともしずかな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい。
私は書かなければならないかと。
深い答えを求めて自己の内へ内へと掘り下げてごらんなさい。
そしてもしこの答えが肯定的であるならば、もしあなたが力強い単純な一語、「私は書かなければならぬ」をもって、あの真剣な問いに答えることができるならば、その時はあなたの生涯をこの必然に従って打ち立ててください。
あなたの生涯は、どんなに無関係に無意味に見える寸秒に至るまで、すべてこの衝迫の表徴となり証明とならなければなりません」

(ライナ・マリア・リルケ)
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