小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

アントニオ猪木、対、モハメッドアリ

2010-10-31 23:32:45 | 武道・スポーツ
アントニオ猪木の異種格闘技戦で。猪木はヘビー級ボクサーのモハメッドアリと戦っている。あの戦いで、猪木は、マットに寝てキックだけで戦った。しかし、あの戦法は、おかしい。猪木は勝てたのである。「ヘビー級ボクサーのチャンピオンのパンチは当たれば命取り」という固定観念にとらわれすぎ、それを恐れすぎた。確かに、ボクサーのパンチがクリーンヒットしたら、非常に危険である。しかしボクサー同士の戦いでは、クリーンヒットのパンチが当たっても、死んだりしない。確かにボクサーは、ボクサーのパンチに対するガードの技術を身につけている。レスラーにはその技術がない。しかしである。素手のパンチが危険だからボクサーは当然、グローブをはめる。このグローブは、単なる顔面パンチの威力軽減だけではない。体を捕まえられたら、もうおしまい、という極めて不利な条件までつくってしまっている。グローブをはめたボクサーは、手で相手の体をつかむことすら出来ないのだ。さらにグローブをはめることによって戦いの最中、常に非常にスタミナを消耗させられてしまう。つかまえられたら、もうおしまいで、逃げることは出来ないのである。ボクサーは空手家のように肘打ち、や膝蹴り、などのキックも出来ない。立った姿勢でのパンチ攻撃だけ、という極めて限定された条件のスポーツなのである。確かにボクサーのフットワークは素早い。しかし猪木も素早く動ける。だから胴なり、腰なりをラグビーのようにタックルして、捕まえてしまえば、もう猪木の勝ちである。猪木は慎重になり過ぎた。屈んだ姿勢でやってくる敵に対するパンチ攻撃というものをボクサーは知らない。猪木は、「ヘビー級ボクサーのチャンピオンのパンチは当たれば命取り」
という固定観念にとらわれすぎた。
ボクサーのグローブは、パンチの威力を軽減するためだけではなく捕まえられたら、もう何も出来ないという不利な条件にしてしまっているのだ。

その点、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」での最初の戦いで、リーはオープンフィンガーグローブというものを使ってサモハンキンポーと戦っている。これは素手のパンチの危険さだけを取り除くだけのもので、何とブルース・リーの格闘の才能が天才的であるか、ということかがわかる。

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