goo blog サービス終了のお知らせ 

逆襲するさらりーまん

ーやっとこさ英検1級、通訳案内士試験合格。しかし英語の道は長い。基本的にやり直し英語+その時々に思うことなど。-

カムチャッカ地震騒動と酷暑 ②

2025年08月03日 22時11分36秒 | 日記・エッセイ・コラム
毎日すさまじく暑いですね。
前回のブログではカムチャッカ地震の津波警報と報道は大げさだったが、ロシアの領土が震源地のため、正確には予測できない事情があり、津波警報と報道は大げさでも、もし巨大津波が来て避難していなければ、何千、何万の命が奪われたであろうことから、まずはよかったのではないか、ということを書きました。

一方地震以外の異常な気象状況は、6月から続いているこの酷暑と台風や豪雨の多発です。
つい20年ほど前には、気温が35℃を超えることなどはなく、32~33℃になったら、『すさまじく暑い、暑い』と言っていましたが、現在は毎日当たり前のように35℃を超え、別に珍しくもなんともなくなってしまいました。

僕は世界で最も暑いと言われるアラビア半島やインドの夏も出張で経験しましたが、今の日本は蒸し暑さも加わって、それらの夏以上の熱感があります。気象庁やマスコミは、今日の各地の最高気温は何℃で何か所が猛暑日を記録したとか、熱中症で何人が病院に搬送されたとか、台風何号は発生したとか、線状降水帯はどこで発生したとか表面的な現象しか報道せず、この酷暑と海水温の上昇による台風や豪雨の根本原因については、触れようともしていません。

地震は事前に予測することは難しく、ましてや発生を防ぐことは現在の科学技術をもってしても不可能です。しかし、酷暑を生む地球温暖化は、人為的に予防あるいは悪化を防ぐことが出来ます。地球の温度は確かに数万年単位で上下を繰り返しています。これは説明すると本が一冊書けるほどの量になりますので、詳細は割約しますが、セルビア出身の科学者のミランコビッチによって20世紀前半に考察・提唱され、現在ほぼ正しいことが証明されているたミランコビッチ理論によります。彼の理論をものすごく簡単に説明すると、1,地球の公転軌道が他の惑星(主に土星と金星)の重力の影響を受け、楕円軌道を取るため、太陽と地球との距離も変化し、太陽から受ける熱量も変化するので、地球の温度も変化する。この軌道の変化の1サイクルは約10万年周期である。2、地軸の傾斜  地球の自転軸が垂直(90°)ではなく、傾斜しており、それが地球の季節の変化を生んでいることは皆さんご存じのとおりですが、この地軸の傾きが太陽と月と地球の内部質量の変化により変化し、太陽からの熱量が変化するので、地球の温度も変化する。その地軸の傾きの変化の1サイクルは約4万年周期である。3,地球の自転軸そのものも太陽と月の重力によりゆらいでいる。(歳差運動)これはちょうど独楽の回転速度が遅くなるとゆらゆらと振れるのと同じですね。この地球の自転軸の変化により太陽から受ける熱量が変化するので、地球の温度も変化する。その地球の自転軸の変化の1サイクルは約2万年~2.6万年周期である。

コンピューターもAIもない時代に、手計算で物理学と天文学と数学の知識を駆使し、膨大な観察データをもとに地球の気温変動の3つの周期を計算したミランコビッチの努力は称賛しますが、コンピューターが発達した現在でも、ミランコビッチの説はほぼ正しいことが証明されています。(ミランコビッチの説に追加して太陽の核融合反応の変化そのものが地球の温度に変化を与える、などの説も最近提唱されています。)

いずれにせよ、地球の公転や地軸の傾き、太陽の活動など宇宙物理学的な大きな変化は20年や30年では起きず、数万年単位の時間をかけて起こります。20年前と比べ、公転軸や自転軸がしょっちゅう変化していては、しょっちゅう氷河期になり、それこそ困りますよね。従ってここ20~30年の地球の気温の大きな上昇は、人為的、すなわち人間による温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出にあることが世界中の科学者の一致した見解です。

20年ほど前に、元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴアが『不都合な真実』というドキュメンタリー映画を作ったことはご存じの方も多いと思います。この映画は第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞と歌曲賞を受賞し、アル・ゴアは2007年のノーベル平和賞を受賞しました。彼は政治家を引退した今でも、地球環境保護活動に熱心に取り組んでいます。

アル・ゴアが地球温暖化に警鐘を鳴らした20年ほど前から世界中が真剣に温室効果ガスの規制に取り組んでいれば、現在の日本を始め、世界中の高温化は避けられたのでしょうが、もう後戻りできないレベルまで地球の高温化は進んでいます。

2023年の二酸化炭素の排出量は中国が世界全体の30.1%、アメリカが11.3%とこの2か国で40%以上を占め、以下インド7.8%、ロシア5.0%、ブラジル2.5%と続き、日本は2.0%(世界の50分の1)に過ぎません。このうち、アメリカはトランプ政権になって2025年に温室効果ガスの削減を決めたパリ協定から離脱し、化石燃料は掘って掘って掘りまくれ、売りまくれ状態、中国とインドはパリ協定は批准していますが、中国は2060年までにカーボンニュートラルを目標とし、インドも2070年までにカーボンニュートラルを目標とするという緩やかな目標で、厳しい温暖化の現状では2060年や2070年まで待ってはいられません。

パリ協定のもっとも大きな共通目標は、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べ、2℃より低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をする、ということでしたが、すでに現在は1.2℃~1.3℃上昇しており、1.5℃到達は2030年代前半に現実化すると言われており、目標の達成は極めて困難です。

WWF(世界自然保護基金)の試算によれば、産業革命以降、地球の気温が1.2℃上昇するとサンゴ礁や北極の海水などのシステムに高いリスク、マラリアなど熱帯の感染症の拡大(まさに今起こっている。)2℃上昇すると作物の生産高が地域的に減少する。2.7℃上昇すると利用可能な水が減少する。3℃上昇すると広い範囲で生物多様性の損失が起きる。4℃上昇すると多くの種の絶滅リスク。世界の食糧生産が危険にさらされるリスクがあると予想しています。決して大げさではなく、今世紀の終わりには人類は滅亡しているかもしれません。

日本の環境省は、もともと高度成長期に排水や排気ガスの垂れ流しで、公害問題が深刻化した時に他の先進国に遅ればせながらできた省庁です。現在年間予算5兆円も使いながら、熱中症でなくなっている人も全国で数十人もおり、豪雨や台風などの被害に苦しんでいる人も何千人もいるのに、基本的な国民の命さえ守ることができないでいます。

アメリカや中国やインドが化石燃料をエネルギー源とする理由は、エネルギー生成量あたりのコストが安いからですが、日本のクリーンエネルギーの技術をもってすれば、クリーンでコストの安いエネルギーの生成システムを日本だけでなく、諸外国に技術供与出来るはずです。

このブログは政府批判の目的のブログではありませんが、政府は次期首相を誰にするかなど、国民から乖離していることに血道をあげるのではなく、環境省が主体になって、緊急の国民の命にかかわることに優先順位をつけて対応してもらいたいと強く思います。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする