夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

心の旅

2016-10-11 22:29:22 | 日記
昨日書き忘れていたが、五島美術館で今行われているのは、「秋の優品展――心の旅――」という展覧会。
同館所蔵品の中から、「旅」をテーマに絵画や古筆・墨跡などの名品約40点が展示されていた。
重要文化財の『土佐日記』のほか、和歌に関連のあるものでも、「亀山切 伝紀貫之筆」や「堺色紙 伝藤原公任筆」「拾遺抄切 伝源俊頼筆」など、時間を忘れて見入ってしまう名品ばかりであった。
「三首懐紙 慈円筆」は、三首とも秋歌だったので、時節柄ここで紹介しておく。(表記は私意で改めた)

  月前薄雲 秋はなほ月に心を尽くせとやへだてもはてぬ薄霧の空
  荻夕風  吹きむすぶ袖の夕露消えかへりわが身にしむる荻のうは風
  虫吟蓬  虫の音(ね)も袖もひとつにしをれけり深き蓬の秋の夕霜


以前も書いたことがあるが、五島美術館は庭園の風情もすばらしい。今は紅葉には未だしであるが、これが色づいたらどんなにきれいだろうと思いながら眺めていた。