夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

最後の授業

2015-03-19 19:38:51 | 日記
一昨日、店長に会いに行ったとき、初めは、お酒を一合だけ飲んでサッと食事を済ませ、帰りにカフェでコーヒーを飲みながら翌日の授業の予習をしようと思っていた。
ところが、常連のSさんとNさんが来て、店長も交え楽しく話しながら飲んでいるうちに、あっという間に十時近くなっていた。(カフェの閉店時間)。しかも、出てくるお酒のおいしさに、ついつい量を過ごしてしまい、気がつくと酩酊状態になっていた。
店長から、
「ちかさださん、珍しいですね。こんなに酔うなんて。」
と言われるくらい、足もとがややおぼつかず、会話も繰り返しが多くくどくなっていた。

お店の前で店長たちと別れた後、遅くまで開いている駅前のドーナツ店に入り、授業の予習をしようと問題冊子を開いたが、ほどなく睡魔に襲われ、ハッとして起きると、店員から、
「お客さま、そろそろ閉店のお時間ですので…。」

脳が完全にアルコールでやられ、使い物にならないので、帰宅後はそのままベッドに直行し、朝4時に起き、引っ越しの準備で少し、本などを整理してから、予習を開始した。
この日は、今の勤務校で行う最後の授業になるので、予習には絶対手を抜きたくなかったのだ。

授業で扱った問題は、原田マハの小説「いろはに、こんぺいとう」からの出題で、心療内科の勤務医である主人公の女性(数年前に離婚して、今はシングルマザー)が、老いた母の認知症の進行に苦悩しつつ、家族の絆を改めて実感する話である。
文章は平易だが、表現も構成もしっかりしており、適度に技巧を凝らしているので、小説の読解法について教えるにはうってつけの教材だった。
視点、場面とその展開、心情把握、言外の意味など、小説を客観的に読む上でどこに着目すべきかを、この教材で一通り教えることができ、密度の濃い授業になった。

また、岡山出身の小説家・原田マハについて、生徒たちと雑談のようにして話ができたのは楽しかった。原田マハは、私の勤務校に近い三門小学校・石井中学校を卒業し、高校は山陽女子に進学している。
先日見た映画『でーれーガールズ』では、生徒たちもよく知っている奉還町商店街や鶴見橋、後楽園などが出てきたことを話した。

私の担任するクラスの生徒を相手に、勤務校での最後の授業。私のいつも通りを率直に、心をこめて実践することができた。最後の授業を悔いの無いように終えることができてよかった。