夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

3賢者の成功哲学

2012-07-02 22:17:56 | 
今日、自分の担任するクラスの試験監督をしていて、少し空き時間ができたので、久しぶりに学級文庫の本に手を伸ばしてみた。

もちろん、試験監督の間にも、いろいろやることはあるのだが、それが終わったら、教室の不具合を探したり、普段は気付かない生徒の様子を観察したり、意図的に、いつもと違った視点から教室や生徒を眺めるようにしている。

このときはたまたま、生徒が手に取ったまま、元の場所に戻し忘れていた『3賢者の成功哲学』(リチャード・H・モリタ編著、イーハトーヴフロンティア)という本が目にとまった。

もともと私が読んで感銘を受けて、学級文庫に入れていた本だが、改めて、こんなにすばらしい本だったのかと感じた。

  サミュエル・スマイルズ「自助論」
  ジェームズ・アレン「原因と結果の法則」
  オリソン・マーデン「いかにして希望を達すべきか」

の3著書から編者がそのエッセンスを抄出した本だが、どこから読んでも、その時の自分にとって心に沁み、役立つことが書いてある。

「人間は幸福というものを複雑に考え過ぎている。日々抱えるストレスが大きいせいか、そのストレス解消を求めるあまり、幸福を大規模な活動や莫大な富、素晴らしい業績、贅沢な空間のなかから生まれるものだと思ってしまう傾向がある。

 幸福は、日々のささやかな生活と、善行の積み重ねのなかで築かれるものだ。幸福は最も簡素で静寂、あるがままの自然のなかからその姿を現す。私たちにとって何より大切なのは、月を見て美しいと思える心、星の輝きに心を奪われる瞬間、当たり前の暮らしにある家族の風景、そうした日常のなかに感動を見つけることである。

 一日一日を新鮮にすごすこと。ちょっとした親切、感じの良い話し方、差し伸べる優しい手、小さな好意や励まし、任務に対する忠実さ、奉仕的な気持ち、心から楽しめる仕事、友情や愛。こうしたささやかなものこそが、まさに幸福を形作る構成要素となるのだ。」(141~142頁)

というような滋味溢れる言葉が、頁をめくるたびに現れる。

今日、私が気付く前に、この本を手にしていたのは誰だろう。

きっと、心の中に賢哲の言葉の種子が落ちていることを信じて。