夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

英文法完全制覇

2012-07-27 22:35:29 | 教育
7月の補習は今日で終了。期末考査の翌週(9日)から今日まで、生徒もそうだが、教員も少ないスタッフをやり繰りして、本当に頑張ったと思う。私は2年生のクラスにしか教えに行っていなかったが、3年生担当の先生方は相当しんどかったろうと思う。

とりあえず、授業の予習の負担は当分ないので、今日の午後から解放感に浸り、夕方からしばらく見に行っていなかった映画を見て、夕食を食べながらビールも飲んでしまった。

補習授業は、国語2種類の他に、2年文系の生徒対象で、基礎英文法まで教えていたので、予習が大変で、勤務時間内では足りず、毎朝5時起きで勉強していた。

英文法は、英語科のM先生にプリントを作っていただき、時間を計って生徒に解かせた後、一人ずつ教室の前に出てこさせ、大問毎にそれぞれの問題の解答を答えさせ、その根拠も説明させるスタイルで行った。説明の後、他の生徒に質問させたり、間違っているところをこちらで訂正、補足説明をしたりした。

受験英文法でおなじみの、動名詞、不定詞、分詞構文、関係代名詞、仮定法、話法など、一通りは取り扱うことができた。

その間、予習する上でお世話になったのが、泉忠司さんの『歌って覚える 英文法完全制覇』である。というか、この本と辞書以外はほとんど必要がなかった。薄手の本なのだが、内容が濃く、しかも説明が非常にわかりやすい。自分で間違えたり、生徒もつまずくようなポイントについて、的確で要領を得た解説があるので、授業の前にそれを頭に入れておけば、たいてい事足りた。

もちろん、英語プロパーの教員からは他にオススメの著者や参考書があるだろうし、細かい知識はこれ以外にもストックしていく必要があろうが、「最」がつかない程度の難関大学の問題までは、これ一冊でかなりカバーできると思う。

この本は、発売された当初、新聞の読書欄に取り上げられたのに興味を持って購入し、自分でも付属のCDを聴いて勉強した。…今まで書き忘れていたが、この本の最大の特徴は、このCDにある。

なんと、不定詞や分詞構文、仮定法などという括りごとに、覚えるべき例文が15ずつほど、意味を持った歌詞になっており、それに曲がついて、歌って覚えられるようになっているのだ。もちろん、歌詞としてみれば相当ムリで不自然なものもあるが、実用歌なのでそこは割り切るべき。J-POP風の歌で11曲、全部覚えると200ほどの例文が覚えられることになる。中には、比較級の歌で“The happiest bride”のような、なかなか秀逸な曲もある。♪彼といるといちばん幸せ~Nothing gives me more pleasure than to be with him.♪ など、今でも、覚えた歌が自然に口をついて出てきたりする。

この本で勉強していた頃は、河合塾の模試の英語の問題を、生徒と一緒に解いて勝負に勝ったこともあった。(2年生相手。3年生になるとさすがにムリ。あと、今ではダメだろう)。また、理系の生徒だが、英語が伸びないと悩んでいたI君にこの本を教えたところ、姉妹編の『英単語完全制覇』の方を買って勉強し、センター試験でビックリするような点が出て、そのおかげで第一志望の大学に受かったそうだ。後日、I君の母親から、「よい本を紹介してくれてありがとうございました。」と感謝されてしまった。

賛否両論あろうが、大部で詳細な文法書とは別に、覚えるべき要点を短期間で五感をフルに活用しながら力ずくで覚えてしまうのには向いている本だと思う。