LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

BORSALINO (4)

2007-08-08 | THE 70'S CINEMA
計3回に亘って関連書籍からの抜粋をご紹介してきました。

改めてこの『ボルサリーノ』という作品について考察してみますと、
主人公、ロック・シフレディとフランソワ・カペラの生き方が
現実のドロンさんとジャン・ポール・ベルモンド二人の人生に
オーバーラップするようなところが多々あり、
見るたびに興味が尽きません。

特にベルモンドについてはこの『ボルサリーノ』を契機として
70年代から80年代は怒涛のヒット作品を連発していき、
もうこれで十分といったところで映画界から身を引いて
80年代後半から舞台の世界に飛び込んでいきます。
(『シラノ・ド・ベルジュラック』など)
それはまるでマルセイユの王様となったことに満足し
新たな未開の地へと旅立とうとしたフランソワ・カペラのようです。
幸い現実のベルモンドはカペラのようにはならず、
今もって健在であり、映画にも復帰のニュースも流れてきているのは
大変嬉しく思います。

一方のドロンさんはと言えば、
残念ながらこの『ボルサリーノ』の観客動員数を超えるような
メガヒット作品にはその後恵まれていません。(2007年現在)
しかしベルモンドが自分の得意分野の俳優業のみに身をおいて
その実力を発揮し続けていたのとは対照的に、
ドロンさんの方はプロデューサーとして映画作品全体の支配に注力し続け、
自ら大きなリスクを背負った生き方を選択していきます。
またそればかりでは満足することはできず、
映画以外のビジネスの世界にも進出するという、
これもまたロック・シフレディのような生き様を具現化していきます。

ドロンさんは頭の中でいつもベルモンドの姿を追いかけながらも、
常に違う土俵で、異なる観点で、大衆に満足を与える生き方を選択したのです。
そんなドロンさんにとって、ベルモンドが映画の世界から離れ舞台の世界に行ってしまったことは、
まるでカペラに去られたロックと同じ孤独感をもたらしたのであろうと推察します。
その数年後、ベルモンドの後を追うようにドロンさん自身も舞台の世界に復帰したことは
彼の孤独感を紛らわせる為でもあったのではないでしょうか。
その証拠にシアター・マリニーのドロンさんの舞台の楽屋の入り口のドアには
パリマッチ誌の記事で撮影されたベルモンドとのツーショット写真が貼られていたのです。

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