前回の続きです。
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『高校教師』は、アラン・ドロンにとって彼がそれまでいつも演じてきた氷のようなクールな役柄から脱却しようとした最初の試みの作品であった。
ドロンはヴィスコンティを介して既にズルリーニのことは知ってはいたが、もともとマルチェロ・マストロヤンニを想定して書かれたこの役を演じることにためらうことは少しもなかった。
「この役は初めマストロヤンニが演じるはずだったんだ。でもマストロヤンニは役が気に入らなかったのか、それともスケジュールが合わなかったのか理由はわからないが、結局ズルリーニは私のところにオファーしにローマまでやってきたんだ。
そのとき私は『暗殺者のメロディ』を撮影中だったんだが、私は彼の依頼を初めは少し疑心暗鬼に感じていたので、いったん家に帰ってから脚本をよく読んでみた。
午前3時までいっきに読み終えて私はこれをやるべきだと、すぐさま決意したんだ。」
アラン・ドロンはこの作品にとても熱意を持って臨み、彼の制作会社であるアデル・プロダクションで資本参加をすることまで決断した。
彼はいつも演じてきた刑事やヤクザとは異なる役作りに大いに励み、教養のみを頼りに自身の人生を傍観者のようにしか見ようとしない絶望的な貴族を演じた。
「『高校教師』は何よりも二つの理由で大いに楽しませてもらっているよ。
私はこの作品でギャングスターの役柄から抜け出して、カミユの『異邦人』の主人公のようなキャラクターを演じることができている。
『異邦人』出演のオファーは残念ながらいろいろ考えた末に断ったんだけどカミユは私の好きな作家だよ。
『高校教師』の主人公もまた世の中から取り残された“異邦人”だし、こういうテーマに私は常に魅せられ続けてきたんだ。」
ドロンはさらにこの映画で新しい容姿を見せてくれている。
古いコートを着つづけ、背筋を曲げ、煮え切らない態度で歩き回る。ドロンはこんなくたびれた外見を作ることに喜びを感じていた。
「この人物の外見を創造する作業はとても素敵な経験だ。
無精ひげをはやし、歩き方は小またで、だぶだぶのローデンのコートを着て、始終タバコをくわえている。
外見はこんな姿でもロマンチックな佇まいを常に保っていて映画の雰囲気を壊すことはない。
まるで人々から愛されたジェラール・フィリップが主演した映画のようだよ。」
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UN ROLE à CONTRE-EMPLOI POUR DELON
Le Professeur est la première tentative de Delon pour rompre avec les rôles qu'il incarne habituellement et écorner un peu son côté “papier glacé”.
Le comédien. qui connaissait déjà Valerio Zurlini par l'entremise de Visconti, n'a pas hésité une seule seconde à endosser ce rôle destiné à l'origine à Marcello Mastroianni:
" C'est Mastroianni qui devait le faire, il ne voulait pas ou ne pouvait pas, et Zurlini est venu me le proposer à Rome quand je tournais Trotsky.
J'étais un peu méfiant d'abord, je suis rentré chez moi pour lire le script.
Je l'ai fini à trois heures du matin et j'ai su tout de suite que j'allais le faire.
Alain Delon est tellement enthousiaste qu'il décide de cofinancer le long métrage via sa société Adel Productions.
Il s'attelle ensuite à la construction de son personnage qui est à l'opposé de ses habituels rôles de flics ou de truands.
Il campe un aristocrate désespéré dont la culture est le seul refuge et qui assiste comme un spectateur à sa propre vie :
“Le Professeur me plaît à deux titres surtout : j'y sors des personnages de gangsters et je retrouve là quelque chose du caractère de L'Étranger, que j'ai refusé de tourner toute réflexion faite, bien que le héros, ou anti-héros. de Camus me passionne.
Le professeur est aussi un "étranger" dans le monde: thème qui m'a toujours séduit et soutenu " .
L'acteur a adopté, pour l'occasion, une nouvelle silhouette.
Mal rasé, vêtu d'un vieux pardessus qu'il ne quitte jamais, le dos voûté et la démarche hésitante, Delon a pris visiblement beaucoup de plaisir à cette composition :
“Moi je trouve sans modestie, que la composition du personage était formidable, mais le reste, la barbe, les pieds un peu à l'intérieur, le loden trop grand, la cigarette, ça casse pas l'image, c'est romantique, c'est un peu l'école Gérard Philippe, celui qu'on a envie de prendre dans ses bras.
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『高校教師』は、アラン・ドロンにとって彼がそれまでいつも演じてきた氷のようなクールな役柄から脱却しようとした最初の試みの作品であった。
ドロンはヴィスコンティを介して既にズルリーニのことは知ってはいたが、もともとマルチェロ・マストロヤンニを想定して書かれたこの役を演じることにためらうことは少しもなかった。
「この役は初めマストロヤンニが演じるはずだったんだ。でもマストロヤンニは役が気に入らなかったのか、それともスケジュールが合わなかったのか理由はわからないが、結局ズルリーニは私のところにオファーしにローマまでやってきたんだ。
そのとき私は『暗殺者のメロディ』を撮影中だったんだが、私は彼の依頼を初めは少し疑心暗鬼に感じていたので、いったん家に帰ってから脚本をよく読んでみた。
午前3時までいっきに読み終えて私はこれをやるべきだと、すぐさま決意したんだ。」
アラン・ドロンはこの作品にとても熱意を持って臨み、彼の制作会社であるアデル・プロダクションで資本参加をすることまで決断した。
彼はいつも演じてきた刑事やヤクザとは異なる役作りに大いに励み、教養のみを頼りに自身の人生を傍観者のようにしか見ようとしない絶望的な貴族を演じた。
「『高校教師』は何よりも二つの理由で大いに楽しませてもらっているよ。
私はこの作品でギャングスターの役柄から抜け出して、カミユの『異邦人』の主人公のようなキャラクターを演じることができている。
『異邦人』出演のオファーは残念ながらいろいろ考えた末に断ったんだけどカミユは私の好きな作家だよ。
『高校教師』の主人公もまた世の中から取り残された“異邦人”だし、こういうテーマに私は常に魅せられ続けてきたんだ。」
ドロンはさらにこの映画で新しい容姿を見せてくれている。
古いコートを着つづけ、背筋を曲げ、煮え切らない態度で歩き回る。ドロンはこんなくたびれた外見を作ることに喜びを感じていた。
「この人物の外見を創造する作業はとても素敵な経験だ。
無精ひげをはやし、歩き方は小またで、だぶだぶのローデンのコートを着て、始終タバコをくわえている。
外見はこんな姿でもロマンチックな佇まいを常に保っていて映画の雰囲気を壊すことはない。
まるで人々から愛されたジェラール・フィリップが主演した映画のようだよ。」
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UN ROLE à CONTRE-EMPLOI POUR DELON
Le Professeur est la première tentative de Delon pour rompre avec les rôles qu'il incarne habituellement et écorner un peu son côté “papier glacé”.
Le comédien. qui connaissait déjà Valerio Zurlini par l'entremise de Visconti, n'a pas hésité une seule seconde à endosser ce rôle destiné à l'origine à Marcello Mastroianni:
" C'est Mastroianni qui devait le faire, il ne voulait pas ou ne pouvait pas, et Zurlini est venu me le proposer à Rome quand je tournais Trotsky.
J'étais un peu méfiant d'abord, je suis rentré chez moi pour lire le script.
Je l'ai fini à trois heures du matin et j'ai su tout de suite que j'allais le faire.
Alain Delon est tellement enthousiaste qu'il décide de cofinancer le long métrage via sa société Adel Productions.
Il s'attelle ensuite à la construction de son personnage qui est à l'opposé de ses habituels rôles de flics ou de truands.
Il campe un aristocrate désespéré dont la culture est le seul refuge et qui assiste comme un spectateur à sa propre vie :
“Le Professeur me plaît à deux titres surtout : j'y sors des personnages de gangsters et je retrouve là quelque chose du caractère de L'Étranger, que j'ai refusé de tourner toute réflexion faite, bien que le héros, ou anti-héros. de Camus me passionne.
Le professeur est aussi un "étranger" dans le monde: thème qui m'a toujours séduit et soutenu " .
L'acteur a adopté, pour l'occasion, une nouvelle silhouette.
Mal rasé, vêtu d'un vieux pardessus qu'il ne quitte jamais, le dos voûté et la démarche hésitante, Delon a pris visiblement beaucoup de plaisir à cette composition :
“Moi je trouve sans modestie, que la composition du personage était formidable, mais le reste, la barbe, les pieds un peu à l'intérieur, le loden trop grand, la cigarette, ça casse pas l'image, c'est romantique, c'est un peu l'école Gérard Philippe, celui qu'on a envie de prendre dans ses bras.
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『高校教師』の記事、楽しませていただいております。
ドロン氏が断った『異邦人』をマストロヤンニが演じ、マストロヤンニが断った『高校教師』をドロン氏が演じるという不思議な因縁があったのですね。
若干ですが内容が重なることもあり、最初の記事に対してトラバさせていただきました。
よろしくお願いいたします。
「マストロヤンニとの不思議な因縁」は全く仰るとおりですね。
もしドロンさんが『異邦人』に主演していたらどうなったかはわかりませんが、
『高校教師』についてはドロンさん主演で大正解だったのではないでしょうか。
そして
それの 長女の国。
大本の共通があり、
また各々の枝葉が、大いに魅力の2国。
太陽がいっぱい もイタフラ合作でしたね。
蜜月の関係、両国の時代といえば それまででしょうが、アントニオーニから久々のイタリア監督との出会い。この佳作!dvdの購入は正解でした!!
イタフラちょい古車が趣味でもあり2国の車の魅力の枝葉も楽しんでいます★☆
仰るようにドロンさんのセリフがイタリア語の吹き替えのためかなり違和感を覚えてしまいます。
「ヨーロッパのたくさんのファンの方が英語字幕を捜している」というのは初耳です。なぜなのでしょう?
私が持っているのは完全盤なのですね。全部で何種類ぐらい存在するものなのでしょうか?またドロン様のフランス語が聞けるものは今でも購入可能なのでしょうか。
何処なのかまだ各サイトをまったく把握していない状態なのですがBBSで(ごめんなさい、ヨーロッパだけとは限らないと思います。イランやエジプト、ベトナム等からもサイトに遊びに来られているファンの方が話していたので)理由は分かりませんが吹き替えてある言語や字幕スーパーで言葉が理解できなくストーリーを追えないんだと思います。中でも一番ニーズがあるのが英語の字幕でした。
私は超マイペース人間ですのでどうぞ気長にお付き合い下さい。
『高校教師』のフランス語盤はアマゾンのフランスのサイトから購入することは可能です。
(ただし中古販売は時々いいかげんな売り手がいますので注意して下さい。)
ちょうど今ユーロが安くなってますのでチャンスではないかと思います。
英語盤お探しの理由につきましては理解できました。ありがとうございます。
そして一年以上してのOAです。赤茶色の焼けたフィルム感が哀愁を誘います。まだアランドロン様の事をCM以外ではまったく知りませんでした。まさかご出演予定だったなんて。そのことは最近こちらにて知りました。ありがとうございました。ドロン様のバージョンはきっとマストロヤンニ様とはまったく違うものになっていたと思います。ありがとうございました。お菓子を一口摘んで帰るつもりがまた長くなってしまい、申し訳ありません。あの震える気持ちはいつまで経っても大切にしたいと思っております。