陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

公民教科書採択の八重山騒動

2011-09-13 23:26:56 | 教育と研究
 育鵬社の中学生用公民教科書を採択する是非を巡り、沖縄県・八重山地区(石垣市、与那国町、竹富町)教育委員会の間で意見が分かれた。八重山採択地区協議会(8人)は、8月23日に協議を行い、多数決で育鵬社教科書を採択した。これは、合法的プロセスだ。

 その後、反対姿勢の竹富町教育委員会は、マスコミなどの外部勢力を利用して、不採択を勝手に決めた。困った沖縄県教育委員会は、同地区の教育委員全員による再協議(これは法令と異なる)を指導、多数決で育鵬社教科書を不採択とし、新たに東京書籍の公民教科書を採択した。これは、9月8日のことである。

 不満の石垣市と与那国町教育長は、9月8日の採択で合意は無かったと文部省へ連絡した。不審に思った文部省は、県教育委員会の担当者を呼び、詳しく事情聴取。そして、8月23日の育鵬社版教科書の採択決定に戻って、改めて協議するよう指導した。

 石垣市は、尖閣諸島を抱えている。昨今の緊張状態を考え、領土・領海を明示し歴史的な経緯も記述した育鵬社版教科書を同市教育委員会は選択したのだ。沖縄は、日教組の影響力が強く、沖縄のマスコミは本土よりも左翼色が著しい。だから、保守色の強い育鵬社版教科書を拒絶している。

 どの教科書も検定を受けて合格した内容である。その選び方は、子供たちに客観的事実を教えることを第一義として欲しい。義務教育にイデオロギーを持ち込むことは心して慎むべきである。

育鵬社の教科書問題 反対運動と一体 「無法」な県教委
2011.9.9 01:29

 「沖縄県教委は無法状態」。8日、石垣市と与那国町、竹富町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」で選定された育鵬社の教科書が一転、不採択とされた。識者からは県教委の“ご都合主義”の指導に「育鵬社反対運動と一体」と批判の声が上がった。

 「協議に戻らないと、地方教育行政法違反になりますよ」

 8日に開かれた3市町の教育委員全員による協議。県教委の関係者は石垣市教委の関係者にささやいた。

 採決による採択のやり直しを強引に求める県教委に対し、石垣市の玉津博克教育長は退席。約1時間にわたり“抵抗”を続けた。

 育鵬社を選定した8月の同協議会では、3市町の教育長を含む教育委員2人ずつと学識経験者、保護者代表(PTA)の8人による採決で、賛成5、反対3だった。しかし、教育委員全員の13人では竹富町の5人が全員反対のため、採決に持ち込まれれば不採択が目に見えていたからだ。

 同法は、教育長にすべての会議への出席を求めている。県教委の「指導」で、法律違反を恐れた玉津氏は協議に戻った。案の定、同協議会の決定は覆った。

 法律に基づき、玉津氏を指導した県教委だが、そもそも教育委員全員による8日の協議は、採択に関する法的権限のないものだった。竹富町側が育鵬社を2度にわたり拒否したため、県教委が打開策検討の場として開催を要請した。

 ところが前日に急遽(きゅうきょ)、採択やり直しの場として位置づけると決定。協議では県教委の担当課長が「協議には法的拘束力がある」と強調し、議論を進めた。文科省は「3市町の合意」を条件に協議を採択の場として認めたが、石垣、与那国両市町側が「合意はない」としており、今後、採択の有効性が焦点となる。その文科省は、これまで「県教委が事態を収拾すべきだ」という態度を崩していない。

 同協議会関係者は「まるで育鵬社を不採択とするためのような指導で、県教委は無法状態だ」と非難。ある教育委員経験者も「民主的に決まった議決を県教委が横暴に覆した。各地で同様の事態が起きた場合、採択制度に基づく議決が守れなくなる」と懸念を示す。

 ジャーナリストの櫻井よしこさんは「育鵬社の教科書は国の検定を合格したにもかかわらず、沖縄のメディアは連日、キャンペーンを張り、批判し続けた。県教委は本来、公正な採択を守る立場のはずなのに、批判に流され、加担してしまった」と逆転不採択を批判する。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110909/okw11090913030000-n1.htm


 文科相も、今の所は8月23日協議を支持しているように見えるが、何処まで信用出来るか分からない。

中川文科相、逆転不採択を無効と明言 育鵬社の公民教科書
2011.9.13 11:40

 沖縄県石垣市と与那国町、竹富町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」が選定した育鵬社の公民教科書が一転不採択とされた問題で、逆転不採択となった8日の「新たな協議の場」について、中川正春文部科学相は13日の閣議後会見で、「協議が整っていないと考えざるをえない」と無効を明言した。

 育鵬社の教科書を選定した八重山採択地区協議会の選択の経緯には法的な問題はなく、中川文科相が現時点では同協議会の決定事項のみが有効と判断した格好だ。

 中川文科相は「昨日(12日)、文科省の担当が直接、(沖縄)県教委の担当者からそのときの事情を聞き取っており、その結果を判断すると、協議が整っていないと考えざるをえないと思う」と述べた。

 この問題をめぐっては、県教委が逆転不採択となった8日の協議を「(3教委で)合意した」と主張しているのに対し、石垣市と与那国町の両教委側が直後に協議の無効を訴える文書を文科省へ送付。文科省は12日に県教委から説明を求め、法的に無効との見方を示していた。

 県教委から文科省への最終報告期限は16日に迫り、育鵬社の教科書採択に難色を示している竹富町教委の対応が迫られる中、中川文科相は「一義的には県教委に(まとまるように)頑張っていただかないといけないが、私たちも努力をする」と話し、文科省として事態の収束に乗り出す用意があることを示唆した。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110913/okw11091312310000-n1.htm


 少し補足します(9/15)。この問題は、沖縄の現地で事の推移を見ている<狼魔人日記>さんのレポートが、かなり詳しく参考になる。
http://blog.goo.ne.jp/taezaki160925

 是非、<狼魔人日記>」を覧いただきたいと思います。


参考:

 歴史教科書の採択に変化を感じる
 http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/6e98f35c25f7c819f788ea90e6806587
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日本地図から消えた沖縄 (戦後帰り)
2011-11-25 04:11:44
八重山教科書:「子のため」登壇
 八重山教科書問題で、文部科学省が一本化の期限を切った11月末まであと1週間と迫った23日の県民集会。東京書籍版を採択した3市町の全教育委員協議の正当性を確認し、登壇した竹富町の元教員や石垣市民らは、育鵬社版の内容やそれを選んだ八重山採択地区協議会の経過をあらためて問題視した。陸上自衛隊の配備計画も絡んで賛否が二分する与那国町。小さな島がゆえに自分の声を抑え込んできた父親も「子どもたちのために」と初めてマイクの前に立った。

与那国保護者・稲川宏二さん
「素敵な島に嫌な空気」

 「自然豊かな島、緩やかな時間が流れる素敵(すてき)な島に、軍事力という恐ろしく嫌な空気が漂ってきています」。与那国町で酒造所に勤める稲川宏二さん(45)は島への自衛隊配備計画と絡めて、小中学生の保護者として育鵬社版の採択反対を訴えた。

 大勢の前で意見を述べるなど以前なら考えもしなかった。大阪府出身。サトウキビ収穫のアルバイトで18年ほど前に来島し、北海道出身の妻(45)との結婚を機に本格移住。「人口約1600人の小さな島。しかも自分は外から来たヤマトンチュ。家族や人間関係を守るため、賛否が分かれる問題での発言は避け、距離をわきまえ生活してきた」という。

 だが、中学2年の長女(13)、小学6年の長男(11)は、問題の中学公民教科書を来年度から手にする当事者。「軍事力で日本の平和を守っている」という育鵬社版の見方に同意できず、何より選定方法が「ずるい」と感じる。意を決して反対の立場を打ち出した。

 島に高校がないため、子どもたちは15歳で島を離れる。「それまでにわれわれ大人は生きる力、生きる目的、生きる素晴らしさを教えなくてはいけない。子どもたちのために何ができるか。ぶれることなく日々暮らしていきたい」と聴衆に語り掛けた。

竹富の会・仲村貞子さん
「回れ右はさせない」

 「子どもたちに“回れ右”をさせたくない」―。元小学校教諭で「竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める会」の代表世話人を務める仲村貞子さん(82)=同町=は、自身の沖縄戦体験を振り返りながら言い切った。

 子どものころに学んだ教科書は、兵隊を美化し、日本は絶対に負けない神の国だとする内容だった。「教科書で教えられた通りに子どもは進む。私が歩んだような過去ではなく、まっすぐ進んでほしい」と願った。

 戦後、教員となり、沖縄本島や西表島で教壇へ。退職後は西表島を拠点に平和学習ボランティアとして戦争体験を語り続けている。

 中川正春文部科学相の「竹富は有償」発言を受けて会を発足。「町や国が使う金は八重山の保護者も一生懸命払ってきた税金だ。竹富以外を無償とするのはひいきだ」と憤った。

 13日に西表島で開いた町民集会では、島内外から約80人が集まった。「離島が多いので住民が集まりにくい環境だが、文科省に思いが届くまで何回でも集会を開きたい」と今後の活動に意欲を燃やした。

八重山住民の会・藤井幸子さん
「憲法生かす結果作る」

 「自衛隊配備、戦争賛美。最初から政治的な思惑があった」

 子どもと教科書を考える八重山住民の会事務局の藤井幸子さん(63)=石垣市=は、「憲法改正に肯定的」な育鵬社版公民教科書が子どもたちに渡る懸念を訴えた。

 大阪府出身の藤井さんは憲法が施行された1947年生まれ。広島県呉市で原爆被害者の看護に当たった母の経験を聴き、「平和」の大切さを教わった。

 父は戦時中の軍作業の無理がたたり、藤井さんが2歳のころに他界。母が女手一つで育ててくれた。

 「平和」「男女平等」。中学の授業で学んだ憲法の「尊さ」は「母」と重なった。

 基地がなく、豊かな自然が残る石垣島に引かれ6年前に移住。いしがき女性9条の会事務局長として国境に近い八重山でこそ武力ではなく、交流で平和を築くべきだと強く思う。

 多感な中学生が使用する教科書に「改正ありき」の内容で記述するのは「次代を憲法を変える方向に導く」という危機感を抱く。

 「(石垣市教育長が)自らと異なる意見に耳を貸さないのはおかしい。民主主義、憲法が生かされる結果を作り出すため頑張りたい」と全県的な連携を呼び掛けた。

石垣市立中教諭・上原邦夫さん
「これでは授業できない」

 石垣市立中学校で社会科を教える上原邦夫教諭は「八重山は一つという気持ち」を訴え、東京書籍版の無償配布を繰り返し求めた。

 今年6月、上原教諭が市教委から各社の教科書の特徴を調べる教科書調査員を依頼された後、一転外されたことが、特定の教科書を採択する動きとして市民が警戒する端緒となった。

 上原教諭は、育鵬社版を読み込むうち「いくら何でもこれでは授業はできない」と確信。育鵬社版の前身となる新しい歴史教科書をつくる会系教科書を使った県外のケースを例に「(育鵬社版に決まれば)教員が教材研究して自由に教えることはできない。学校教育に持ち込んではいけない」などと危機感を募らせた。

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常識喪失の沖縄教育 (上野香)
2012-01-12 16:52:23
偶然記事とコメントを読んだが、コメントはそのまま戦後昭和のいかにも日本的な情緒左翼の言葉の羅列に感心した。世界のいずこにあっても政府の仕事は国民の生命と財産を守ることが最大の任務であって国民の自由と平等は生命と財産の保持が前提である。自前の国家をもたない民族の悲惨さは二千年余りにわたり世界を秤量したユダヤ人だけではない。現在の中国でもチベットや西域の人々、あるいはロシア支配下のイスラム教徒、アフリカ大陸にまで目を向ければ数限りない。感情的なコメントを書いた人々は育鵬社の教科書そのものを読んでいない。偏向したマスコミが張り付けたイメージが先行したため嫌悪感が先走って読む気がしないのだろう。他の教科書と違い市販されているのでまず読むことを進める。一般国民市民が読んで違和感の感じるものかどうか。私自身は沖縄を旅行した時に読んだ現地の新聞の論調に異常性を覚えたが。それも地域の特色といえばそれまでなのだろうか。客観的公正な報道姿勢がないのも含めて。
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