陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

新型「プリウス」もリコールへ(追記有り)

2010-02-09 00:22:34 | 財政・経済問題
 北米で始まったトヨタ車へのクレームに対し、トヨタ自動車が渋々リコールを始めると、たちまち欧州にも広がった。フロアマットの問題に加えて、アクセル機構自体に問題があったようだ。

 このトヨタ車へのクレーム+リコール問題は、欧米の有力紙が挙って異常な位に攻撃を加えている。確かに、トヨタ本社経営陣の対応は鈍かった。それでも、米国政府及び欧米マスコミの容赦ない姿勢には、些か違和感を覚える。

 米国ビッグスリーの経営破綻をよそに、トヨタがハイブリッド車で世界を席巻しつつあったことへの反感も大いに寄与しているのだろう。それと、アングロ・サクソン流の政治的策謀が背景にあるのかも知れぬ。

 国内では、欧米のリコール問題とは全く別に、ハイブリッド車「プリウス」のブレーキ動作異常が同期するように取上げられた。こちらも、マスコミのトヨタ批判が盛り上がって、遂に新型「プリウス」リコールが行われることになった。

 自動車専門Web「レスポンス」によると、

トヨタ プリウス、異例のリコール届出へ
2010年2月8日(月) 19時46分

 トヨタ自動車が『プリウス』のリコール(無償回収・修理)を今週前半にも国土交通省に届け出ることになった。

 プリウスのブレーキに安全上の問題はないものの、マスコミによるトヨタ批判が過熱し、自主的対応では世論が収まらないと判断し、リコールを届け出ることにした。車両に欠陥がないのにリコールを届け出るのは異例のことだ。

 滑りやすい路面で低速で走行した際にブレーキをかけると一瞬、ブレーキが利かなくなるとのユーザーからの情報に基づいて、トヨタはABS(アンチロックブレーキシステム)の制御プログラムを1月の生産分から変更している。

 リコールを届け出ることで、販売済みの車の制御プログラムも同様に書き換える。制御プログラムの変更により回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わる瞬間の時間を短縮し“空走感”を感じにくくする。

 自動車業界では、商品性を向上するための設計変更はよく行われること。国土交通省に事前に届け出る義務はない。今回もそうした対応をとっていたが、ブレーキへの苦情が新聞に報道されると、日に日にマスコミ報道が過熱し、あたかも欠陥をこっそり直していたかのような誤解を受ける事態になった。

 リコールの届出は通常、車両の設計または製造過程の問題が原因で道路運送車両法に基づく保安基準に適合しないか、しなくなる恐れのある場合になされる。プリウスの場合は保安基準には抵触しないものの、改善対策やサービスキャンペーンといった自主的な対策では世論が収まらないと判断したようだ。レクサス『HS250h』やトヨタ『SAI』といった他のハイブリッド車についても調査中で、リコール届出車種が増える可能性がある。
《編集部》
http://response.jp/article/2010/02/08/136051.html


 新型「プリウス」リコールは、当然欧米でも行われるだろうから、あちらでは殆どのトヨタ車種がリコール対象となる。これは、トヨタの金看板「安全と信頼」を益々汚すことに繋がる。同社の販売台数への影響は、まず避けられまい。

 ABS機構の調整に加えて、走行距離を伸ばすために、回生ブレーキによる充電時間を少し長めに設定したのが新型「プリウス」のブレーキ問題を招いたようだ。第一世代「プリウス」は、販売台数も少なかったし、運転の違和感を減らすために油圧ブレーキ重視であったから、問題が顕在化しなかったのだろう。

 ハイブリッド車では、動力系、走行制御系などにコンピューターが多用される。運転者は、老若男女様々であるから、従来型の車両とは異なった操縦感覚をそれぞれに持つかも知れない。特に年配者の場合、従来型の車両でも駐車場においてブレーキとアクセルを踏み間違える事故が多発しているから要注意だ。

 これから益々増えるハイブリッド車の設計に際しては、燃費向上や走行距離増加に加えて、操縦性確保に一層の注意を払うよう警鐘が鳴らされたとも思えるのだ。

(追記:2月9日)

 トヨタ自動車は、本日午後、正式に国交省へリコール届出を行った。

トヨタ、国交省にプリウスのリコール届け出
2010.2.9 13:22

 トヨタ自動車は9日午後、ハイブリッド車(HV)新型「プリウス」のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。

 国交省は届け出を受理後、リコール内容を発表する。トヨタは米国でもプリウスなどのリコールを速やかに届け出る。

 トヨタは昨秋以降、「滑りやすい路面などでブレーキが利きにくい」との苦情について調査した結果、急ブレーキをかけたときにスリップを防ぐ「アンチロックブレーキシステム(ABS)」の電子制御の問題だと判明。今年1月末以降、生産現場において制御ソフトの設計を変更する改善措置を実施したが、部品に欠陥はなく「運転手の感覚の問題」(同社幹部)として公表しなかった。この対応が、すでにプリウスを購入した顧客らに不信感を抱かせ、トヨタの販売店にはユーザーからの問い合わせが相次いだ。

 プリウスは昨年5月の全面改良後、世界の約60カ国・地域で約31万台が販売された。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100209/biz1002091322010-n1.htm


(参考)

トヨタ車の大量リコールが世界に拡散
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/f9f06d3bbaf190e2bf5a9f698a3e2907
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1 コメント

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もう一度言いたい (ぐりぐりももんが)
2010-02-09 13:22:53
タイでハイブリッド・カムリに乗らされてます。
従業員が新物好きで車を代えちゃったんで、、、
こっちじゃ、プリウスの記事について、誰も知らないな。
それに、ABSが作動するスリップしやすい運転環境なんかあまり無いしなー。
それで、不器用な白物人種のハンドル捌きを見てみたいだけです。
そんな風に思えるんだよな。
それで、ABSブレーキを雪道で利かせた体験って、みんな、知っているのかしら、、、
効いた瞬間ってショックを感じるはずで驚くし、おれは運転下手だって自省するはだよなー、それが日本人。
むしろ、ABSを効かせるような運転をする輩が危険なので、車には触らせない方が無難でしょう。
すべて、マシーンに頼りきりになって、自らの運転技術の見極めも出来ないとなると、トヨタさんもかの地のとんでも市場は営業を改めないとダメかもしれません。
(これって、他のブログでもいったんですけど、ブログ主さんが雪国にお住まいの方なので、投稿させていただきました。)
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