陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

高校生と共にスキーを楽しむ

2010-02-06 13:40:01 | Weblog
 寒波襲来の合間に、今シーズン初めて『米沢スキー場』へ出掛けた。2月1日(月)のことである。近所の高校2年生YN君が同行。彼の通う高校で入試が行われ、数日間在校生達は休校になったと言うので誘った。身長170cm強、痩せ型の少年で、中々の男前だ。
http://www.yonezawa-ski.co.jp/

 暖かい日差しの下、YN君とお喋りしながら路面に雪の全く無い国道13号線を20分程走る。午前11時頃にはスキー場へ到着し、ロッジ玄関前に駐車。

 YN君は、今年からファン・スキー(スキーボード)を始めたとのことで、80cm程度のボードとスキー靴だけを持参。彼は、幼稚園の頃からスキーに馴染んでいるし、運動神経が発達しているので、私よりも遥かにゲレンデ・スキーは上手である。ファン・スキーではストックを使わず、体重移動を巧みにしながらエッジの切り替えだけで滑走する。が、年配者がそれに慣れるのには、些か時間が掛かりそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89

 第1リフトの中間地点でYN君と別れ、まずは緩斜面で足慣らしをする。昨年の同じ頃に比べると、120cmと積雪量はやや少ない。それに、気温が上がっているためか、粗目(ざらめ)雪層が厚く、何とも滑りにくい。2-3回リフトの途中で降りることを繰り返していたら、上から滑り降りて来たYN君がリフト乗り場で待っていた。

 二人揃って第1リフトの終点まで登った。彼は、最大斜度32度の「ダイナミック・コース」を滑ると言うので、私はそれを上から見ていた。少し前傾する格好で、ショート・ターンを繰り返し、巧みに滑り降りて行く。両腕を僅かに開き、上体を起こす形でバランスを取っている。不安定な短いスキーボードで、ストックも使わず、恐怖を感じないのだろうか。



 急斜面をファン・スキーで滑るYN君


 私は、少し先に位置した斜度の若干緩やかな「北の背コース」をウェーデルンで滑り降りた。この高さになると、雪質は実に良好。部分的にアイスバーンになっている。YN君は、途中の合流平坦部で待機。それから下まで、二人で競争しながら下ってリフト乗り場へ到着。

 こうして、リフトに乗ること3回、早くも脚に疲れを覚える。YN君に、「僕はタバコ休憩するから、暫く一人で滑っておいで」と伝え、スキーを脱いだ。ロッジの日当たりの良いベランダで、のんびりと一服する。空は次第に雲が増えて、日差しが消えてしまった。

 もう午後12時半になっていた。ロッジの中へ入ると、小・中学生達が昼食中で騒々しい有様。彼等は、南部小、米沢五中、興譲館高など、色取りどりのゼッケンを付けている。自動販売機でカフェ・ラテを取り出し、重いスキー靴を引きずりながら、ようやく空いたテーブルを見つけて着座。そこへ年配のスキーヤーが二人やって来て、私の前に座った。

 彼等は、「こう込んでいては、食券を買いに行けないな」などと話している。私の飲み物をチラと見て、彼等もインスタント・コーヒーを買いに販売機へ向かった。

 戻って来た彼等と何となく話をしてみると、福島から来た老スキーファンらしい。家から車で40分位とのこと。胸には、写真入のシーズンチケットを着けた本格派。福島からなら『栗子国際スキー場』が近くて良いでしょうと言うと、あっちは雪質が良いんだが、西風が強くてね、それに此方の方が滑り易いとの返事。

 賑やかに食事をしている子供達を見ながら、老スキーヤーは

「子供らが、ずうっとスキーを続けてくれると良いんだが・・・」
「この中から、有力な競技者が出るかもね」
「大事に育ててやらんと」
「それにしても、生徒以外は客足が伸びないな」

などと話し合っている。確かに、今日は若いスノーボーダーも殆どいないし、リフトに乗っている客数は少ない。昨年は、週日でも代休を取って、スキーとスノボに興じる若者達に何度も出会った。やはり、この不況で彼等も余裕が無くなったのだろうか。

 私は、再びスキーを履いて、YN君を探した。子ども達のいないゲレンデは、殆ど空っぽだから探し易い。黒い毛糸帽子、赤襟付きの白いウエアを身に着けた彼が、スマートに滑り降りてくるのを暫く見ていた。ファン・スキーの経験が浅いから、回転技などにはまだ挑戦しないらしい。



 空っぽの緩斜面を悠々と降りてきたYN君



 昼食を終えた子供たちが三々五々に飛び出して来て、ふざけながらスキーを着けている。先生方が、子供達を集めては彼等のグループ写真を撮っていた。彼等と一緒にリフト乗り場へ移動した。



 リフト乗り場の前で


 2-3回リフトに乗り、繰り返し滑り降りてゲレンデを眺めていたら、YN君が近づいて来た。体力に溢れた彼も、流石に疲れたようだ。子供達が滑りに出てロッジも空いたようだから、遅い昼食にしようとスキーを脱いだ。

 YN君は、塩ラーメンとたこ焼き、私はカキフライ定食に決めた。食事中、彼に蔵王へ行ったかと聞いたら、中3の時、クラスのスキー合宿で一泊しながら滑ったと言う。「あそこはゲレンデが沢山あって、すごく広いですね。ゴンドラも大きいし」とは彼の感想。地蔵まで上がったらしい。蔵王の帰りに『朝日山スキー場』へ寄ったとのこと、その時のリフト券を見せてくれた。

私も、数回訪れた蔵王を懐かしく思い出し、長野県の志賀高原、野沢温泉;新潟県の妙高、赤倉、それに菅平(上田)で滑った印象を語った。もう40年近く前のことになる。

 彼は、テニスと少林寺拳法を楽しむスポーツ少年。学校では、いじめはどうかと聞くと、言葉を濁していたが、スポーツにあまり関心が無く、おとなしい子がいじめられ易いそうだ。YN君は明るい性格だし、いじめとは無関係な生徒と思う。将来は何をしたいかと聞いたら、大学を終えてレストラン経営をやりたいとの答。

 昼食後は、午後4時頃までスキーを楽しんだ。その頃になると、ゲレンデは子供達は全て去り、少数の年配者が滑っているだけになる。これ程閑散な調子では、ナイター客が来るのだろうか。

 この日の緩斜面は、粗目雪で脚がもつれ、思わぬ場所で数回転倒したが、幸い怪我はしなかった。YN君は、私が転倒する度に心配そうに近寄って来た。一人で気侭に滑るのも良いが、やはり相棒がいると何かと心強い。

 帰りの車中で、YN君の進学について話を聞いた。彼は、文系の私立大志望を考えているらしい。AO入試に興味があり、それを聞かれた。個性を持った生徒を大学は求めているのだから、何か特技とか、自分なりの主張点を相手に明示することが大切と話した。そうか、あと半年もしない内に、彼は受験の季節を迎えるのだ。

 50才も年齢差があると、音楽の話をしても中々噛合わない。少々驚いたのは、愛唱歌「旅愁」を彼は知らなかったことだ。J-POPsには、好きな歌が沢山あるとのこと、しかし、歌名を聞いても私の知らないものばかり。車載プレーヤーで “You raise me up” を聞かせたら、とても良い曲ですねと反応したので、今度歌詞の和訳を教えるつもり。

 我が家へ戻り、風呂に浸かりながら、若者とスキーに行くのは何とも楽しく、若返った気持ちになるなと改めて感じた。何か事故でも起きたら、YN君はきっと献身的に手助けしてくれるだろう。彼にしてみれば、爺さんとスキーに行っても無難な所しか滑らないし、それに休んでばかりいてあまり面白くないと思ったかも知れぬ(笑)。

 この数日後、寒波が襲来、米沢スキー場は現在積雪150cmを越えた。スキーコンディションは格段に良くなったはず。週明けには再度出掛けようと思う。
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