陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ハ-パー・カナダ首相の気骨:中共人権問題

2007-02-13 09:58:06 | シナ・中共関係
 カナダ首相が中共の脅しに負けず、毅然とした態度を示している。

 カナダ政府は、以前から中共が拘束した法倫功信者から生体臓器摘出している実態を克明に調べ、中共の人権軽視を強く批判している。昨年11月、APEC でスティーヴン・ハーパー首相(カナダ保守党党首)と胡錦涛総書記の会談が予定されたが、会談を巡って二転三転した。その事が、<大紀元>紙に再掲載されている。

-------------(引用開始)

カナダ・中国両首脳会談:ハーパー首相、「注目されている問題に言及した」

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 【大紀元日本11月21日】ベトナムで開かれている APEC の期間中に、カナダのハーパー首相と中国の胡錦涛・総書記は15分間の会談を行った。これまでに、今回のAPECでの両国の首脳会談について、中国当局がいったん会談を取り消し、後に再度会談に応じる用意があると発表していた。そのため、会談の内容が大いに注目された。

 米国VOAの報道によると、会談したのは18日夜の晩餐会の席。ハーパー首相が翌日の記者会見でこの情報を明らかにした。首相は、「私は胡錦涛・総書記と15分間話しを交わした。もちろん、我々は注目されている問題に言及した」と述べ、会談は正式であるかどうかについて、説明せず、これからも様々の場で適切な議題を提起する構えを示した。

 両首脳のAPECでの単独会談について、中国当局は会談を提案したのはカナダ側とし、一時は取り消しすると公表したが、その後、態度を急変し、会談に応じる用意があると示した。

 一方、ハーパー首相のサンドラ・ボクラ報道官は14日、「中国側は我々と接触し、今回の会談を提案した。そして、我々は同意した。しかし、その後、この会談が取り消されたことを知った」と明らかにした。

 カナダ政府関係筋によると、中国側の急変は、ハーパー首相の会談メモにあげられている法輪功学習者を狙った臓器狩りの問題と関連しているという。中国問題の専門家は、「胡錦涛・総書記は中国の人権問題が提起されるのを避けるために、単独の首脳会談の取り消しを決定したが、後に、ハーパー首相が人権問題を棚上げにして中国との貿易関係を発展させる意向はないと毅然とした態度を示したため、恫喝的な手段はカナダの態度をさらに硬化させるだけと認識し始め、事態が国際社会で騒がれ、臓器狩りの真相の蔓延を防ぐため、再び首脳会談に応じると言い出したのではないか」と見ている。

 APECの記者会見の席で、複数のカナダ記者は、今回の両首脳の単独会談について質問した。ある記者は、今回の会談で人権問題を提起したかどうかと質問したところ、ハーバー首相は「昨日の晩餐会で、胡錦涛・総書記は私のところに来て、我々はその場で十数分間話を交わした。その後、私は随行員にこのことを告げた」と説明、このような場合は基本的に率直な個人的な会話を交わすであり、双方は人権問題や、両国間の貿易問題などを言及した、非公式な談話であるため、一部の内容を全部公表しないと述べた。

 もう一人の記者は、「中国でのビジネスには多くの問題が存在している。例えば、行政幹部と実業家の結託などの問題。当局の幹部とのコネがなければ、ビジネス展開するのが非常に難しい。このような状況について、カナダ政府はどう対応しているのか」と質問した。

 ハーバー首相は、「カナダは対中貿易で巨額な貿易赤字を抱えている。問題は、人権問題を避けても、ビジネスチャンスは増加しない。貿易の扉もこれでさらに広く開けることもない。カナダ自身の価値観を変えることで、さらなる商機をもたらすことはない」と答え、両国の経済貿易関係は相当進んでいるが、基本的には中国側に有益な状況となっている。そのため、中国側はこのような状況を変える考えはないとの認識を示した。

(06/11/21 08:51)
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/11/html/d72019.html

--------------(引用終り)

 貿易は貿易とし、それとは別に国家の価値観として人権問題を取り上げるハ-パー首相の姿勢は立派だと思う。彼は、2006年2月6日に首相になった48才の若手政治家だが、中共政府の御機嫌伺いに終始する日本政府、国会議員のそれと比べると雲泥の差がある。

 ポール・マーティン前首相(カナダ保守党党首、69才)も、2004年4月カナダ訪問中のダライ・ラマを謁見し、中共の恫喝に屈しなかった。カナダの中共とのやりとりは、別の記事に詳しい。

 法倫功の機関紙とも言われる<大紀元>の記事であるから、多少は割り引いて読む必要があるが、カナダの人権重視姿勢は広く知られる所である。

 カナダ人による臓器狩り調査報告会は、昨年10月中旬に櫻井よしこ氏が日本戦略研究フォーラムで提案し、東京でも開催された。

 その時、厚生労働省での記者会見では、中国で臓器狩りを直ちにやめさせるために日本として取るべき行動10項目が提言された。

(1)日本人が中国に渡航移植しなくても済むようにドナーが見つけられるシステムを作る
(2)中国へ渡航移植しようとする日本人に対し提供者は「良心の囚人」である法輪功学習者である事実を伝える
(3)医学者の倫理として同意を得ていない提供者からの臓器提供を受けない
(4)日本の臓器移植法の改正により、提供者も受ける方も同じ法で保護されるべきである
(5)臓器提供者の合意書を事前に受けるべきである
(6)抗体抑制剤などの移植関係の医薬品を中国に提供しない
(7)医学界としても、この犯罪が続いている間は臓器移植について中国と交流を持つべきではない
(8)日本政府としてこの問題について中国政府に中止要求を明確に出すべきである
(9)日本政府は国際的な独立調査団が結成されて、中国政府がその調査に積極的に応えるように要請すべきであり、国連の人道問題調査官からも明確に提議され中国政府に伝えられている
(10)日本から中国に渡航移植した人の追跡調査をすること、いつ、どこで移植手術を受け、臓器提供者はだれなのか、どの病院で誰が行ったのかを調査することがあげられた。

 こうした事は、我が国の国会で取り上げられる事も無く、訪中する国会議員も一切触れようともしない。ドイツのメルケル首相は昨年の中共訪問に際し、北京の首脳会談で人権問題を取り上げ、上海に出掛けて人権被害者と面談している。

 日本のマスコミは、中共の人権弾圧を完全にスルーしているし、いわゆる人権活動家や市民グループはこれを無視している。チベット不法侵入、ウィグル人の弾圧など、とにかく中共に不利な話は避けて通るのが日本国政にたずさわる人達の習慣のようになっているのを残念に思う。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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まともな国まともなマスコミ (ろろ)
2007-02-18 19:11:48
  一番の違いは、ここですよね。

>もう一人の記者は、
>「中国でのビジネスには多くの問題が存在
>している。例えば、行政幹部と実業家の結託など
>の問題。当局の幹部とのコネがなければ、
>ビジネス展開するのが非常に難しい。このような
>状況について、カナダ政府はどう対応しているのか」
>と質問した。

  マスコミは本音では支那のひどさをわかっているのかもしれませんが、建前で記事を書かれると、子供や普通の人が騙されてしまいます。
返信する
ハーパー首相の価値観 (茶路主)
2007-02-20 00:16:34
ろろ様

コメントを有難うございます。
ハーパー首相は、金銭よりも守るべきものがあるとの決意なのでしょう。外交とビジネスは峻別しなければならない時があると感じます。
日本のATM外交は、そろそろ終りにすべきでしょう。
日本のマスコミのお粗末さは、お説の通りと思います。
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