佐藤愛子さんのエッセイ本「老残のたしなみ」を読んだ。
Edより18年先輩だから、第一次世界大戦後の激動の時代に生まれ育ち、青
春時代は太平洋戦争真っただ中という、大日本帝国時代の流れをモロニ受け
てこられた方なので、鍛えられあげた強靭な精神の持ち主なのであろう。
加えて、頑固で清廉潔白な父型の祖父の血を色濃く受け継いでいらっしゃるそ
うだから、思ったことは歯に衣着せず面と向かって相手に言う。
なので、ウッカリしたことなど云おうものなら、厳しく追及されてタジタジとなる。
太平洋戦争後の貧窮生活はEdも子供の頃たっぷり味わってきたから、仰るこ
とのかなりの部分は理解できるし納得できる。・・・が、自分も耳が痛い。
例えば最近日本人は”我慢する”とか”耐える”ということが出来なくなった、と。
チョッとしたことで、直ぐ医者にかかり薬に頼り、本来人間に備わっている”自然
治癒力”というものを忘れている。風邪を引いたくらいで一々医者にかかるな!
・・・ということなのだ。
また最近の行き過ぎた衛生観、潔癖感は病的に思える、とも。あまりにも神経
質になりすぎていて子供たちは無菌状態になり、却って耐性が無くなって病気
に罹り易い。少しくらい不衛生でも気にするな!もっとバイ菌に慣れさせろ!
自分の夢に向かって突っ走る”男”がいなくなり、持っている”夢”というのが一
流大学を出て一流企業に就職し、結婚して家を持ち、平和な家庭を・・・といっ
た情けないようなものばかり!大志を抱かない!
政治家も企業も個人も、すべて金・利益追及に翻弄され、人の心などは何処か
に置き去りにされている。人間社会であるのに経済だけが全てになってしまっ
た。日本はいずれ滅びる!
人々は物事を深く考えることをしなくなった。昔の日本人は沈思黙考する余裕
を持ったけれど、今は思い付きで勝手なことばかりいう輩が多すぎる。日本人
はつくづく駄目になった・・・と。
昔の日本人のことは本でしか知りえないけれど、同感である。
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