テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

読む&見る、記憶の建築。

2016-06-06 22:08:46 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じょこおにいさんがァ、やりましたァでス!」
「がるる!ぐるるるがるーる!」(←訳:虎です!グランドスラーム!)

 こんにちは、ネーさです。
 ノヴァク・ジョコビッチさんが悲願達成!
 ローランギャロス12回目の挑戦にして
 偉業を成し遂げたジョコさんに拍手を送りながら、
 さあ、読書タイムとまいりましょうか。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



         ―― 図説 長崎の教会堂 ――



 著者は、木方十根(きかた・じゅんね)さん、山田由香里(やまだ・ゆかり)さん、
 2016年2月に発行されました。
 『風景の中の建築』と副題が付されています。

 前回記事では、突如写真誌に変身しちゃった?女性誌を
 ご紹介しましたけれど、
 こちらは、写真を大黒柱に、
 文章もぐっと読ませてくれる作品ですよ。

「ねらッているのでスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:世界遺産を!)

 先頃、上野の国立西洋美術館を含む
 ル・コルビュジェさんの建築作品群が
 世界遺産に登録される見込み、とニュースになりましたけれど、
 こちらの、長崎の教会堂も
 《長崎の教会堂とキリスト教関連遺産》として
 いずれは世界遺産候補に立候補をすべく
 準備中のようですね。

「ふァいッ! そうしたくゥなるのもォ、わきゃりィまス!」
「がるぐるるがるるるぅ!」(←訳:この建築は残さなきゃ!)

 長崎の、地理・風景・集落に、
 溶け込むように建つ教会たち。

 御本の表紙になっている写真は、
 長崎県佐世保市黒島の
 黒島天主堂を撮影したものです。

 この一枚をとっくりと眺めれば、
 こみ上げてくるのは、
 残さねば!という思いです。

 赤レンガの外観、
 ステンドグラスと祭壇、
 バランスの取れた列柱アーケード……
 完成したのは1902年でしたから、
 もう百年以上もこの土地にある、ということですね。

 災害の多いこの日本で、
 百年を超えてなお完成時の姿を失っていない建築って、
 いったいどれほど存在するものだろうかと
 考えると。

「きちょうゥ、でス!」
「ぐるるがるる!」(←訳:大事にしたい!)

 この御本では、長崎大司教区内の
 教会堂、天主堂の写真、
 建築に関する資料図版と
 長崎の教会に信仰の基を置いた人々と土地の歴史もが
 解説されています。

 江戸時代から明治の初期まで、
 かの地でキリシタン弾圧が行われたことは
 遠藤周作さんの小説作品などで
 活字マニアの皆さまは
 よく御存知の通り、ですが。

 1889年(明治22年)、
 信仰の自由が憲法に明記されて以後、
 キリシタンがどうなったのかが
 本文の各章で取り上げられています。
 
 当時のバチカンが主導するキリスト教に
 すんなり馴染んだ人びと、
 馴染むことをよしとしなかった人びとも、
 そこにはいたのだ、と。

「おもいもォよらぬゥ、れきしのォてんかいィ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:人の世の不思議!)

 表紙を一瞥した印象は、写真集。

 ですが、その内側は
 ずしりと重い歴史ノンフィクションです。

 幾つもの教会堂を立てた宮大工さん、
 教会の建築に奔走した神父さんたち。
 読み応えのある一冊は、
 近代史好きな方々におすすめです。
 ぜひ、一読してみてくださいね~!

 
コメント
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