テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 弦が結ぶミステリアスストーリー ~

2009-12-15 23:14:34 | ブックス
「あッ! みてみてェ、ネーさッ!
 きゃッこいィ~おくるまでスよゥ!」

 あら~、テディちゃ、あれはポルシェの4WDだわね。
 ドイツアルプスを走りぬくために造られたお車なのでしょうか、
 なんてカッコよくて、なんて信号だらけの日本の道路に似合わないのかしら。

「ふァ~、みえなくなッちゃッたでスゥ……」

 華麗な高級車を見送った後は、さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらを、どうぞ~!


 
                 ―― 赤い竪琴 ――


 
 著者は津原泰水さん、’09年9月に発行されました。
 カヴァーには、『静謐な恋愛譚』との紹介がされておりますが――

「むぱッ??
 それはァおかしィでスゥ?
 このごほんはァ、すいりィぶんこォでスよッ?」

 ええ、そうなのですよね。
 こちらの御本、創元推理文庫さんからの発行です。
 推理文庫なのに、恋愛小説?
 へんじゃな~い?とお思いでしょうけれど、
 これは、《謎めいた》という形容がとても相応しい物語でもあるのです。

 グラフィックデザイナーをしている
 入栄暁子(さとるこ)さん、
 古いノートを手に困惑しています。
 暁子さんのお祖母さまの遺品の一つであるそのノートは、
 昭和の初期に短いながら注目を浴びて後、
 夭折した詩人・寒川玄児のものでした。
 
 詩人さんとお祖母さまに、何のつながりが?
 首を傾げつつも、暁子さんは寒川さんの遺族を探します。
 ようやっと手掛かりを得て赴いた先は、
 とある料理店でした。
 
「おりょうりやさんッ??
 れすとらんでスかァ?」

 ここで待てば、
 お店の人に尋ねれば、
 常連だという詩人さんの遺族さんに逢える……
 
 やがて、暁子さんの《待ち人》はやって来ました。
 この瞬間から、
 恋であるような、また恋とは別のものであるような、
 不思議な時間が暁子さんの心をとらえたのでした……。

「ふむふむッ、
 ひゃくにんいればァ、ひゃくにんそれぞれのォ、れんあいがッ♪」

 お祖母さまの遺品のノートに描かれる
 昔日の想いと、
 暁子さんが抱える
 現代の想い――
 呼応するふたつの想念が奏でる音楽は、
 いくつもの《謎》とどのように響きあうのでしょう?

 派手派手な大恋愛ストーリーとはちょっと違っているかもしれませんが、
 涼やかで印象深い、
 こころ揺さぶる《恋》のものがたりです。
 普段はあんまり恋愛ものは読まないんだけど~という御方、
 それにミステリ好きさんにも、おすすめですよ!

「くりすますしーずんにィ、ぜひィ!でスねッ♪」

 赤い竪琴ってなんのこと?と思った音楽好きさんも、ぜひ!
       
  
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