テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

お江戸のゴーストストーリー本。

2007-09-11 13:36:49 | ブックス
「いやでスゥ、ネーさ、こわいおはなし、いやでスよゥ!」

 そんなに怖がらなくても、テディちゃ。
 ミステリーの御紹介が続きましたからね、
 本日はちょいと気分を変えて、こちらはどうかしら、と。


      ―― 図説 江戸東京怪異百物語 ――


 著者は湯元豪一さん、’07年7月刊行の新刊です。
 浮世絵や絵入新聞が多数掲載されていて、
 怪異を眼でも愉しめる御本になっていますね。

「たのしくないでス! こわいでスよッ」

 そぉお?
 この表紙の黒い怪物くん、なかなかヘンテコで良いじゃない?
 本文の第十話に説明がされていますが、それによると
 ――ビロードの化物。

 時代は江戸の或る頃、時は四月。
 番町近辺の某お屋敷にて、騒ぎが起きました。
 奉公している女中さんが
 夜中に厠(かわや)へ行こうとしたところ、異変が!

 何とも分からぬ真っ黒なものがやって来るのと同時に、
 頭に衝撃を受け、昏倒してしまったのです。

 物音を聞きつけて人が集まり、
 介抱された女中さんは失神から覚めます。
 駆けつけた人々と、ようやく正気に戻った彼女が目にしたのは、

 『……その髻(もとどり)は落ちて
  二~三間ばかり離れたところにあり、
  そこにビロードのように真っ黒な化物がいた』と。

「うぎェッ」

 失礼ながら本文より引用させていただきました。
 どうぞご容赦下さいませ。
 
 よく考えると、けっこう怖いわね。
 絵解きやオチが記されていないところが、いっそう怖い、かも。
 元来《百物語》は、
 何処で誰が体験した事柄なのか、
 ちゃんと記載されていたそうです。
 フィクションではなく、
 ノンフィクションとして捉えられていたのでしょう。

 他に、河童や雷獣の御話もありますが、
 なんだいそんなの、と笑い飛ばしてしまうのは……どうかな?

「ききたくないでスぅぅぅゥ~」

 あらあ?
 日本では怪談は夏のものとされていますけど、
 テディベアが生まれた欧米の文化では、
 怖い話の旬は冬、だそうじゃない?
 つまり、夏が終わったこれからが、怪談の季節。
 怖ろしい話を炉辺で聞かされ、
 震え上がった子どもたちは身を寄せ合って暖を取り、
 そうして夜の寒さをしのぐのだと、
 何かの御本で読みました。

 それを考え合わせてみれば
 『クリスマス・キャロル』でしたっけ、
 守銭奴スクルージのあの物語も、
 どうやらもっと不穏な裏があるのかもしれません。
 単なる人情噺ではないんだわ。
 ねえ、テディちゃ?

「きこえませン、なにもきこえない、のでスゥ~」

 怖がりさんにも、
 怖がりさんでない人にも、
 ぜひ!の怪談研究書、でした。

 
 

 
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