テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

どうぶつ本をさがせ!の巻・3

2007-05-13 22:49:17 | ブックス
 しつこく続けましょう、動物の出てくるお話を求め、幾千里。

「ネーさ、これはまえにやったでスよ」

 昨日ご紹介しましたね、
 景山民夫さんのトラブルバスターシリーズ、
 これはその第4作目に当たる長編なのです。


         ―― 九月の雨 ――


 関東テレビの宇賀神邦彦を主人公とした一連の
 《トラブルバスター》ものは、この4作目で、はっきり
 正統派ハードボイルドへシフトします。
 1作目・2作目の短編集、3作目の「国境の南」でも
 その気配は漂っていましたが、
 ここでは誰の目にも歴然と変化は明らかです。
 チャンドラーの、それも〈長いお別れ〉の登場人物たちと
 非常に近しいものが感じられました。

 日本にはホントのハードボイルドって少ない……いや、
 殆ど無い、と思っている私ですが、この「九月の雨」は
 本物のハードボイルドなのではないか、
 景山氏は真にハードボイルドが書けた作家さんだったのだと
 考えているのです。

 チャンドラー作品の底流には英古典の詩や文学が、
 そして今作品ではエラ・フィッツジェラルドの歌が、
 美しく響いて溜息を誘います。

 悲しい物語を救うのは、コーギー犬のチャールズと、
 チャールズの天敵・類人猿?の田所局長。
 贅沢を言えば、チャールズと田所局長が共存するには、
 一冊では短過ぎました。
 次作では、彼らはきっと、いやそれとも……。
 ああ続編が読みたい。
 しみじみ思ってしまうのです。

「クマもだしてくれたらよかったのに、でスね、ネーさ」

 クマでもアナコンダでもトガリネズミでも、
 景山さんにどんどん書いて欲しかったです。
 
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