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Brugge Style
湖上の教会
夏休みに入った翌日から大陸欧州を演奏旅行に参加中の娘、
この日はオフで、スロベニアのBledにいた。
湖上にある島の小さな教会が美しい村だ。
この旅行日程を見たとき、わたしは足をバタバタさせて喜んだ。
わたしはこの小さな村を30年近く前に訪れていて、
当時はここはユーゴスラビアだった。
ハンガリーからチェコスロバキア(ここももうない国)に車で向かう途中、
同伴者がどうしても見せたいところがあるというので立ち寄ったのだった。
ドラマティックな訪問になるはずが、
船上でドイツからのご老人団体さん御一行と一緒になり、
てんやわんやのドタバタボート・トリップだった。
あれからあの同伴者とは2度と会わずにいる。
英国で植物学者になったと聞いてはいる。
写真を見ていると、遠い日がありありと思い出される。
この写真は娘の見たもので、わたしのではないのに。
いつか終わる盛りのものというのは常に美しく、
完全に過ぎ去っても思い出すだけで切なくさせる。
「夏」というのは思うだけで切なくなる、その代表的なものですな。
あ、日本語にはいい言葉があるのだ。
この感情は「『もののあはれ』を知ること」だ。
さっそくウィキペディアを見たら、和辻哲郎いわく
無常観的な哀愁の中には、
「永遠の根源的な思慕」あるいは「絶対者への依属の感情」が
本質的に含まれているとも解釈している
とある。おお、それだよ、それ!
湖上の教会といえばモンテネグロのPerastにある、
石の聖母教会もすてきだった。
あの日も暑い夏の日だった。
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balenciaga
内部が暗く、ほとんどどの写真も上手く撮れておらず、残念。
ヴィクトリア・アルバート博物館で開催されているバレンシアガの回顧展へ行ってきた。
もちろんうれしがりゆえバレンシアガを着て!
すごーく昔のだけど...
そうしたら、うっとりするほどハンサムでおしゃれな男性に(多分業界の人)「あなたのドレス、素敵ですね」と声をかけられ、それが今日のクライマックス。
もうバレンシアガの歴史なんぞどうでもよくなってしまった。
レポートおわり。
いやいや。
デザイナーの回顧展といえば、最近ではアレクサンダー・マックイーンのが大成功したことが記憶に新しい。
あれを超えるデザイナー回顧展は、規模の点でも、充実面でも、感傷的な度合いでも、なかなかないだろうとは思う。
バレンシアガは、98年に在りし日のグッチ・グループが買収して一斉を風靡したあのバッグなどで盛り返すまでは、長く忘れられていたデザイナーだった。
忘れられていた理由は、バレンシアガ自身がオートクチュールにこだわったこと、ライセンス製品のせいで名前の価値が暴落したことではないかと思う。
バレンシアガ自身はライセンスものの服や帽子に正確度を求めたらしいが、例えばあのデザイナーの名前入りのバスタオルやコーヒーカップ、あの安物くささといったらない。
また、時代が変わり、ライセンスものであっても「頭の先からつま先までの一揃え」(帽子とドレスと共布のコート、共布の靴など)を着る層が減ったからだろう。
わたしが子供の頃、女性はオーダーメイドの服(か、自作の服)を着ているのが普通で、あれらはディオールのコピーだと思っていたが、「バレンシアガ」のコピーが多かったのかも!
展示物には、今見ても、いや、今見るからこそ、すぐにでも着たいドレスがたくさんある。
特にブラック・ドレス。
バレンシアガ活躍した60年くらいまでの人々は、2017年の女がこのように思うと想像できただろうか。
2017年に人はどんな服装をしていると思うかと人々に質問したら、多くが「宇宙服」と答えたんじゃなかろうか。
そこでクレージュですよ。クレージュ、今調べたら、バレンシアガで10年働いていたそうです!
単に綺麗なドレスが展示してあるだけでなく、レントゲン撮影を通したパターンの解析があったのは最高におもしろかった。
それを見学した後、バレンシアガについて語る現代のデザイナー(どなただったかは失念してしまった)が、「バレンシアガは(布の)グロテスクさを熟知していた」と表現していたのは上手いことを言うなと感心した。
もうひとつよかったのは2008年に撮影されたドキュメンタリーの一部。
バレンシアガでカッター(採寸から仮縫い、本縫いまで一連の作業を担当する人)をしていた男性が、1954年の女性用スーツを、バレンシアガの顧客であり友人であったスペインの公爵夫人の娘(かなりお年)のために作成する様子。
その作業は職業とか技能というよりは、まるで魂の浄化に関連する、なんと言えばいいだろうか、神に奉納される武術の儀礼であるかのように見え、なぜか懐かしいような、ものすごく尊いような、そんな気にさせられた。
クリスチャン・ディオール御大はバレンシアガについてはこう言ったそうだ。
「オートクチュール界は、バレンシアガが指揮者のオーケストラのようなものだ。われわれデザイナーはミュージシャンで、バレンシアガの指示に従っている」と。
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金婚式
今月、ブルージュの義理の両親がめでたく金婚式を迎えた。
上は去年の今頃の写真で、49回目の結婚記念日を祝うためにブルージュ滞在中だったのだ。
でも今年は...
わたしが英国ビザ申請中で(<いいかげん、しつこいですね)、少なくとも来月末までは
この呪わしきブリクジット島から出られないのだ。
夫と娘は2人だけで驚かせに行こうかと言っていたが、
今年はまだ学校があるのをすっかり忘れていてこの案も流れ、
当日は旅行券と懇意の花屋から大きな花束を贈るだけになってしまったのが本当に残念。
実は親戚友人一同を招待してブルージュでサプライズパーティーを開くつもりで、
ちょうど一年前から計画進行中だったのだ。
義理の父の一番下の妹夫妻に現地ブルージュでのコーディネイトをお願いし
(彼らはボーイスカウト・メンタリティとあだ名されていて清く正しく行動力がある)
食事のメニューで夫とわたしはもめ(着席かバーベキューかアフタヌーンティーかとか)
某ホテルのマネージャーを巻き込み、
会場選び、ケータリング選び、室内楽グループ手配などし
おしゃべりの義理母の妹たちが当日まで秘密を守っていられるのかとか(あるある)
家族内のミュージシャン(フルート、クラリネット、バイオリン、ビオラ、チェロ、娘ピアノ)も
何かひとつずつ演奏すること!
わたしは義理父の大好きなツェランの詩を朗読したい!
義理の両親ファンの日本の友達家族は「行けるかも!」とさえ言ってくれ
めちゃくちゃノリノリだったにもかかわらず、ですよ。
確実にパスポートが戻ってきている9月以降に何かできないか目下思案中。
何かびっくりするようないい案ありませんかね!?
サプライズ・パーティー、記念日当日執行じゃなくてもいいかな...
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royal society
ロンドンのロイヤル・ソサエティの展覧会に行ってきた。
えー、まだわたしワクワクが収まらないので、今日も話、長いです(笑)
「ロイヤル・ソサイエティ(Royal Society)は、現存する最も古い科学学会」。
「正式名称は"The President, Council, and Fellows of the Royal Society of London for Improving Natural Knowledge"(自然知識を促進するためのロンドン王立協会)」で、
「イギリスの事実上の学士院(アカデミー)としてイギリスにおける科学者の団体の頂点」(ウィキペディアより)。
ニュートンも、わたしが昔から大ファンのリース博士(<見た目が超好み)もメンバーだ。
一般に向けて開催される展覧会は、毎年、娘が(親も)ものすごく楽しみにしているイベントなのである。
今年も全ブースを回った。英国の大学の科学系の学生や教授、企業の研究員が、研究中のサブジェクトについて惜しげもなく教えてくれるのだ。英国は何かと啓蒙に熱心なのだ。
中には企業秘密あり、2週間前に学術誌に出たばかりの研究あり、企業に売り込みを開始したばかりの発明あり。
対象は子供から大人まで、ナショナル・ジオグラフィックレベルの話が好きなら老若男女、誰でも目が輝く。
たいてい一対一で話をしてくれ、突っ込んだ質問をしてもその道の最先端をいくプロが熱心に親切に説明してくれる夢のようなイベント!
スーパー・ノヴァをラボで作成する話から、ブラック・マターと観測の話、現在発掘進行中のスイスの恐竜の足跡の化石、サンゴ礁保存とその利用、最先端の不思議なマテリアル、DNAを立体的に見るためのバーチャル・リアリティまで。
激混みだったため、ほとんど写真がないのが残念...
科学者の方々の、研究が楽しくてたまらない様子がダイレクトに伝わって来、いつまでも話を聞いていられる。
娘にも「自分が大好きゆえに熱く語れる」、ぜひそういう仕事についてほしいと心から思った。
娘が目当てだった素粒子物理学のブライアン・コックス博士はおられなかったが、ロンドン大の物理の教授(たまたますごく有名な方でわたしでさえそのお名前を存じ上げていた)にチュートリアルを受け、おまけに大学の選択にまで相談に乗ってもらい、その薫陶に、わたしがこの先生についていきたい! とデレデレ。目はハート形に。
母親が馬鹿で娘に申し訳ないわあ。
いや、でもほんっとうにうっとりするくらいすてきな先生だったんですよ!
レクチャーはひとつだけ「大失敗から生まれるブレイクスルー」というのをとった。
物理天文学者の先生が、ロイヤル・ソサエティのモットー、ホラティウスの"Nullius in verba"(「言葉によらず」)をあげ、「権威者の伝聞に基づいて(法廷で)証言しない」、つまり、権威に頼らず証拠(実験・観測)によって事実を確定していく近代自然科学の客観的態度を強調されたのが強く印象に残った。
ポパーで夏休みの宿題エッセイを書くつもりの娘にも大きなヒントになったと思う。
ロンドンは蒸し暑いほどの好天で、午前中はマラソン開催でザ・モルが歩行者天国状態になっており、ほんとうに楽しく素敵な1日になった。
これだからロンドンは嫌いになれない。
ロンドン万歳。
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ウェールズへ
木曜日の夜からウェールズへ遊びに来ている。
わたしと娘は初めてだ。
イングランドにあるわが家からは、ウェールズの首都カーディフまで車で3時間かかった。
ウェールズは
「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する
4つの「国(イギリスのカントリー)」(country)のひとつ」(ウィキペディアより)
日本人のわたしには正確にイメージするのが難しいのだが、
イギリス住まいからしたら「外」国...
なんせ固有の言語があり(ケルト系のウェールズ語)、
下の写真の道路標識はそうでもないが、わたしの印象では
母音が極端に少ないような気がする。
だから、発音はちょっと想像がつかない。
発音に関しては夫や娘も絶句していたので、
欧州言語を複数話せる人たちにとっても
「大体こんな感じ?」とカンで読めたりはできないようだ。
一時期、ウェールズ語話者は極端に減ったらしい。
しかし最近は安定しており、特に北部のウェールズ人は英語とのバイリンガルが多いそう。
基本的に国中すべて二ヶ国語表示。
ウェールズ語、神秘的。ものすごく古そうでかっこいい。
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