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don quixote 2019, vadim muntagirov








今シーズンのロイヤル・バレエ『ドン・キホーテ』はまだあと3回ほど残っているが、わたしは昨夜(もう一昨日になってしまった)が見納めだった。

今シーズンは5回(リハーサルを入れたら6回)見た。できればもっと見たかったくらいだ。
なんせ、キトリ役はMarianela NunezとNatalia Osipova 、パートナーのバジリオ役はVadim Muntagirovしか見なかったので、それが心残りだ。
高田茜さんのキトリ、見たかった!

昨夜(一昨日)も会場が割れんばかりに盛り上がった。あまりに盛り上がるので会場の上の方から人が落ちてくるのではないかと思うほど。
わたしもナタリアが舞台に登場したらもうそれで胸がいっぱい幸せでいっぱいでおんおんと泣きたいくらい...
彼女がすばらしいのは、超絶技巧や個性的な解釈と表現力、あるいは即興能力だけではなく、踊りの楽しさと幸福感を観客に伝えるプレゼンテーションとコミュニケーション能力ゆえか。

もちろんミンクスのすばらしき音楽のせいもある。
世の中やひとりひとりの人生にどんなことが起ころうとも、舞台では常に素晴らしい太陽が輝いているのだ!


ところで今シーズンは、姿の美しいモンタギロフが貧乏な床屋には見えない、変装した王子様にしか見えないとクリティックを含め、いろいろなところで言われていた(わたしもそう思った)。
しかしそれがマイナスだと意見している人はわたしの知る限りではゼロで、誰もデレデレと「見えないよね?!」と喜んでいるかのようだった(わたしもそう思った)。

彼の恋人キトリはもちろん、誰が彼のことを愛せずにいられるの? という説得力。すばらしい。

また、彼を見ていると、女性をリフトしたり、バロンの静けさの元になる「力」「強さ」というのは、筋肉の隆々さではなく、体躯の重心の場所の確かさにあるのではないかと思う。

わたしも実はこれを機会にちょっとファンになってしまったかも。

次は『ロミオとジュリエット』のロミオ役が楽しみなのである。


......


ロイヤル・オペラハウス周辺でフットボールのサポーター兼ジレ・ジョーヌ・兼ブリクジッド賛成派が酔っ払って大騒ぎ、警察車両が多数出動し、大変な騒ぎだった。公演が終わって騒ぎのあった道を通るとプラスティックのカップやビールの空き瓶空き缶、紙ナプキンなどのゴミが文字通り山積みになっており、その阿鼻叫喚に唖然とした。ブリクジッドの行方、欧州の落日、最近興味深い本を読んだ。ダグラス・マレー『西洋の自死』
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