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家出




こんなことを書くのは恥ずかしいことなのかもしれないが、子育ての一里塚として記しておこう。


先日、10歳になったばかりの娘が家出したのだ。
笑ってはいけない(笑)。


昼食中のマナーに関してわたしが彼女を叱り、その後やりとりがあったのち

「じゃあもう出て行くわね!」

と、彼女が啖呵を切ったので、

「ええどうぞ。さようなら。」

と返事をしてしまったのだ。


誕生してから10年間、徒歩2分の先にある音楽学校にすらも1人で行ったことのない娘が、単独で外出するとは露ほども考えなかった。
ちなみにベルギーには13歳以下の子どもを(保護者なしで)1人にしてはいけないという法律がある。が、実際は9歳くらいになると1人で登下校する子もブルージュの旧市街内では多い。これは街の雰囲気と親の都合、判断によると思う。


わたしは西洋かぼちゃを冷凍保存することに続けて精を出していた。ええ、大好物なんです。


5分ほどしてあまりの静けさにまさかと心配になり、家中を見て回ったら、娘の姿は冬の日の太陽のように消えていた。
大変だ。おそらく歩いて10分ほどの、マルクト広場を挟んで反対側にある祖父母の家にでも行ったのだろう。しかし彼らは今日は朝からブラッセルに出かけていて不在なのだ...もしオオカミがおばあちゃんの格好をしてベッドに寝ていたらどうする?!

わたしは車で飛ぶように義理両親の家へ向かった。

幸い晴天で、街は光と観光客で溢れていた。


もし、義理両親の家の前にいなかったら...警察に電話するべきか?それとも先に近所の公園を見に行くべきか?一方通行の多いブルージュの街がうらめしい。
子どもを1人にしてはいけないという倫理は理解できるが、公共の場で1人になった経験のない子どもほど脆弱な生き物が他にあるだろうか?1人で行動させる経験も、いざという時のために積んでおくべきではないのか?ええい、そんなことは後で考えよう!


果たして、祖父母の玄関前の石段に座り込んでいる娘が目に入った。
この後どうするつもりだったのだろう。


出張中の夫に電話して、やさしく諭してもらった。
そりゃわたくしも反省しとります。



幼児の頃は意思の疎通が不可能に思えて、子どもとはなんと難しい生き物かと頭を抱えたものだ(まあ彼女は一日18時間以上寝ている赤ん坊だったが・笑)。
4歳くらいになって社会化が進み、格段に楽になった。
一番良かったのはしっかり自分のことができてお勉強もする必要はない、年長さん(6歳)の頃であったろうか。

こんな風に書くと絶対友だちから「Moetとこのお嬢ちゃんみたいに楽な子はいないよ!」と言われるねんけど...


現在、娘は大変忙しい日課を送っている。就寝時間までに彼女を寝床に入れるために、わたしは最近「早く!」「注意しなさい!」の二種類の単語しか発していないような気がする。誉める時間すらもない。これではいけませんな。

とにかく親としてはいつまでも同じやり方で接していてはいけない(子どもをなめてはいけない)ということがよく分かった。



わたしってどうしてこう、いつも、何をしても、違和感と言うか、場違い感と言うか、ミスキャスト的な気持ちに悩まされるのだろう...わたしにあるのはサバイバル能力だけですよ、全く。



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