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モノカタログ




近頃、「○○のショッピング・ガイド」とか「お気に入り100」「一生使いたいものリスト」「買い物勝負」などというタイトルの本をよく見かける。ような気がする。わたしの意識がそちらへ行っているからか。

特定の分野で名を馳せた人物が、自分のお気に入りの道具や装飾品などを紹介しつつエッセイをつけた本。別名カタログ本の類いである。

このところ日本の雑誌を見る機会が全然ないので、最近の日本ではどういうモノが「いい」と言われているのか好奇心がむくむくと湧き、早速何冊かネットで買ってみた。


...



ほんとうにいいものが普遍的で、そうそう数もない、などということは承知の上だが、これらカタログ本にリストアップされているモノの共通性には驚いた。

鍋ならルクルーゼ。
グラスはバカラ。
時計はカルチェ、ランク・ミュラー。
バッグや手帳等の革製品はエルメス。
ルーム・キャンドルはディプティック。
ジーンスはリーバイス
筆記用具はモンブラン
などなど。

わたしもHP上に「偏愛」を書いているしあまり大きな声で批判はできぬが、特定の分野で活躍しているひとのセレクションがこんなにもひねりのない「王道」ものばかりとは。

上記のブランドのモノが価値があるものだということなぞ、わたしですら知っている。

他になにかひねった逸品はないのか知りたくて「達人が使っていらっしゃるものには、シロウトなぞが未知のブランドが、モノが、あるにちがいない」と期待してカタログ本を買ったのに「靴はやっぱりマノロ」などと書いてあると「そんなんわたしでも思いつくやんか!」と突っ込みたくなる。

ここで疑問が。
もしかしたらこのセレクションは、カタログ文化の中に生きている日本人読者にあわせて期待を裏切らない選択がしてあるのか(でないと売れないとか)?

まあとにかく、ちょっと損した気持ちになったお買い物であった。

その中で傑出していたのは津田晴美さんのカタログ本くらい(はじめて読んだ、この方のご著書)。それでも軽い読み物に変わりはなく(当たり前か)、エッセイが心に響くとか、残るとか、そういう印象はなし。カタログ本には過剰な期待は禁物なのか。


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