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映画・いつまた君と・何日君再来

2023-03-25 06:36:23 | 映画
映画『いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』予告編


ネットであれこれ見ていたら、この映画に辿り着きました。
「いつまた、君と~何日君再来」2017年作



主演を演じている祖父役の俳優、向井理(つとむ)が、
祖母の、芦村朋子の手記を映画化した作品です。

向井の祖母、芦村朋子はある日、脳梗塞で倒れてしまいました。
彼女は慣れないパソコンに向かい、亡くなった夫、吾郎との思い出を、
手記として記録していた文章をパソコンに打ち込んでいたのです。
祖母の変わりに孫の理が手記をまとめていきました。

そこには理の知る事のなかった戦中、戦後の困難な時代を生きてきた、
祖父・吾郎と祖母・朋子の波乱の歴史と、深い絆で結ばれた50年に及ぶ、
夫婦と家族の愛の物語があったのでした。
向井理はこの作品を映画化したいと思い、7年間も暖めていたそうです。

祖母の朋子達は、私の母と同年代と思われます。
昭和15年に嫁いだのですから、
私の母(大正5年生まれ)は、その時24歳。
朋子はきっと20歳くらいだったと思われます。

仕事の都合で、中国・南京に赴任すると吾郎から聞かされた朋子は、
その場で「私も行きます。一緒に連れてって」と言って吾郎をビックリさせます。
それは女から男への事実上のプロポーズだったのです。
彼女の強烈なプロポーズ、それは吾郎への一目惚れ、
朋子の夫への愛は、生涯変わる事なく、それがこの映画の最も素晴らしいところでした。

日本の敗戦により、彼等は中国からの引揚者となります。
それは、私の母と同じですが、
親たちの当てがった夫と、恋も愛も知らずに、半ば強制的な結婚をし、
敗戦により、まるで腑抜けになってしまった軍人魂の塊だった夫とも間もなく死別した、
我が母とはまるで違った夫婦の人生でした。



祖母であり、吾郎の妻であった朋子を演じるのは尾野真千子。
私はこの女優さんをまるで知りませんでしたが、
妻は「ずっと前にNHKのドラマで主人公をやっていた」と言ってました。

この女優さんはいいですね~。
何がいいって・・目の力(ちから)目じからがいい。
憂いを帯びつつ、毅然として何かを訴えてくる瞳に説得力があるのです。
自分は真実を言ってるんです、何もやましい事などありません、どうか判ってください。
そんな目で観る人を虜にしてしまうのかも知れません。



この映画を観て、思い出すのは、
ずっと昔に、築地で行われた「中国映画祭」で観た「駱駝の祥子(シャンヅ)」
善良で生真面目な男、シャンヅは貧しいながら人力車夫として一生懸命生きています。
しかし、やる事なす事うまくいかず、貧しいままの人生を送るのです。

「いつまた君と・・」も、
善良で必死の時代を必死で生きながら、いつまでも貧乏なままの己を嘆き、
「俺の人生はこんな筈じゃなかった」と悩み苦しむ吾郎の姿とダブるのです。
そんな吾郎を最後まで愛し、ひたすら夫と一緒の道を歩きたいと思う朋子。
一人の男を、一人の女を、最後の最後まで愛し互いをいたわり合う姿。
そこに感動します。
人として生まれたからには、オレもそういった人生でありたい。
離婚とかしてしまったからこそ、そういった最後までの愛が羨ましい。

尾野真千子、緊急事態宣言下での主演作公開に号泣 観客を前に涙の訴え「劇場で見てほしい」 映画『茜色に焼かれる』公開前夜最速上映会


この素晴らしく素敵な女優さん、尾野真千子の次回作。
「茜色に焼かれる」
この映画も観たくなりました。


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