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トルコ人はなぜ日本が大好きなのか ➀

2024-07-28 12:59:57 | 事件・事故




トルコは、ヨーロッパとアジアとの境目にあります。
トルコの南側には地中海があり、北側には黒海があります。
最も西側(左)には有名な都市、イスタンブールがあり、
イスタンブールは西洋とアジアとの境目と言われたりします。



国土面積は77,5万㎢で、日本の37,8万㎢のほぼ2倍の大きさです。
人口は8500万人で、日本の約70%です。
公用語はトルコ語。宗教はほぼイスラム教。
平均寿命は日本人より10歳くらい低くなっています。
最も人口の多い都市はイスタンブール(約1500万人)で、
それは首都アンカラの3倍近くになっています。
日本との時差は7時間。

さて、それほど遠いトルコが何故、日本が大好きなのでしょうか?
日本から近い朝鮮、中国などからはそれほど好かれていないのにです。
それより、トルコ人が日本が大好きだったなんて、
知らなかった、初耳だという人の方が多いんだと思います。

それは、1890年(明治23年)9月16日、夜10時半頃、
和歌山県、紀伊半島の南端でトルコの軍艦が岩礁地帯に激突した、
難破事件がその始まりでした。





軍艦の名は、エルトゥールル号、トルコ海軍正規の巡洋艦で、
2344トン、全長75メートル。全幅15メートル。
3本マストの帆船ですが、600馬力のエンジンを備えており、時速18キロを出せました。
兵装には15センチ砲8門。8センチ砲5門を備えていました。
ただ、艦齢は39年という老朽艦で、日本までの長距離航行に多少の懸念はありましたが、
トルコ海軍の事情で、これ以外の最適な軍艦の選択はできなかったのです。

そもそもトルコ海軍が何故、日本に来る事になったのでしょう?
当時のオスマントルコ(オスマン帝国の実権国)は、
長く続いた隆盛の時期から後退を始め、ロシア、イギリス、バルカン諸国との中で、
劣勢を強いられていたのです。
この不利な情勢の中、世界に向けて国家の威信の喧伝(けんでん)に懸命の努力をしていたのです。
その一貫としてまだ国交のない日本に親善使節を送り、
国交樹立の準備を図ろうとしたのです。





この派遣艦の司令官は、オスマン・ベイ海軍大佐。
艦長はアル・ベイ海軍中佐でした。
乗組員の総数は609名。

エルトゥールル号は1889年7月14日にイスタンブールを出港。
スエズ運河を通りシンガポールに到着したのは11月16日。
実に4か月の時間を要したのは、スエズ運河を通過中に座礁事故を起こし、
その修理に2か月を要した為です。
その後、南シナ海の天候の安定を待つ為にシンガポールに長期滞在し、
長崎に到着したのは翌1890年5月22日で、
最終目的地の横浜に到着したのは6月7日。
トルコから実に10ヵ月という大航海でした。
これは事故の修理や天候待ちに7か月を要した事もありますが、
乗組員が長距離の大航海の経験に乏しく、
エルトゥールル号の老朽化による安全性の配慮が原因と思われます。

横浜から司令官、艦長といった主だった幹部は、
皇居に向かい、明治天皇に謁見したのです。
そしてトルコ側から明治天皇に、明治天皇からはトルコ側に、
お互いに国書や勲章といった物が交換され、任務は全て終了したのです。

エルトゥールル号は3か月間横浜に停泊し、
日本とトルコとの様々な親善行事に参加した後、
9月14日にトルコへの帰途につきました。

エルトゥールル号は横浜から紀伊半島を廻り神戸に行く予定でした。
しかし、横浜を出港した時、日本には台風が接近していたのです。
当時、日本には台風を事前に察知し、その後の状況を観測する体制は存在せず、
エルトゥールル号が横浜を出港した時に、この嵐は全く予知されていませんでした。



昼過ぎから風雨は強くなり嵐の兆しが見え始めていました。
紀伊半島に近づいていましたが、その頃には完全に暴風雨になっていました。







夜になって横転を防ぐ為にアル艦長は全ての帆をたたみ、
エンジンだけで走っていましたが、船体は激しい強風と波浪に翻弄されていました。
その中でアル艦長は樫野灯台の光を発見し、
それを基準に艦を進めていましたが、艦はいつの間にか灯台の方に押し流されていたのです。





夜9時過ぎ、最も危険な岩場地帯に流されたエルトゥールル号は、
甲羅岩礁に激突し、老朽化した木製の船体は大きく破壊され、沈没してしまったのです。

沈没後の話は ➁に続きます。



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