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松本清張の名作、映画「砂の器」を観ました。
フェイスブックで友人達が「砂の器」を巡ってやり取りしていたのを見て、
私も是非観たいと思いネットで買い寄せたものです。
私はもうかなり以前に本は読んでいます。
ストーリーの根本にあるのは、忌まわしい業病である、らい病(ハンセン病)であり、
東北弁と似た発音をする地方があって、それが山陰の出雲地方であり、
殆ど知られていない、そういった事から小説の発想を得るという、
松本清張という作家の才能に、驚かされたのを記憶しています。
DVDですが、映画を観たのは勿論、初めてです。
ネットで色々調べると、松本清張氏がこの映画を観て、
「この描き方は映画じゃないと出来ないね」と、
自分の書いた小説とは異なった部分にも賛同しています。
私が本を読んだのは、恐らく50年以上前なので、
ストーリーの細かい部分はもう忘れています。
ですから、今回初めて観た映画が、小説とかなり異なった描き方になっていても、
それがあたかも本来のストーリーであったかの様な感覚なのでした。
小説本来のストーリーはこの際考えない事にして、
「映画」として初めてこれを観ても、凄い感動を覚えました。
今でこそハンセン病(らい病)は完全に過去の病となりましたが、
その当時は不治の病、それは誰からも恐れられた恐るべき病であり、
それにかかったが最後、何もかも、人間性さえも奪われ、ののしられるという、
口にするのもはばかられる業病だったのです。
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そんな病に侵された父親(加藤嘉)は、故郷を捨て一人息子と二人でお遍路さんとなって、
生きる為に彷徨い続けるのですが、
遂に父親は動ける状態ではなくなり、心優しい人の助けによって、
らい病の隔離施設へ入る事になります。それは良いのですが、
それはつまり二人は離れ離れに(それはもう一生逢えない事)なるのです。
実の親子が離れ離れに引き裂かれるそのシーンは泣けました。
それから30年。
様々な紆余曲折があったのですが、息子(加藤剛)は新進気鋭の作曲家として、
今まさに大きく世の中のに羽ばたく所まで成長していたのでした。
その作曲家を一時、育ての親として甲斐甲斐しく面倒を見ていた仮の父親(緒形拳)は、
彼に逢って(まさか、まだ生きていたとは思ってもいなかった実の父親が、
病院で生きていたのを知り、息子に逢わせようと対面したのですが)
実の父親がらい病である事を知られたら、自分の輝ける未来は完全に無くなってしまう事を恐れ、
息子は、逢いに来た育ての親を殺してしまうのです。
まるで手がかりの無い殺人事件を追う刑事(丹波哲郎)は、
遂に犯人の手がかりをつかみ、断定します。
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父親に面会した刑事は、彼に30年後の息子の写真を見せ、
「この人を知っていますか?」と尋ねるのですが、
父親は写真を凝視し(30年後の息子の姿を初めて見た)、
突っ伏し号泣しながら「こんな人は知らね~、逢った事もね~」とはねつけるのでした。
それは我が子に対する最大で最後の愛情でした。
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作曲家として名を挙げ、初めてのコンサート会場に、
殺人の逮捕令状を持った刑事は複雑な思いでたたずんで居ました。
この映画は大ヒットしたという事ですが、
いや~、映画館に行かなくて良かった。
だって、大泣きするシーンが2回もあるんですから。
あれは誰だって泣きますね、それが人間ってものでしょう。
親子の愛情とは、これまでに深く強く尊い人間性の表われで、
それが故に、結果としてこんな残酷な結末を迎える羽目になるとは・・・
いい映画を観ました。