私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

吉備津神社の昔話 その1

2007-05-21 21:23:37 | Weblog
 桃太郎とか、温羅とか、吉備津彦命にまつわる昔話は、この岡山地方には沢山あります。
 これからお話します昔話は、前回の安覚のお話と同じように、今では、この地方の人でさへ誰も知らない、記憶にさへないようなとっても不思議なお話しなのです。
 少々長いので、二回に分けてお話します。

 でえれえむかし、備前と備中の堺にお宮を建てようと思ってのう、ある殿様が国中へ、どえれえうめえでえく(大工)がおりゃあせんかとおもうて、お触れを出して捜したんじゃと。でも、「わしにやらしぇえ」と言う者は、ひとりもおらなんだ。
 ところがじゃ、せいから4,5日してから、ひょっこりと「わしが建ててやらァ」と、いうてきたもんがおったんじゃとう。
 殿様が
 「お宮は一人で建てられるわけがねえ。お前が一人で建てるんか」
 と聞いたんじゃと。
 すると、そのででえく(大工)は
 「わしに任せてくれれば、ものすげえ、ええお宮を作くて上げるけえやらせておくれえ。おねげえします」
 あんまりしつこう言うもんで、殿様も
「まあ、あげん言んなら、ものは試しじゃ、やらせてみゅうか」
 と、その不思議なでえくに頼んだそうな。
 その大工は
 「殿様がびくりするぐれえ、ものすげえええお宮をこしらえてあげるからなあ。楽しみにまちょうりんせえ。・・・・でもなあ、お宮が出来るまでは、ぜってえ、でえく小屋には近寄ったらいけんでえ」
 と、言うたそうな。殿様も、仕方ねえけん、ほってえたんだと。
 昼間、遠方からみゅうると、一人でコツコツとやって居るのがわかったんで、みんなは、「いつごろできるかなー、わしが生き取る間にできるんじゃろうか」などと、言うておったそうな。