たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

冬は柿、これぞ絶品! <甘熟富有柿 「夢」と「希」最高級柿選果>を読みながら

2017-12-06 | 農林業のあり方

171206 冬は柿、これぞ絶品! <甘熟富有柿 「夢」と「希」最高級柿選果>を読みながら

 

今日も一段と冷えました。こんなときは柿を食べて元気をつけるのが一番、というのは少数派でしょうか?

 

でも好きな人はもう柿ばかり食べてもまた欲しがるのかもしれません。子規もきっとその一人だったのではないかと勝手に思っています。<松山市立子規記念博物館>のHPでの検索数だと、柿の句が163あるようですね。

 

以前も、このブログで?子規の柿をうたった句をとりあげましたが、長い病床の中でも常々柿を好んでいたようですね。なくなる直前の句も死を前にして泰然としているようでもあり、柿を愛しんでいるようでもあり、子規のユーモアを感じてしまいます。

 

柿の花散るや仕官の暇なき

 

ところで、毎日記事は、NHKの受信料訴訟の最高裁判決について大きく取り上げていますが、「合憲」との結論だけで、判決文を入手していないためか、争点についての具体の判断がわかりません。これを取り上げようかと思いましたが、やはり最高裁の判示がどのようになされ、理由づけられているかがわからないと、これまでの議論をなぞるだけになりそうですので、やめにしました。

 

もう一つのスパコン助成金詐欺事件は、昨日取り上げたNHKプロフェッショナル仕事の流儀で、次回予定されていた人物が逮捕されたのです。この方、超エリート医師でスパコンを開発までしてしまう?抜群の才能をもった人のようでしたが、なんと彼がその巨額詐欺の主犯的立場で他の共犯者とともに東京地検により逮捕されたのですから、びっくりです。

 

この件も興味深いですが、助成金詐欺の被害者が経済産業省所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」というのですから、もう少しこの助成金制度と、スパコン自体はほんとに世界ナンバー4の実力があったのかも調べられたら、その後で書いても良いかなと思っています。

 

で、今日はもう業務時間が過ぎていますので、軽い話題といことで、毎日・和歌山版<甘熟富有柿「夢」と「希」最高級柿選果 九度山・JA紀北かわかみ /和歌山>を選びました。

 

私の知り合いの農家はほとんどが柿農家です。それぞれたいへんこまめに柿の様子を見ながら、年間を通じて柿の手入れを怠りません。以前のブログでも取り上げましたが、当地に来て柿のおいしさを初めてしったように思います。実家でも何本かの柿の木がありたくさんの実がなっていましたが、子どもの頃はおいしいと思ったことがなく、あまり食べたことがありませんでした。通りからは塀がなかったので柿の木に近づき柿を取っていく人もいましたが、こちらとしてはどうぞという感じでした。

 

ところが、当地の柿は日本一と九度山も橋本もかつらぎ町も、それぞれ競っているだけあり、美味しいですね。年取って味覚が変わった?わけではないと思います。たとえば、リンゴとかミカン、メロンやスイカも皮をむいて出されると食べますが、自分から食べたいと思ったことがありません。ところが柿は自分で皮をむいて毎日、場合によっては毎食でもOKです。最近はそれほど食べていませんが、それでも美味しいので、あれば食べますね。

 

しかし、私が食べているような柿は、近所からもらったりする柿であったりしますが、柿農家、しかも高級品を扱っている農家の人の話だと、高級品はひと味というか、別物のようです。そういうのですが、私にまで回ってきたことがないのは残念です。

 

どんな柿だろうと思っていたのですが、今回の松野和生記者が取り上げたのがそうでしょう。<九度山町特産の富有柿の最高級ブランド「甘熟(あまじゅく)富有柿」の今年の初選果が5日、町内の「JA紀北かわかみ マルい選果場」であった。>

 

そして宮崎組合長自ら先頭に立って、<厳選された最高級ブランド柿「夢」>をPRしていますね。

 

「夢」とはいいネーミングです。<「夢」は木に実ったまま一つずつ袋を掛け、通常の柿より1週間~10日間長くおいて完熟させる。糖度18度以上で、大きい実は5Lサイズ(410~440グラム)ある。>どんなところで誰が作っているのでしょうか。私の知り合いもいるのかな。

 

でもその夢の値段、<夢は大阪市内の市場、希は関東方面に出荷され、店頭では1箱(6~9個)7000~8000円で販売される。>つまり一個で1000円以上するのですね。たまげます。

 

当地では、柿畑がたくさんありますが、中には赤くなって熟した柿の実が木に一杯残ったままのところも結構目立ちます。柿農家をやっていく余裕がないところもあるようです。

 

そんな中で、日々手入れを欠かさず、大切に仕上げた農家の作品こそ、スパコンやスマホのような超スピード、超多彩な機能があるわけではありませんが、シンプルで最高の自然と人の努力で生み出した傑作でしょう。

 

一度は食したいと思っているので、今年は挑戦してみようかと思っています。当地には残っていないのかな。JAにお願いしないといけないかな。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


 

補足

 

昨日、このテーマを選んだ理由を書いているうちに、うっかり失念していました。それは柿農家の飽くなき追求、努力を、ある種観光の目玉として取り上げてはどうかということです。私自身、ほとんどわかっていませんが、柿の木、その実を育てる苦労は大変なものだと思います。知り合いに顔が真っ黒の方もいます。それくらい年中、畑に出て心配し、さまざまな工夫を柿の木に施し、柿の声を丹念に聞いているのでしょう。

 

インスタというのですか、まだよくわかっていませんが、こういったネットにうまくアップすることで、よりその職人技的技量が理解されるのではないでしょうか。

 

それは柿畑を舞台にその技能を見せる場であり、都会人には整備された自然環境を満喫できる場であり、その土は落ち葉や選定された枝で培養されたふかふかした豊かな土壌をもつ土であり、さらに多様な可能性を生み出す潜在力を秘めたところとして、新たな事業展開ができることを期待したいと思ったのです。

 

中途半端な考えですが、仲間が集まって議論すれば煮詰まって、いいものができあがるのではないかと考えています。余分な蛇足(トートロジー!)かもしれませんが、そんな思いから書いたわけですが、生煮え状態であるのが補足を書きながら自覚してしまいました。


 

 


花と禅その8 生き方の美学<ほんとうの自由><プライド><達成感のよろこびは一瞬><一瞬の積み重ね>

2017-12-06 | 心のやすらぎ・豊かさ

171206 花と禅その8 生き方の美学<ほんとうの自由><プライド><達成感のよろこびは一瞬><一瞬の積み重ね>

 

寒さがかなり厳しくなってきました。といっても北極圏の極寒と比較すれば穏やかなものですが。たしか最近のニュースで一番気温の低い村では平均マイナス55度を超えるとか。すごいですね。イヌイットを含む極寒に生きる人たちの心は現代文明にさらされなければたおやかで人に優しいですね。そういう生き方になじんだ日本人も少なくないですね。

 

ところで、今回紹介するのはまったく異なる分野で自分に合った道を突き進む日本人です。ネタ元は、NHKプロフェッショナル仕事の流儀で、今週月曜日に放送された<リスクがなければ、面白くない バイオリニスト・樫本大進>です。音楽はまったくわかりませんが、ただ聞いたり見たりするのは好きです。この樫本氏のことは初めて知りました。

 

<世界最高峰のオーケストラ、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団・・で、・・“コンサートマスター”(通称コンマス)を8年にわたって務めている。>と聞いてびっくり、しかもmだ38歳の若さ、それが日本人というのですから、驚くばかりです。途中から映像をみたのですが、彼の魅力に惹かれて最後まで見てしまいました。

 

では平井住職の『花のように、生きる』とどう関係するのか、私流にいくつかの話と織り交ぜて最高峰に立つコンマスの樫本氏の生き様に少し触れてみたいと思います。

 

樫本氏は私が見たのが、ちょうどロシアでの指導をうけてソロのコンサートを始めたような段階でしたか。そしてドイツ・フランクフルトに移り著名な(といっても私は知りませんが)バイオリニストの指導を受けて彼自身、大きくバイオリン演奏の見方を変えるときでした。それまでの指導では師匠の言うとおり正確に譜面を追うことでした。ところが新しい指導者は、まったく自由奔放に生活全体を満喫しながらそれを演奏に活かす方法です。譜面の見方、演奏の仕方も、自分の心に問いかけて、行うやり方です。

 

その彼が、ベルフィルのコンマスへの誘いが来ました。当初はこれまでオーケストラで演奏したこともないことから、未体験の領域なので、躊躇しますが、その自由な指導環境で育った気持ちがリスクと新しい道を選んだのでしょう。

 

2年間の試行期間を経て採否が決まる手続きでしたが、初日はまったく団員の不興を買い、口をきいてくれない状態がしばらく続いたようです。それで彼が落ち込み立ち上がれないほど弱くなかったのです。家庭でも美しい奥さんも心配するほど、彼自身悩みながら、しかし、夢中で・無心に弦を弾き続けるのです。

 

彼は、自分流のやり方を、精密に団員にコミュニケーションをとって、少しずつ団員の理解を得るようになり、いつしか彼流のやり方がベテランばかりの団員にも共有できるようになっていったようです。口をきいてくれなかったベテランも褒め言葉を投げかけてくれるようになり、いつしか、彼は一員に認められるようになりました。そして2年間の試行期間よりも半年前に正式採用というビッグニュースが彼に通知されたのです。

 

その樫本氏、コンマスとして、最初にやった大仕事は、あのドボルザーク「新世界」のバイオリンの章を、過去何十年以上、カラヤンですら変えていなかったところを、自分流に演奏を変えようとしたのです。これまでのやり方では現代に合わないという、彼独自の判断でした。

 

当然、団員の反発がありました。でも、この変化自体あまりよくわからない私ですが、団員は意外と簡単に受け入れたように思います。なにか予想外の心に響くものがあったのでしょう。樫本氏はそれでもその変化が大変なチェレンジであることを承知しているので、演奏当日も、楽屋から舞台に行くまでも一瞬のすきもなく、その弦の動きを精密に調整して完成度を高めようとしているように見えました。

 

さて大勢の聴衆の反応はどうでしたでしょう。ブラボーだったようです。みなさんにこやな笑顔で、新しい新世界を満喫したようです。ベルフィルのコンマスというだけで、驚異的であるのに、彼の挑戦はいまなお続くのです。そのときの喜びは一瞬最高でしたが、さらに磨きをかけることを伝えています。それがプロであり、純粋な人となる生き方かもしれません。

 

まいりました。そのご、彼の母親の故郷、たしか赤穂市の城山で、毎年開催されている野外演奏会の様子が最後に放映されましたが、彼は世界最高峰の地位にありながら、1000円の入場料でだれでもが楽しめる演奏会を10年以上続けているのです。私のような音楽に縁のない方でもほんとの音楽を楽しめる機会を提供されているのでしょう。すばらしい生き方をされていますね。

 

で、平井住職の話を少し織り交ぜます。彼は「プライドと上手につきあいなさい」と述べています。なかには「わたしのプライドが傷つけられた」といった、他人に対しての不満を述べられることに対し、プライドとは「自分を律するもの。」と断言します。そうですね。プライドは大事ですが、それが傷つけられたことを他人などに攻撃材料に使うことが少なくないですね。弁護士もその権利行使の代理人になりますが。でも、プライドは自分の言動、心を律することに真の意味があるように思うのは、私も同じです。そうできるかは、自分自身の鍛錬にかかっているのではと思うのです。その点、樫本氏の生き方は、すばらしいです。

 

また平井住職は、目標を持って持続的な努力をすることを大切にしつつ、「達成感で心を満たすのは『その瞬間』にとどめてください。いつまでもひたっていると、力になるどころか、自分を呪縛するものになりかねない」というのです。そうですね、普通人はなにかの目標を持ち努力し達成すると、なにか自分は違う存在になったと、ましてや世間がそのようにはやし立ててくれるとそうなりがちですね。しかし、達成感や名誉は、一瞬の喜びとし、次の一瞬には再び、自分流の生き方を求めることこそ大事なのでしょう。

 

樫本氏は、それを自然に行っているように思えます。すばらしいアラフォーでしょうか。

 

そしてもう一つ平井住職の言葉「ほんとうの自由とは?」に触れたいと思います。禅の「行雲流水」という言葉を引用していますが、私も好きな言葉の一つです。

 

しかし平井住職は、「人は他人にこだわり、他人を夢見て、自分を忘れる。」というのです。他人の評価、これまでの秩序・慣行そういったもので、自分で考えることを忘れがちなのが多くの人の生き方かもしれません。私自身、これまでそういう見方・考え方にある種の反旗を翻して、運動や訴訟を起こしてきましたが、それは極一部で、全体としては私も長いものに巻かれるような生き方をしてきたように思います。

 

しかし、平井住職は、「肝心の自分を忘れてしまったのでは、自由になどなれっこない。」と明言します。これまた共感します。樫本氏も、ベルフィルが長い伝統で気づいてきた「新世界」の演奏法について、自由な心で、原点に返り、ドボルザークの気持ちと、自分の心に問いかけて、真の自由を求め、新たな創造を生み出すことができたのでしょう。感謝です。