170719 知的障がいと家族・社会 <知的障害者 入所25年超4割 進む高齢、重度化>などを読んで
もう一つの話題で30分以上を費やしてしまい、本日のテーマとするつもりだったこの問題、深刻な内容であるのと、記事自体を私の中できちんと読めていないこともあり、今回は紹介程度にとどめさせていただきます。
知的障がい者に対する問題は、これまでも何回かこのブログで取り上げてきました。私自身、長年ご家族が家庭の中で世話をしてきたけれども、ご両親も亡くなり、残された兄弟も高齢化する中で、交互に対処してきたものの、ついには無理ということである施設に入所されたのです。その後成年後見開始申立ての手続きの中でもめた結果、私が家裁から後見人に選任された事件を担当しました。知的障がいの程度は残念ながらかなり重く、施設の職員もその方がすでに高齢になっていたにもかかわらず、入浴などを含め一人、二人で対応できない状態の時もありました。
そのご兄弟姉妹はみなさん優しい方で、末っ子である知的障がいの方を大事にされていました。それぞれ学識経験等もあり、自分で最近の知的障がい者に対する施設スタッフのあり方や、薬剤投与のあり方などを勉強され、いろいろご意見を言われていました。私も施設や医師との間に立って、勉強させていただき、従来施設管理のあり方や医師の薬剤投与のあり方に疑問を投げかけることに共感を抱くことが多々ありました。
とはいえ、施設を頼らず、自分たちで世話をすることは不可能でした。年に一度二度、自宅での宿泊が許されていましたが、一人ではとても面倒を見ることができません。二人でも大変です。それも24時間なにが起こるかわからない状態でした。そんなに大変でも、愛情豊かなご兄弟姉妹の中には一生懸命世話をしていました。
こういうご家族を見ていて、まだ経済的に余裕があり、頻繁に見舞いに行ったり、自宅に連れ戻すことができるというの、知的障がいの方のご家族の中ではは希だと思います。私たちが普段見かける方は、割合軽度の方で、集団あるいはご家族と施設に通ったりすることができる人たちを見かけますが、施設にずっといる人、中にはご家族もあまり来られない方などは、ほぼ施設内での生活に終わってしまうのでしょう。
区画ごとに鍵が厳重にかけられ、問題があると部屋なども施錠されます。ときにはそれ以上のこともあるようです。私のわずかな体験の一端を記憶で書き出すのはどうかと思いながら、相模原殺傷事件の深刻さ、その背景の重さが、いつの間にか忘れ去ろうとしている中、、毎日が現状調査を行い、問題の概要を報告したことは評価してよいと思うのです。
毎日朝刊一面には<稲田氏の隠蔽了承>と大々的に報じられていましたが、稲田氏の問題は私としては取り上げるに値しないと言っちゃうと失礼ですが、これまでの発言も含め疑問だらけなので、それはマスコミの追求にお任せしたいと思います。
その一面の下に、<知的障害者入所25年超4割 進む高齢、重度化 毎日新聞施設調査>と地味ですが、現状の問題を数値化、比率で表し、的確にまとめています。
より本格的な内容として3面全体を使い、<クローズアップ2017知的障害者、施設から地域へ 理念どまり、推進半ば>と地域的取り組みの理念が形骸化している現状を掘り下げています。
地域での生活の核となるべきグループホームについて、<障害を持つ人が地域で暮らす受け皿となるのがグループホーム(GH)だ。厚生労働省によると、利用者は2006年度の約3万7000人から10年間で2・9倍に増えた。日本グループホーム学会によると、中軽度の「支援区分2~3」が全体の約半数を占め、最重度の「6」は5%にとどまる。>と厳しい現状を指摘しています。
これに加えて重度障がい者の場合もより申告です。<重度障害者の受け入れには、障害特性に応じたきめ細かな支援や身体障害を併せ持つ人への医療的ケアが必要だ。しかし、福祉現場の慢性的な人手不足もあり、専門的な能力を持つ人材を確保するのは難しい。費用面でも施設に比べて経営効率が悪く、スプリンクラー設置義務化で新たな負担も増えた。15年から重度者支援の報酬加算が大幅に引き上げられたが、新規建設に二の足を踏む法人は少なくない。>
他方で、家族の高齢化がどんどん進み、とても家族の中で支えることが困難な状況だと思います。
施設管理者、グループホーム事業者、家族だけで取り組むのはでは無理な状況ではないでしょうか。日野原氏のような暖かい心を知的障がい者の方にも配慮する取り組むが求められているのでしょう。そういう意味では東京五輪パラリンピックの盛り上がりの中で、忘れ去られている問題の一つではないかと思うのです。
今日は合計で1時間あまりかかりましたので、これでおしまいとします。
実は、日野原氏とほぼ同じ時期に生まれた方の相続問題がなかなかうまく戸籍・除籍などの謄本収集がすすまず、頭を痛めています(天保生まれまで遡ったり、日本各地を探したりなど)市民課の窓口の方と、これからも同種問題がどんどん起こってきて大変ですねと、窓口も、関係者も、現在の制度の中で相続処理をスムーズにすることの難しさを感じていることに共感しつつ、疲れを感じているところです。