環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

国連環境計画の報告書  「第4次地球環境概況」

2007-11-07 20:41:15 | 環境問題総論/経済的手法


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11月1日のブログで、国連環境計画(UNEP)が10月25日に公表した報告書「第4次地球環境概況」を取り上げ、マスメディアの取り上げ方が小さすぎるのではないかと書きました。

今日の朝日新聞の夕刊は、この報告書が示した地球環境の過去、現在、そして未来を大きく紹介しています。

 
この報告書が伝える環境問題の概況、将来への対応策などは、このブログで紹介してきたスウェーデンのアプローチが王道で日本のアプローチがほとんど実効性ないものであることを明らかにしたと思います。



国連環境計画の「地球環境概況」シリーズ(1~4)は、21世紀に人類が直面するであろう環境問題についての最も権威ある評価報告書といわれています。まずはこの記事をしっかり読み、現状をよく理解していただければ幸いです

この件に関するUNEPのプレス・リリース


この記事の中で、3人の方が次のようなコメントを述べています。

発表に立ち会った国立環境研究所の肱岡靖明さんは、「我々のいまの選択が、将来の地球の方向を決める。市場のみに頼っていては解決できない。様々な分野や階層で、今すぐに対策をとらねばならない」と話した。

発表会であいさつに立った環境省の小島敏郎地球環境審議官は「集団的自滅から転換するため、今こそ持続的な発展をしなければならない」と力を込めた。

10月25日にニューヨークで行われた発表会見で、アキム・スタイナーUNEP事務局長は、「・・・・・現状を変える技術的、社会的力はある。足りないのは政治的、経済的リーバーシップ。報告書をきっかけに、国際社会へ環境問題への対応を加速するよう促したい」と発言。

この3人の方がコメントしていることは、私の考えとして、あるいは、スウェーデンの政策アプローチとして、すでに私のこのブログで、述べてきたことです。



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9月の景気動向指数

2007-11-07 11:46:07 | 経済
 

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今日の朝日新聞が、昨日内閣府が発表した「9月の景気動向調査」を報じています。

今日の記事には、いつも見慣れた図が掲載されていません。その代りに、記事の見出しは「半年後の景気指数 16年ぶり「0%」となっています。この見出しは何か変化が起こりそうな雰囲気を漂わせているようにも感じられます。

こちらは毎日新聞です。
 

この種の数字に一喜一憂しているエコノミストには内心、心穏やかでないのかも知れませんが、環境問題からこの指標に注目してきた私はエコノミストがどのようなコメントを出すかに興味があります。 

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スウェーデンの「脱原発政策の歩み」⑨ スウェーデンの脱原発の動向に一喜一憂するよりも大切なことは

2007-11-07 06:33:23 | 原発/エネルギー/資源



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皆さんへのお願い:10月30日から始めたこの連続講座「スウェーデンの脱原発政策の歩み」(私の理解では「エネルギー体系修正のための政策」という表現のほうが適切だと思う)がカバーする範囲は、1960年代から1990年頃までです。その頃を振り返りながら読んでください。その後のスウェーデンのエネルギー政策は「緑の福祉国家22~30:エネルギー体系の転換」を参照してください。 
 

もう一度くり返しましょう。あえて、「苦悩」という言葉を使うとすれば、スウェーデンは日本のように現在および近未来のエネルギーの「供給量」で苦悩しているのではなく、自らの意思で(民主主義の手続きにしたがって合意形成し国民の総意のもとに、具体的には1980年3月の国民投票の結果を踏まえて、同年6月の国会決議に基づいて)、自らに厳しい条件を課して2010年以降の「エネルギー供給の質と量」を修正するために苦悩しているのです。

ですから、日本政府のエネルギー政策担当者やエネルギーにかかわる専門家・研究者は官民問わず、スウェーデンの脱原発政策(エネルギー体系修正のための政策)の動向に一喜一憂するよりも、日本の現状を十分に国民に知らせ、日本の国民生活の安定のために国を挙げての協力体制を早急に造り上げることがエネルギーの供給安定のためにも欠かせないことだと思いますがいかがでしょうか? 
 
英知を発揮する方向は今までの専門家や技術者が考えてきた技術開発によるエネルギー供給の増大による安定供給(この考えがおかしいのではないかということがここでの議論です)ではなくて、まったく逆の「現行の社会システムをエネルギーの供給量および需要量が増えないような、できるものなら、年々、エネルギーの供給量および需要量が減少するような社会システム」に変更していく方向です。この方向は、いうまでもなく、 「エネルギー供給の安定化」への方向でもあるのです。

この方向に沿うようなエネルギーの研究開発に予算を積極的につける必要があります。これは、日本では官僚と政治家の仕事です。当然のことですが、このエネルギー問題の解決への方向は地球温暖化の問題の解決の方向と同一方向にあります。つまり、エネルギーの総供給量および総消費量を減ずる方向です。

日本のエネルギー政策の方向性は、これまでエネルギーの総供給量を常に増大する方向ですので、世界共通の問題解決の方向とは逆向きの方向に向いているのではないでしょうか?
 
全エネルギーの海外依存度が80%を超え、しかも、そのエネルギー消費量が米国、ソ連、中国に次いで世界第4位のエネルギー消費大国である日本では、エネルギー増大の方向でエネルギー供給の安定化を図るよりも、減少の方向で安定化を図るほうが容易であることは疑いの余地もありません。







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