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皆さんへのお願い:10月30日から始めたこの連続講座「スウェーデンの脱原発政策の歩み」(私の理解では「エネルギー体系修正のための政策」という表現のほうが適切だと思う)がカバーする範囲は、1960年代から1990年頃までです。その頃を振り返りながら読んでください。その後のスウェーデンのエネルギー政策は「緑の福祉国家22~30:エネルギー体系の転換」を参照してください。
これまで述べてきたような状況から、現行のエネルギー体系の修正が求められているのです。エネルギー体系修正の方向として、二つの大きな方向が考えられます。一つはスウェーデンの試みで、もう一つの方向は日本の目標とするところです。
スウェーデンの試み
原子力に依存しない再生可能なエネルギー体系への転換
日本の目標
原子力に依存するエネルギー体系への転換
当然の帰結ですが、原子力に依存する場合には現在の軽水炉用のウランは可採年数による制限がありそうですから、プルトニウムを利用する高速増殖炉(FBR、日本の「もんじゅ」はその実例です)の開発ということになり、使用済み核燃料の再処理が必要になります。スウェーデンは原子力に依存しないエネルギー体系を模索していますので、現在は、再処理施設の建設計画も、高速増殖炉の開発計画もありません。
私たちは将来のエネルギー体系の中でプルトニウムを利用するにしろ、しないにしろ、なぜ、日本を除く工業先進国がプルトニウムの利用に積極的でないのかをしっかり見極めておかなければなりません。
1991年6月1日付けの日本経済新聞は「原子力委員会が、ほぼ5年ごとに改定している原子力開発利用長期計画に盛られてきた高速増殖炉(FBR)の実用化時期は後退の一途だ。1967年に作った計画から計算すると2020~2030年を実用化時期とする現行計画は、約50年もの遅れが生じている」と述べ、次のようにこれまでの目標時期の後退を報じています。
「原子力開発利用長期計画」にみるFBR実用化の目標時期の後退
計画策定時期 実用化時期
1967年 1985年~1986年
1972年 1985年~1995年
1978年 1995年~2005年
1982年 2010年頃
現在(ここでいう「現在とは」1990年頃のことです)の実用化の時期は2020年~2030年と見積もられていますが、この頃には石油、天然ガスには赤信号がともり始めている頃でしょうから、これ以上の遅れは許されないことになります。しかも、原子力は石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料と違って「化学原料」にはなりません。電気を取り出すか、熱を取り出すしかありません。
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