環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

「困った状況」が目立つようになってきた日本

2007-11-03 07:54:09 | 社会/合意形成/アクター
 

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ここ数年、様々な分野で国際比較の記事が増え、それらの記事の中に日本とスウェーデンが共に登場するとき、しばしば目にするのが、日本とスウェーデンの状況が対称的な位置づけとなっていることです。このことは両国の社会の制度や仕組みの分野で顕著なような気がします。

スウェーデンが「安心と安全な国づくり」をめざして、21世紀前半に「エコロジー的に持続可能な社会」を構築しようと国を挙げて行動していることはこのブログで取りあげてきました。次の記事が示す「過去最高」はまさに困った状況で、スウェーデンの状況と対称的です。


10月29日のブログでは「男女の賃金格差」のデータを紹介しました。「男女間賃金格差が少ないという事象」は「エコロジー的に持続可能な社会」の「社会的側面」を表しています。社会的側面も常に進化しているのです。

一方、日本の21世紀前半のビジョンは、政権交代が行われ、多少の修正はあるでしょうが、「持続的な経済成長」です。2つの国の政治目標の相違が徐々に見えるようになってきたと理解するのは間違っているでしょうか。次のような事例はいかがでしょうか。


 



 

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スウェーデンの「脱原発政策の歩み」⑤ 20世紀のスウェーデンは原発政策で迷走していたのだろうか?

2007-11-03 05:20:20 | 原発/エネルギー/資源
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皆さんへのお願い:10月30日から始めたこの連続講座「スウェーデンの脱原発政策の歩み」(私の理解では「エネルギー体系修正のための政策」という表現のほうが適切だと思う)がカバーする範囲は、1960年代から1990年頃までです。その頃を振り返りながら読んでください。その後のスウェーデンのエネルギー政策は「緑の福祉国家22~30:エネルギー体系の転換」を参照してください。 
  


(1)なぜ、スウェーデンは日本や他の工業先進国がこれまで進めて来たエネルギー供給システムやこれから進めて行こうとするエネルギー供給システムにあまり積極的でないのでしょうか? 
(2)その理由はスウェーデンが他の工業先進国に比べて、科学技術力が劣るからなのでしょうか?
(3)それとも、スウェーデンは他国から石炭などのエネルギー源や、“日本が世界に誇る”高価な公害防止機器を輸入できるだけの経済力がない経済小国だからなのでしょうか?
(4)あるいは、逆に、スウェーデンは現実を直視していない理想主義に走り過ぎた国だからなのでしょうか?
 

もし事実がその通りであるなら、私にもスウェーデンのエネルギー政策に対する日本の論調が理解できます。けれども、私はこのいずれもが正しい理解だとは思いません。もっとはっきり言えば、いずれもが間違っていると思います。

スウェーデンの科学技術力や経済力については、日本のまとも専門家はそれを正しく理解しているはずですし、スウェーデンの「原発技術」にいたっては、日本の原子力専門家をはじめ世界の原子力の専門家がその技術レベルの高さを最もよく知っているはずです。それでは、なぜ、スウェーデンは、日本のジャーナリズムや原子力関係者の一部の言葉を借りれば、エネルギー政策で「迷走」したり、「苦悩」したりしているのでしょうか?
 
それはスウェーデンが「現実を重視する国」であって、エネルギー問題の現実を直視し、それを基に将来のエネルギー体系のありかたを長期的に真剣に考えているからなのです。残念ながら、日本は「目の前の現実」の対応に追われ、現実を直視してこれからの数世代が必要とするエネルギー体系のことまで考える余裕がないように思えてなりません。

あえて、「苦悩」という言葉を使うとすれば、スウェーデンは、日本のように、現在および近未来のエネルギーの「供給量」で苦悩しているのではなく、自らに厳しい条件を課して2010年以降の「エネルギー供給の質と量」を修正するために苦悩していると言えるでしょう。
 







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