環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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フロン規制:モントリオール議定書採択から20年

2007-11-11 15:37:25 | 温暖化/オゾン層


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10月31日の朝日新聞夕刊が「モントリオール議定書採択20周年」を特集しています。
 

これまでに、このブログでもフロンの規制の国際動向や日本の対応、スウェーデンの対応をそのつどとりあげてきました。この特集は最新の国際動向を簡潔にまとめてありますので、紹介します。合わせて、関連記事を参考にしてください。


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スウェーデンの「脱原発政策の歩み」⑬ 最初の商業用原発は都市型地下式原発だった

2007-11-11 12:31:10 | 原発/エネルギー/資源


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皆さんへのお願い:10月30日から始めたこの連続講座「スウェーデンの脱原発政策の歩み」(私の理解では「エネルギー体系修正のための政策」という表現のほうが適切だと思う)がカバーする範囲は、1960年代から1990年頃までです。その頃を振り返りながら読んでください。その後のスウェーデンのエネルギー政策は「緑の福祉国家22~30:エネルギー体系の転換」を参照してください。 
 

1993年2月に日刊工業新聞社から出版された西堂紀一郎/ジョン・イー・グレイ著『原子力の奇跡』に、20ページにわたってスウェーデンの原発に関する記述があります。 

この本の著者紹介によりますと、西堂さんは、現在(1993年当時)、アイ・イー・エー・ジャパン社長で、原子力分野では数少ない国際的コンサルタントだそうですし、ジョン・イー・グレイさんは、現在(1993年当時)、世界エネルギー会議(WEC)米国委員長、太平洋協議会副理事長など原子力、エネルギー問題で世界をリードする一人とのことです。

スウェーデンの原子力技術に関する私の理解を補うために、この本からスウェーデンの原子力技術のレベルに関する部分を7点引用してみましょう。興味のある方は原本にあたってください。

①原子力技術の開発でも、この国はいろんな意味で極めて独創的な発想を生かし、世界でもユニークな道を歩んできた。例えば、ヨーロッパ内ではイギリスやフランスが独自の技術を捨てて、結局はアメリカの技術を導入したのに対して、スウェーデンは最初から自分の力で、自由世界で唯一アメリカと競合する同じ技術を開発し、商業化に成功した。

しかもその一方で、同国の全電力の半分を担っている世界で最も運転性能のすぐれた実績を誇る原子力発電を、1980年の国民投票で、2010年に全廃することを決めてしまうという、他の国では見られない大胆なこともやってのけたのである。

②スウェーデンの原子力技術の開発・導入を振り返ってみると、その背景には、スウェーデンは最初から自分の力で、自由世界で唯一アメリカと競合する同じ技術を開発し、商業化に成功した。原子力技術は材料との闘いという側面があり、その意味ではスウェーデンの金属材料技術の優秀性も原子力発電成功に大きく寄与しているに違いない。

③原子力に反対する人々の中には「原子炉が安全だと言うなら東京のど真中に建設して見ろ」と言う人々もいるが、土地代が高すぎるなどの理由で不可能に近い。しかし、スウェーデンでは、これらのことがすでに実証済みなのである。おもしろいことに1957年に建設が決定された最初の商業用原子炉は、首都ストックホルムの都心から数キロメートルしか離れてない丘の中腹に、穴を掘って収納された、まさに都市型地下式原子炉だった。

……他の国々では大型の発電所としてのみ考えられてきた原子炉を、小型の地域暖房用のエネルギー源として活用したのもスウェーデンが世界最初であり、寒冷地の特殊事情があるとはいえ、独自性がいかんなく発揮されている。……この炉はオーガスタ炉と呼ばれ、1963年に運転が開始された。この原子炉は順調に運転を続けたが、石油市場の軟化で石油価格が低迷を続けたため、経済性が相対的に悪くなった。そのため1973年に運転を中止し、プラントそのものも廃止され、10年の寿命を閉じた。
 
④1960年代末に、スウェーデンは核兵器の開発と保有の権限を放棄するという平和主義路線の選択を決定した。
  
⑤軽水炉技術を独自に開発したのは、アメリカ、ソ連、スウェーデンの3カ国である。……米ソ二超大国の5メーカーのうち4メーカーが加圧水型を選択しているのに、小国スウェーデンが沸騰水型を選んだということは、技術政策上極めてユニークとされるのである。
  
⑥ドイツ、フランス、日本、そしてイギリス等の先進工業国が軽水炉の導入に当たり、アメリカから技術導入したのに対し、スウェーデンは果敢にも独自開発路線を選んだのである。原子力発電が技術的に大きな周辺技術のサポートを必要とし、経済的な電源にするためには多くの技術開発が必要であることが認識されていた時にさして国内需要も大きくないスウェーデンが、自主開発路線を選んだのは技術開発史上特筆すべきことかもしれない。

スウェーデンは貿易立国であり、国際自由競争を原則としているため、アセア社の自主開発という決断は、先駆者であるアメリカの軽水炉メーカーに経済性の面でも競争に勝てる、との自信を持っていたことになる。  

⑦スウェーデン製の沸騰水型はアメリカ製の沸騰水型や加圧水型に比較して、全体として性能が優れているという結果が世界中の運転実績から出ている。これは必ずしもプラントの設計だけでなく、運転技術の優秀さにも起因しているのかも知れない。 





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