外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

忍びの者

2010-03-01 19:16:27 | 映画、テレビ、漫画
1962年に第一作が公開されるや、空前の忍者ブームを巻き起こした映画が、市川雷蔵さん主演の「忍びの者」シリーズです。

この映画の中で登場する、畳返し・変わり身の術、手裏剣・撒き菱などの小道具、あるいは複雑な造りの忍者屋敷など、子供たちの好奇心を大いに刺激しました。
ただ、色っぽい場面も時折あるためか、いくら頼んでも私の父親は映画館に連れていってくれませんでした。
そこで、近所の商店の友達が店員さんと行く時に、内緒で連れていってもらったりしていました。

そのうちに、少年雑誌に忍者に関する特集記事が載り始め、その後「伊賀の影丸」、「サスケ」などの忍者マンガの名作が連載されて忍者ブームは最高潮に。
当時の玩具店や駄菓子屋には、オモチャの手裏剣が何種類も並んでいたものです。

さて、1960年代までの日本映画は、凝った脚本といい、豪華な俳優陣といい、テレビには真似のできない作品が揃っていました。

日本映画の衰退は、今から考えても本当に残念です。
テレビの普及ばかりでなく、日本と欧米との企業風土の違いも原因だったと思います。
経営資源の投入が制作部門に偏る、極めて日本的な企業経営であった日本映画界。
現代的なマーケティング能力を欠き、時代に合わせたビジネスモデルを作ることができませんでした。
その結果、興業成績の低迷が続き制作予算も大幅に減少。
映画本来の強みを置き忘れ、安っぽい作品ばかりが封切りされるようになった結果、長年の映画ファンからも見放され、完全に命運が尽きました。

時は流れて、映画界が味わった苦しみを、今度はテレビ業界が味わっています。
安っぽいバラエティー番組や旅番組ばかりをテレビが放送しているのは、何とも皮肉な歴史の繰り返しという感じがしてしまいます。

Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする