シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

なぜアメリカ人は奥さんを「ベイビー」と呼ぶの?・・「フライド・グリーン・トマト」

2005-02-09 17:22:59 | Weblog
「フライド・グリーン・トマト」はジョン・アヴネット監督作。91年の作品。

結構本数を見ていると、一番好きな映画を1本選ぶのはすごく難しい。だって気分もいろいろ、人生いろいろ、映画もいろいろだから・・

でも、この「フライド・グリーン・トマト」は好きな映画を10本くらい上げてと言われたら間違いなくランクインする作品です。

女優さんがみんな素晴らしい!ジェシカ・タンディ・・おばあちゃんだけど、めちゃキレイ。亡くなってしまって残念。キャシー・ベイツ、なんでもやりまっせの肝っ玉女優。

アメリカの南部での話し。キャシー・ベイツ扮する中年女性は子供も巣立ち、夫との二人暮し。
夫も彼女も見事におデブで典型的なアメリカ人の夫婦。
夫は悪人ではないが、女房にほとんど関心を示さず、せっかく作った夕飯もテレビにかじりついてぱくつく。

でもさ、不思議に帰宅したときは一応奥さんを見て「ハイ!ベイビー」とか「ハニー」とか言う。
あんな体型なのに、呼び方がベイビーってのは・・

ある日、夫の親族のお見舞いに行った先の病院で彼女は不思議なおばあちゃんに出会う。
彼女はニニー。ひとりで入院しているらしく、やたらと話しかけてくる。
このおばあちゃん、ジェシカ・タンディが語る昔話は、ふたりの女性、イジーとルースの物語。

映画はこの昔話と現代をいったりきたりしながら、進む。

ちょうど更年期を迎えていたキャシー・ベイツは感情が不安定になりジェシカ・タンディに「キャンディバーを食べるのが止められないの~~あちこちにキャンディーバーの袋があるの~私今に自分で下着も脱げない百貫デブになる~~」と泣きつく。「もう若くはないし、でも老け込むには早すぎる」という微妙なお年頃。なんかわかるような感じしますね。

昔話ではイジーは男まさり、ルースは牧師の娘で心優しきレディ。
イジーがミツバチの巣から素手でミツのかたまりをとってくるシーンはすごい!!
どうやって撮っているのかな~
全然刺されたことがないというイジーにルースは「あなたはビー・チャーマー(蜂に愛される人)なのね」と感心する。

このふたりの長年にわたる友情は素晴らしい。原作ではふたりは精神的には同性愛に近い感情をもっていたと描かれていたようだけど、映画はそういう感じをばっさり捨てている。
今から封切られる「アレキサンダー」でもアレキサンダーが小姓をはべらしていたり、親友と同性愛っぽい感じをかもしだしている点を監督のオリバー・ストーンは製作者から「ちょっとね~」と言われたそうだ。

まあ、このへんのテーマってなかなか難しいんだろうね。

でも、そんなこと抜きにしても、この映画は素晴らしい。
ルースの臨終のシーン、亡くなった彼女に涙するイジーに黒人のメイドの女性は「ルース様は、本当の淑女。おいとま時を心得ておいでなのよ」と優しく声をかけるシーンは何度観ても涙。
ニニー(ジェシカ・タンディ)が今は亡き息子、アルバートの思い出を語るシーンも涙なしには見れません。悲し涙ではありません。知的障害をもっていたアルバートを世界で一番美しい魂をもっていた存在と語り、天国で会うのが楽しみ・・と語るその颯爽とした美しさに心打たれる。

まだ未見の方は、機会があったらぜひご覧ください!
ここまでネタばらししても、まだ心動かす隠し玉がある名作です。





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