黄昏オーディオ

ちょっとだけオーディオ。

かなりの奇人の様相

2010-06-17 00:29:45 | 書籍・読書

五味康祐 著「オーディオ巡礼」を読み終えた。が、何とも後味の悪い本だった。少し前に神田の古本屋で初版を見つけ、買お うかどうしようか思案していた。確か絶版で手に入らなかったはずと思っていたら再販で出版されていた。取り敢えず、図書館から借りてみたわけだが、買わずによかった。
氏か芥川賞受賞後も、世間に媚びるような大衆小説は書く気になれず、貧乏生活が続いたが、良い音楽 を聞くために、売れる本を書く気になったとか、面白い逸話だ。 結果として、剣豪小説が売れて、当時の通貨基準を考えると非常に高額な舶来オーディオシステムに囲まれ、娘 にはベーゼンドルファーを買い与えと言うのは羨ましい限りだ。
しかし、不倫相手が子供を作り、その悩みを相談していた女子大生と不倫関係に陥り、本妻との別れを葛藤し、女子大生 の方は入水自殺してしまう。そんな話をオーディオ雑誌で読まされても…。さらに、自動車事故で人を殺めてしまい、そのことについても次のように書いている。

私は七年前、大変なことをしでかした。場所は名古屋市内で、夜十一時前であった。時速50kmで私の車は走っていた。こうしたことは、誰にも経験してもらいたくないし、加害者も亦どんな悲惨な状態におかれるかは当事者だけが知っていればいいことだ。ーただ、事故のあと、失われた生命への痛哭と、慚愧と、悔いと絶望に居たたまれぬ私が、ヘンデルの”メシア”どんなに救われたかを、言っておきたい。

音楽という芸術が命の淵に立ちその底を覗くような姿勢になることも、否定はしないが、遺族からしてこれがどう捕らえられるのか…。

オーディオだけに限ったとしても「その人の人生の音を、私は聴きたい」と初回に綴った、表題ともなっているオーディオ巡礼においても、歯に衣着せぬといえば聞こえがいいが、ケチョンケチョンのいいたい放題。
関西では料理の東大のコマーシャルで有名な阿倍野の辻調理師専門学校の当時の学長の所への巡礼記は次のよう に結んでいる。

「これではーパラゴンにとってもー宝の持ち腐れである。キミは料理学校のボスではないか。ネタがよくても味 付けのまずいのはキミの主旨に反しませんか?」

評論家の高城さんとの確執であれば、双方表現の場があり、書き合えばいいわけですが、相手に地位があるとはいえ、どうなんでしょうね。

まあ、手元に置きたくない本の上位ランキングに入る本です。

とはいえ、この中で出てきている音楽はちゃんと聴いてやろうとメモしてます。

ブログランキング参加中です。応援のほどよろしくお願いいたします。
にほんブログ村 PC家電ブログ ピュアオーディオへにほんブログ村
にほんブログ村 その他生活ブログ 節約・節約術へにほんブログ村