貧困の問題は政治の責任であり、明日は我が身と考える想像力が必要です。普通の人が普通の生活をするなかで勤務先の倒産、事故、病気にかかるなどの原因で貧困に陥ります。現在の日本における法体系では、最後の最後のセイフティネットが生活保護受給です。
日本では生活保護受給が国民の権利だということがお世辞にも根付いているとはいえません。また、親子と言えども成人したどうしでは独立した個人という考えが日本では確立していません。欧米では、例えばビル・ゲイツの親とか親族が生活に困窮したとしてそれで生活保護を受給しても誰も文句は言いません。たとえ親子であっても異なる生計を営むに至っている場合にはこれを前提にするのが近代民主主義社会の考え方です。ですから、欧米では生活保護を受給できるかどうかということは、申請者本人の収入と資産が法的要件であって親をはじめとして親族のことは調査の対象になりません。
近年生活保護受給者の数が200万人を超えて久しいところです。何度でも言いますが、生活保護受給者急増は歴代政権の労働政策・社会政策の失敗の証明です。日本国憲法第25条においては、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が明記されています。よって、生活保護を受けなければならないほどに困窮しないように国民生活を保持する責務が政府にはあります。そして、万が一生活が困窮しても生活保護受給があるというのが日本の法律的建前です。
生活保護をめぐって色々な状況が生じています。そもそも憲法第25条は何のためにあるのかということを今こそ正面から考える必要があります。これが自分自身の生活を守ることにつながっていきます。
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