レイバーネット日本というサイトがあるのをご存知でしょうか。レイバーネット日本というのは、2001年2月に労働者の自主的メディアとして、ウェブサイトなど労働運動の情報ネットワークとして創立されました。詳しくは設立趣意書をお読みください(設立趣意書という文字をクリックすると該当するページにアクセスできます)。どんな潮流かというと……まっ、一言で言うとごった煮です。
「しんぶん赤旗」をお読みの方は、派遣切り、非正規切りに対して労働者が立ち上がって戦い始めることなどの報道として目にしているかと思われます。ただし、「しんぶん赤旗」で報じられるようなことは、まだ端緒的なものであって安住するような到達点ではありません。すでに派遣切り、非正規切りは数十万人にも及んでいますが、レイバーネット日本の協同代表代表を務めている河添誠(首都圏青年ユニオン)さんはレイバーネット日本の総会で「数十万ともいわれる首切りが行なわれているが、この間組織されたのは2000人程度」と報告しています。総会では、最後まで他人に頼らず最後まで自力で持ちこたえようとする意識が労働者の中で強すぎることや声をあげることや運動して戦う事への不信やあきらめが根強いことなどが報告されています。「労働組合の魅力がもっと目に見えるようにないといけない。その接点をどうつくるかが課題でその意味でもマンガや映像を使ったユニオンYES運動が改めて必要だと思う」と河添誠さんは報告しています。
日本共産党は、日本社会の弱点として資本及び権力の横暴に対する社会的反撃が弱いということを指摘しています。なぜそうなのかは、一つの要素だけで説明できるものではありませんが、やはり労働組合の組織率があまりに低いことに大きな要因があると言えるでしょう。労働組合は思想・信条を問わず労働者であれば誰でも結集することができ、職場環境を良くするために資本と対等に渡り合える組織です。労働者は労働組合の活動で戦うことを通じて自分達(労働者階級)が社会の本質的主人公であり、実践を通じて権利を行使し、貫いていくことを学ぶ場でもあります。資本主義社会においては、労働組合は労働者が実践的に民主主義を学ぶ場であるといえます。労働組合は労働者の民主主義の学校といえます。
ですから、労働組合を組織率があまりにも低い(推定組織率が20%を割り込んでいます)ことは、日本社会の民主的発展に大きな困難をもたらします。
「派遣村」の運動を通じて、国民的連帯が発展していっているとはいえ、労働者や国民各層の社会的連帯と団結の発展は、まだまだこれからです。根拠なき楽観論は私含めて誰もが慎まなければなりません。同時に、根拠なく悲観主義に陥ってもいけません。
労働運動の発展を願っている人、また労働組合の取り組みに参加している人は全国の戦いなどを知る上でレイバーネット日本は見て損はないサイトです。レイバーネット日本は当事者自身からの直接の発信という意味での主観報道を大事にします。それだけに、全国の労働者の運動と戦いを大手のマスコミなどとは違った視点で発信されています。労働組合に組織されている人にとって全国的な情報を知る有効な手がかりとなり、同時に底から前進の溜めの教訓を汲み取れるでしょう。
レイバーネット日本の総会に関しては、私のヤフーブログでのブログ友達のTOCKAさんが出席したことして感じたことを記事として書いています。こちらもご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/59070804.html
現在、労働運動では立場の違いを超えて一致するところでの協力・協同が大きく進んでいく展望があります。